今年中の出版を目指していたがギリギリ間に合った。2006年の南米旅行の極め付けはマチュピチュだった。18年前の写真を見ながらChatGPTのアシストで書き上げた。
マチュピチュ紀行
宮本正男
目次を添付します。
ハイラム・ビンガム
出発駅
ウルバンバ川
アグアス・カリエンテス
遺跡への扉 . . . 本文を読む
すでに18年になる。ペルーのクスコで骨董ガラクタ入り乱れて商っているテント小屋の店で見つけた諸尊仏がんを書棚の上に安置させていただいている。そろそろお手入れしなきゃと数年ぶりに手にしてホコリを払いこびりついた汚れを取る。金属製の蝶番を外して重曹とアルミに熱湯を注いで錆を取る。銀のブレスレットはこんなに綺麗になったのにこの蝶番おそらくニッケルだろうが黒ずんだ錆がなかなか取れない。リューターを駆使して . . . 本文を読む
花崗岩の石切場は、観光客の目が集まる有名な遺跡とは異なり、自然と人間の手が静かに交わった場所だ。石を切り出すための無骨な作業の跡が、この場所にはそのまま残っている。無造作に積み上げられたように見える岩の群れだがインカの人々は巨石を切り出し、それを使って壮大な建築物を築き上げた。
この石切場が持つ魅力は原初的な力にある。花崗岩がむき出しになっているその様子は、古代のインカの石工 . . . 本文を読む
ワイナピチュへの入り口に立つと、青い標識が私を迎えている。その色こそ鮮やかだがよくみると古びて錆びつき、長い年月が経ったことを物語っている。石段の隙間にしっかりと根付いたこの標識は、あまり目立たない場所にありながらも先へと誘うようだ。大勢の観光客がこの標識を目にし、ワイナピチュへの道を歩んでいったのだろう。その足跡が、この場所に刻まれている。周囲には、インカの石組みがしっかりとした壁を . . . 本文を読む
視界10メートル先は、ただ霧に包まれている。濃い霧の中、何も見えない、音も消されたかのように静かだ。私は、その霧の中に立ち、目の前の世界が消えていくのを見つめる。まるで、時間や空間がぼやけて、すべてが一瞬のうちに過去に飲み込まれていくような感覚だ。
先が見えないということ。それは、自分の内面と向き合わざるを得ないということでもある。目を凝らしても、前に進んでも、同じ霧の中にい . . . 本文を読む
バスが通ってきたウルバンバ川を眼下に見下ろす地点に立つ。山々がうねりながら続く壮大な景観の中に、太古の地層が剥き出しで浮かび上がる。流れる川は遥か下を通り、山々は、険しく切り立つが深い緑がその厳しさを少し和らげている。雲が低くたなびき、遥か遠くにそびえる山頂が一瞬見える。ここまでバスでやってきたのかと険しい道のりを思い返し感慨に耽る。
マチュピチュの壮大な遺跡を目の前にした時、まず目に飛 . . . 本文を読む
2007年3月に訪れたマチュピチュの紀行です。すでに17年が経っているが記憶は鮮明で、つまりそれだけ印象が深かったということでしょう。
1911年、アメリカの歴史学者ハイラム・ビンガムがインカ帝国の「失われた都市」を探すため、ペルーのアンデス山脈の奥地へと踏み込んだ。その彼が目指していたのは、「ビルカバンバ」と呼ばれる都市で、インカ帝国滅亡後も残された抵抗勢力が隠れ住んだとされる謎の場所だっ . . . 本文を読む