茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

星野道夫の世界

2016-11-17 13:23:54 | 思い出の人/素敵な人
 10月の終わりに星野道夫さんの没後20年特別展にでかけた。”アラスカの自然と動物、そこで暮らす人々をこよなく愛した写真家の、仕事と心の回顧展”
 平日の昼間なのに、会場は大勢の人でごったがえしていた。感動した私は、二日後、娘を連れてもう一度出かけた。沢山の動物たちやオーロラの写真に娘は喜び、楽しんでいた。一番好きな写真はどれだった?と聞いたら、かつて私が一目見て気に入ったのと同じ写真だった。

 私が彼の写真を知ったのはタテゴトアザラシの赤ちゃんの写真だった。真っ白な世界の中、丸々太ったふわふわの白い体、こちらを見つめる真っ黒な大きなうるんだ瞳を見て、心をわしづかみにされた。見た瞬間、心が癒されるというか、解放されるというか、なんとも言えない感覚だった。でも、それから特にまとめて彼の写真や経歴に触れることはなく、今回、初めて沢山の写真を見て、その生き方を知った。生き方を知って、写真にもその人の大切なものや心が現れるんだとつくづく感じたのだった。
 アラスカに行くきっかけになったのは、大学を卒業するころに出会った一枚のアラスカの写真、それから、その村の村長宛に手紙を出し、受け入れられてアラスカでの生活が始まった。その写真や手紙も展示されていた。アラスカを心から愛し、そこに住んでそこでの生活や人々、とりまく環境を知り、撮り続けたからこそ、ファインダーをのぞく彼の温かさや人間性が感じられる写真だからこそ、いつになってもその写真は多くの人を魅了するのではないか。

 写真と共に、彼が書いた言葉も添えられていた。

 「人間の気持ちとは可笑しいものですね。
 どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。
 人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。
 きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。」

 「短い一生で 心魅かれることに 多くは出合わない もし君が見つけたら 大切に・・・大切に・・・」

 最後に自筆で書かれたこの言葉を読んだ瞬間に、私にとっては茶道だ、改めて大切にしようと思いつつ、会場をあとにした。


星野道夫HP
http://michio-hoshino.com/index.html

新装版 Alaska 風のような物語 [ 星野 道夫 ]



ナヌークの贈りもの [ 星野 道夫 ]





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2 コメント

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写真って・・・ (春旦)
2016-11-20 06:29:18
わたしも若いころは写真が趣味で毎週休日は写真を撮りに朝早くから出かけたものです
動物写真・人物写真は苦手でモノクロの風景が主でした
義母も写真が趣味で福岡では写真が上手なお婆ちゃんとしてちょっと知られた存在でした
星野道夫さん残念な事故で亡くなられてますね
このコメントを書きこむ前に調べました
写真ってその人を現します
無名の方でも良く展示会にも行きました
もちろん感覚や発想のちがいなど手本になるものばかり・・・
そこで素質と言うものがもう分かって来る
彼の言葉・・・60歳をすぎましたので、なるほど良くわかる
短い一生なのか・・・まだまだと本質がつかめず・・・と
あせっても何も手に入らないと気づくとゆっくり前に進む・・・わたしはそ~んな感じでしょうか?
tamagoさんもあせらずに情熱さえ耐えなければよいのですから・・・
茶道を選んだのでしたら今・・・どこの関所あたりでしょう~?
看脚下・・・一歩一歩進んでください!
返信する
写真 (m-tamago)
2016-12-14 12:58:57
春旦さん、また早々にコメント頂きましたのに、申し訳ありません。こんな私にいつも温かなコメントを頂きまして、ブログを続ける励みになっております。お詫びと共に心から感謝申し上げます。

春旦さんも写真お好きだったんですね。
ファインダ越しにその方の気持ちも一緒に入っている感じの写真が好きです。

情熱を持ちつつ、看よ却下、で一歩一歩進みたいと思います。まだまだたくさんの関所をくぐらなければならなそうです~。これからもよろしくお願い致します。
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