茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

稽古幹事

2006-08-06 16:20:26 | 思い出の人/素敵な人
 大学茶道部の同期たち、一昨年の5年毎に催される記念茶会で互いの消息を知ってから、忘年会や海外赴任者の帰国時など時折集まるようになった。それぞれ社会人としてもご活躍だが、集まれば相変わらずの濃いキャラ炸裂で、最高に幸せなひとときとなる。

 同期で稽古幹事・渉外幹事をした男性がいる。彼は稽古の時はいつも早く来て準備をし、最後の片付けをし、汚れた茶巾や手ぬぐいの洗濯・煮沸もやっていた。茶会の道具立ても、道具の管理も全てこなしていたと思う。誰かに文句を言うこともなく、一生懸命稽古に励み、見えない部分でも皆の為に労を厭わなかった姿はすばらしい。渉外校に対してもよく足を運び、交流を深めていたようだ。
 今思えば、おいしいとこどりだった自分が恥ずかしい。授業の合間、行きたい時間にお点前のお稽古だけしていた私。渉外校の茶会に一度も行かず、いらして下さった時ももてなしの心や言葉を持たず、交流しなかった私。様々な貴重な経験や機会を逸したことを残念に思うとともに、大学時代の私のいい加減さ、気配りのなさに反省している。

 学生時代はそれほど深く話すこともない彼だったが、話していて、感じ入る言葉があった。

「人それぞれなんだよね。」
「力を出し惜しみするとね、力の出し方を忘れちゃうんだよ。」
「できるのにやらないのは力がないんだ。パワーなんてどんどん沸いてでてくるものだからね。減るものじゃない。」

 言葉通り、彼は何でも一生懸命、損得勘定がなく、まっすぐだ。仕事や家族に対する態度や言葉も聞くほどにそうだよね~って思う。明るく元気一杯で、芯が強い。そして人間くさい。
 人それぞれという言葉は一見突き放しているように見えるが、自分がこうだから人もこうなくてはという気負いがないことがわかる。一時、あまり熱心ではない部員に対し退部してもらうかどうか幹事会で問題になったことがあったが、その際も彼は最後まで皆でやりたいとの意見を貫いた。彼自身お稽古や部のために人一倍頑張っていたと思うのだが、やってあげているとか、だから他の人もそうなくてはならないという押し付けがない。所属しているけれどお稽古に来ない、それもまたそれぞれ、ということなのだろう。人間が大きかったのだろうが、その頃の私は気づかなかった。
 その後、「人それぞれ人生」について話したところ、
”どんな人であっても、結局他人は自分とは違う。思い通りにいかないこと方が多くって、それもまあ仕方ないなあと思うことだらけ。とは言え、諦めなければならないことがあっても、相手に思いを伝えよう、頑張ろうと思わずにはいられない”と言っていました。

 かくいう私は、未だに力の出し惜しみをすることがある。でも、力惜しみした瞬間に自分の能力にラインを引き、可能性をなくしていることにも気づいてはいた。彼の言葉を聞いて、はっきりした形で認識したのだが、弱い私はいつも力惜しみせず頑張るということを実践できずにいる。
 そして、私がこんなに頑張ってるのにどうしてあの人もきちんとしないのかしらと思うこともある。自分がしたいからするのであって、他人も同じようになるとは限らない、彼の言う通り、人それぞれ、なのだが。

 その時気づかず、あとで気づくことがたくさんあるなあとつくづく思う。終わってしまったことは仕方がないので、この先に生かすのみだが、これがなかなか難しい。
 ともあれ、素敵な同期の、素敵な言葉で私は大切なことに気づき、新しい一歩を踏み出すことができた。どうもありがとう。彼をはじめ学生時代の友達に会うと本当に安心するし、素の自分に戻れる。まだまだちっちゃい私だけれど、これからもどうぞ宜しくね。

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14 コメント

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若いとき (ゆりかもめ)
2006-08-06 22:04:18
若い時には気づかずに、年齢を重ねると見えてくるものってありますね。

何であの時、チャンスを見過ごしたんだろうって。

でも、それは若い時には見えないものだったんです。

これから見えてくるチャンスをしっかりつかむようにがんばりましょう。

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人それぞれ (チャチャ)
2006-08-06 22:11:19
学生のときなのに、できた人がいたのですね。



私にとって、ブログを通してのたまご様は、努力を惜しまない、精一杯の人で、尊敬してしまいます。



人それぞれは、まさに、子供達。親の思ったようには、動いてくれません。

私は、我慢と諦めをおぼえました。



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人それぞれ (albireo)
2006-08-06 22:58:35
素晴らしいお友達ですね!

「やってやっている」その思いだけは持たないようにしようと、心に決めています。

でもやっぱり、人は「どうして解らないのか」と苛立つことはあります。

「人それぞれ」そう思うことは、とても大切なことですね。それは、突き放しているのではなく、他人の行為を「赦す」ということなのでしょうね。しかも、そこには「自分が、自分が」という利己的な考えはまったくないように感じます。僕も、そうなりたいものです。
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子は親の鏡 (山桜)
2006-08-07 14:17:43
 「こんなに自分はやってあげてるのに何故?」

と、やはりつい思ってしまいます。

母の子供への愛は、世の中で一番の「無償の愛」だと思いつつも、

 「やって貰って当然って思ってない?」

などと言ってしまいます。



 よくよく見れば、娘のできていない所は、みんな私の鏡写し…

後姿も前姿も、ちゃんと恥ずかしくないように生きたいと

m-tamagoさんの日記を拝見して反省致しました。
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若いとき (m-tamago)
2006-08-07 20:54:47
ゆりかもめさん、これから見えてくるチャンス、見えてくるものをしっかりつかむように頑張ります!

友達とはありがたいものです。男女問わずこれからも色々なことを話したり経験したりして、一緒に年を重ねたいと思いますねー。

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人それぞれ (m-tamago)
2006-08-07 20:57:59
チャチャさん、こんばんは。

過分にお褒め頂いて恐縮です。最近茶道への努力は惜しまないのですが、それ以外のことも精一杯頑張らないといけませんよね~。



>人それぞれは、まさに、子供達。親の思ったようには、動いてくれません。私は、我慢と諦めをおぼえました。

なるほど。私は子供がいないので実感としてわきませんが、きっと私の両親はそう思っていることでしょう。

我慢と諦め、誰かが子育てとは待ち、受け入れることだと言っていました。
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人それぞれ (m-tamago)
2006-08-07 21:02:57
albireoさん、本当に彼はすごいんです。今も何でも一生懸命です。



>突き放しているのではなく、他人の行為を「赦す」ということなのでしょうね。

本当に。大学の時にそれを実行していたのですからすごいことですね。幹事会で私はいい加減にしか参加しない人には辞めてもらったほうがいいという意見に賛成したんです。今思えば反省しきりです。

私も自分なりに精一杯思いを伝え行動した後は人それぞれといえるほどの懐の深い人間になりたいです。
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子は親の鏡 (m-tamago)
2006-08-07 21:10:11
山桜さん、こんばんは。



>母の子供への愛は、世の中で一番の「無償の愛」

私は子供がいないので親の立場からはわからないのですが、母を見ているとまさに無償の愛だと思います。どんな私でも受け入れてくれるんだなぁと。感謝です。

私が母親になってもそうはなれない気がしています。やってあげてるのに!とつい思ってしまいそう。



>後姿も前姿も、ちゃんと恥ずかしくないように生きたい

山桜さんは素敵なお母様ですよ。ブログだけでも十分感じ取れます。



無償の愛や赦しをたくさん頂いてきたのだから私も少しでも周囲にお返ししなくちゃ。

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目一杯のパワー♪ (ジジのママ)
2006-08-07 21:22:38
素敵なお友達ですね♪

彼の言葉にママも共感!

その時に出来る目一杯のパワーを出せるように頑張っていきたいですね。

よし、元気が出ました・・・頑張るぞぉー♪
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なるほど。。 (藍♪)
2006-08-08 00:34:08
やってあげているじゃなくて、

やらせてもらっているっていうかんじかな?



たまごさんにはいつも脱帽させられてばかりなのに。

まけてはいられませんね(笑)

私もやれることはどんどんがんばってやって

行かなければ行けませんね♪

がんばります~♪

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