まさおレポート

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コロナ禍経済対策 周波数帯オークションを財源にアインシュタイ ンが時空の概念によって物理学を劇的に変革したように、FCC も電 波政策において時間という次元に注目しなければならない

2020-04-14 | 通信事業 NTT・NTTデータ・新電電

、比較審査方式に代わり、より効率的な周波数帯の配分を実現できる制度を導
入することは、大きな意義がある。
ここで、電波を利用する事業者が毎年納付する電波利用料について触れておく。電波利
用料は、誤解されがちであるが周波数に対する対価ではなく、事務手続きの手数料や電波
監理の費用に対する支払いである。さらに周波数が割り当てられた事業者は、特段の理由
が無い限り、免許が更新される。つまり現行制度上、事業者は一度免許を取得すれば、周
波数の利用対価を支払わずに周波数を利用出来る。前章で述べた通り、多くの OECD 加盟
国が 1990 年代以降、オークションを次々に導入した一方で、日本は既存企業に有利な割り
当てプロセスである比較審査方式を継続した。そして、実質的な審査を伴わないことが多
い比較審査方式と、周波数の対価を支払わなくてよいという電波利用料の性質が相俟って、
既存企業の既得権益と政府の権益にまつわる官民癒着の疑念がしばしば物議を醸している。

 

国内の議論の流れ4
本節では国内での周波数オークションに関する議論の流れと、その論点を整理する。
周波数オークションについて、初めて政府で本格的な検討が行われたのは1996年であり、
郵政省(当時)が設置した「電波資源の有効活用方策に関する懇談会」で議論がなされた。し
かし 1997 年 2 月に公表された報告書では周波数オークションの導入について、「慎重な検
討が必要と考えられる」と否定的な結論に至った。続いて、政府文書で周波数オークショ
ン制度について言及されたのは、2001 年 3 月の「e-Japan 重点計画」であった。この中で
周波数オークションの導入は、諸外国の動向も踏まえて、2005 年までに結論を得るとされ
た。しかし 2002 年 12 月の「総務省電波有効利用政策研究会 第一次報告書」では、また
も周波数オークションの導入に消極的な結論が示された。その主な理由は、落札額の高騰
によるサービス提供の遅延や、人口カバー率の点でサービスが不十分になるおそれがある
ことであった(和久井, 2002)。その後、2003 年と 2004 年に周波数オークション導入を含ん
だ電波法改正法案が議員立法で国会に提出されたが、否決された。その理由としては大規
模事業者が周波数を独占するおそれがあること等の競争政策上の理由もあったが、実際に
は当時、ヨーロッパで実施されたオークションで落札価格が高騰していたことから、落札
価格の高騰に対する懸念が大半を占めていた。
このようにオークションの導入が進まない中、2000 年と 2005 年に周波数の割り当てが
行われた。まず 2000 年には第 3 世代移動通信システム(以後、3G)の周波数が配分された。
この時は 3 つのライセンスが配分されたが、既存の携帯電話事業者 3 グループのみが申請

4 本節における、国内での周波数オークションを巡る一連の議論は、砂田(2012)を参考にし
てまとめた。
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したため、実質的な審査は行われなかった。同様に、2005 年には新規参入事業者向けに 3G
ライセンスが 3 つ配分されたが、こちらも 3 社のみが申請を行ったため、実質的な審査は
行われなかった。
続いて、2007 年の Broadband wireless access(BWA)向け周波数配分では、比較審査が
行われた。この周波数割り当てでは 2 つの全国免許に対して 4 社の申請があり、事業計画
や技術力、資金調達能力等の条件に基づいて、結果として UQ コミュニケーションズとウ
ィルコムの 2 社に免許が割り当てられた。特にウィルコムは審査において、資金調達能力
に関して最も高い評価を得ていた。しかし経営不振から 2010 年 2 月にウィルコムは会社更
生法を申請し、その後、2007 年の審査で落選していたソフトバンクがウィルコムを買収し、
ウィルコムの有する免許を獲得した。つまり本件では、審査で高評価だったウィルコムに
免許を割り当てたのにも関わらず、最終的には審査で落選したソフトバンクの手に渡った
ため、審査は失敗であったとする意見もある(砂田, 2012)。また審査のプロセスに関して、
総務省は審査結果を数値化して公表する等の透明化確保に尽力したが、審査基準や各項目
の採点・配点は総務省の裁量で決められるものであり、免許を得られなかった事業者から
は審査結果に対して不服の声が上がった。
2009 年 9 月には政権交代で民主党が与党となり、周波数オークションの議論は前進した。
まず『民主党政策集 INDEX2009』に、適当と認められる範囲内でオークション制度を導入
することも含めた周波数割当制度の抜本的見直しを行うことが明記された。そして 2010 年
12 月に「「光の道」構想に関する基本方針」が閣議決定され、周波数オークション導入に向
けての措置・議論が進んだ。これに伴い、第 3.9 世代移動通信システムの周波数帯の割り当
ての際に、「オークションの考え方を取り入れた制度」が創設された。この制度では、新規
に電波を利用する事業者が、移行が必要な既存事業者に支払う費用、言わば立ち退き料の
負担に対して、負担を許容出来る額を入札し、割り当てが決定される。特に今回の割り当
て対象となる周波数帯はテレビ CM でもプラチナバンドと称されたように、良質な電波で
あったため、各事業者は割り当てを受けるべく積極的であった。その結果、申請した 4 社
とも総務省が提示した移行費用負担額の上限である 2100 億円を提示したため、金額面では
比較出来なかった。すると他の項目で比較審査が行われ、結果的にソフトバンクが落札し
た。ゆえに本制度は「オークションの制度を取り入れた制度」という名称であるものの、
本来あるべき周波数オークション制度とはかけ離れており、実質的には依然として比較審
査が行われたに過ぎなかった。
この指摘を踏まえて、2011 年 3 月には「周波数オークションに関する懇談会」が設置さ
れ、我が国でも周波数オークションの導入を目指すべきことが提言された。そして改めて、
2012 年 3 月に電波法改正法案が提出された。しかしながら、本法案は十分な議論がなされ
ないまま、2012 年 11 月に衆議員解散で廃案となった。もともと総務省は 2013 年の 4G 割
り当てに周波数オークションを予定しており、Auction Market Design Forum では東京大
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学の松島斉先生を中心とした経済学者が集い、オークション制度の骨子が作成され、政策
提言がなされた。この提案はオークションの専門的知見を生かした制度設計であり、政府
内でありがちな利害関係者の妥協点を示す「政治的決着」ではなく、経済理論をベースに
しつつ現実問題に即した帰結を導いたものであった(松島, 2012b)。しかし法案の廃案でこ
の骨子も実現せず、2014 年現在、周波数オークションの具体的な議論は進んでいない。

 

 オークション導入のメリット
このように周波数オークションは今まで、しばしば政府の議論で取り上げられてきたも
のの、未だ実現には至っていない。そこで本節では、現行の比較審査方式と比較してオー
クションが有するメリット挙げ、その有用性とオークション導入の意義を確認する。
オークション導入のメリットの 1 点目は「周波数割り当てプロセスの透明性の確保」で
ある。現行の比較審査方式は審査基準や結論に至った理由を明らかにすることで客観性を
担保しているが、審査基準の選定は恣意的に行われる余地がある。この点において、あら
かじめオークションのルールを全参加者に公表し、その結果に基づいて割り当てが決定す
るオークションは、比較審査方式と比較して透明性が高いと言える。前節で述べた 2007 年
の BWA 割り当ての事例も、周波数割り当てには公平・公正な制度が必要であることを示唆
している。また、透明性が高い割り当て制度を設計することで、訴訟リスクも低くなり、
ひいては割り当てプロセスにかかる時間の短縮にも繋がる。
しかし周波数オークションにも欠点は存在する。それはオークションの制度設計の際に、
恣意性が介入する余地があることである。この問題に対しては、4G 割り当ての議論の際に
Auction Market Design Forum が制度設計の骨子を作成したように、政府内部関係者や事
業者のみでなく、外部有識者の客観的な意見を取り入れた制度設計を行うことで対処出来
ると考える。さらに制度によっては、あえて恣意的にオークションの参加資格を制限する
ことで、入札を活性化したりオークション後の競争を促進したりすることも出来る。3 章で
見るように、例えば大規模事業者が落札出来る周波数帯の数を制限すれば、中小企業が落
札出来る周波数帯が増えるため、中小企業の入札が活性化する。そして新規参入企業の存
在により、オークション後の市場競争も促進される。このように恣意的な制度設計を行う
場合も、事業者の理解を得た上で、割り当ての透明性を確保することが大切である。
2 点目は、「情報の非対称性の緩和」である。オークションという市場メカニズムにおい
ては、入札価格が入札者の評価、つまり事業者が周波数をどれくらい効率的に利用出来る
かを反映し、最も有効に利用出来る事業者が落札する。一方で比較審査方式は、情報の非
対称性によって、政府が事業者の真の評価を判断するのは困難である。ここで、事業者が
自ずと真の評価を入札する真実表明入札が最適戦略となるオークションを設計すれば、政
府は入札額を見て事業者の真の評価を知ることが出来る。ゆえに情報の非対称性を緩和し、
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効率的な資源配分を実現達成出来る周波数オークションは有用である。ひとくちに情報の
非対称性の緩和と言っても、有価証券報告書のように企業に情報を強制的に開示させる法
規制と比較すると、オークションは、企業が自身の情報を虚偽なく、誇張なく、自ら進ん
で開示するインセンティブを持たせることが出来る点で優れている(松島, 2012a)。
3 点目は「オークション収入による財政赤字削減」である。オークションを実施すると、
その収入は国庫に納められ、財政赤字の削減に繋がる。昨今の日本の財政状況を鑑みると、
この点は非常に魅力的であるだろう。実際、OECD 加盟国が周波数オークションをこぞっ
て導入した要因の 1 つには、財政赤字対策もあった。これに関し、鬼木(2014)ではオークシ
ョンが国内で実施された場合の落札額を、各国での落札額を元にシミュレーションしてい
る。その額は、1MHz 幅で 62 億円に及ぶ。つまり 60MHz 幅のオークションが実施されれ
ば推定 3,720 億円、300MHz 幅の大規模オークションが実施されればその額は 1 兆 8,600
億円にものぼる。過去に、政府の見解ではオークション導入のデメリットとして落札価格
の高騰がしばしば挙げられてきたが、価格の高騰は裏を返せば政府収入の増大に繋がるた
め、価格の高騰が一概にデメリットであるとは言い難い。
しかし、オークション収入が財政赤字削減に繋がるとはいえ、オークション収入の最大
化を目指して制度設計を行うと、オークションの意味合いが異なってくる。バケロ・黒田
(2011)は 3G の配分に際して、オークションを導入した国としなかった国を比較し、実証分
析を行った。そしてオークションを実施した国では、3G 携帯電話の普及率が低いことを明
らかにした。バケロ・黒田両氏はこの結果を、政府がオークション収入の最大化を目標と
した結果、消費者余剰を損なってでも落札額を上昇させるようなデザインが行われ、新技
術の普及が損なわれた可能性を示唆している、と結論づけた。この議論は国内のオークシ
ョン反対派の論拠にもなっており、オークションを導入する場合には目標をどのように設
定すべきかが肝心になる。つまり落札企業の利潤最大化ではなく、経済厚生全体の最大化
を目標としたオークションルールの確立が必要である。http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/graspp-old/courses/2014/documents/graspp2014-5150010-2.pdf

周波数のような共通価値オークションにおける落札価格高騰は、「勝者の呪い」の可能性
が高い。これは参加者が財に対して過剰な期待を抱き、自身の財に対する評価より極端に高い価格を皆が入札し、落札価格が高騰するため、落札者が結果的に損をする現象である。

 

オークション実施後の懸念として、落札価格やオークション参加に係るコストがサービス料金の値上げを通して、消費者に転嫁される恐れがあると主張する人もいる。しかし、理論上はオークションの落札価格はサンクコストになるため、消費者向けサービスが競争市場である限り、サービス料金は値上げされない。9事実、民間調査会社の StrategiesGroup の調べでは、携帯電話サービスの 1 分当たり平均料金はオークション終了前が 0.58ドル、その後 2000 年には 0.21 ドルとなり、値下げの傾向が見られる(内閣府, 2002)。

 

2015 年に実施される 4G オークションでは「インセンティブ・オークション」と呼ばれる手法が用いられる予定である。13このルールを用いたオークションは世界初であり、その動向と結果が
現在、各国から期待されている。インセンティブ・オークションは、始めに放送局が使用
する周波数帯を自発的に政府に譲渡させた後、SMRA による周波数オークションと同様に
事業者が入札し、割り当てが決定する。そして収入の一部は、周波数を譲渡した放送局に
還元される。今回は 4G デジタルテレビへの移行で節約された周波数帯がオークション対
象となり、250 億ドルの収入が見込まれている。

 

オークションの目的はオークション収入
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の最大化ではなく、あくまでも周波数の効率的配分であると明示すべき

 

アメリカでも、1980 年代に携帯電話の審査を抽選にしたら何万
件も申請が殺到して事務が破綻し、90 年代に周波数オークション
をやらざるをえなくなった。http://ikedanobuo.livedoor.biz/%E6%96%B0%E3%83%BB%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E5%88%A9%E6%A8%A9.pdf

 

FCC のマイケル・パウエル前委員長は、次のようにのべている。

電波政策の最初から、政府はこの資源を周波数と空間という区画
でわけてきた。特定の帯域を特定の地域で永久に使うことを想定し
て使う免許を与えてきたのである。しかし 90 年前、。

経済学者ロナルド・コースが 1959 年に指摘したように、たとえば
レンブラントの絵は非常に稀少だが、オークションで取引されてい
る。市場とは、まさに稀少な資源を効率的に配分するメカニズムな
のである。
コースは、「電波も美術品のようにオークションにかければよい」
と提案したが、この提案は 1950 年代にはあまりにも突飛なものと
考えられ、まじめに検討されなかった。

 

電波が国有財産かどうか
には議論があるが、国有財産だとすれば、それを競売で売却するこ
とが財政法の原則であり、競売にしない理由がないかぎりオークシ
ョンが当然だ。
周波数オークションに反対する経済学者の議論としては、「オー
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クションは戦略産業である通信産業に対する巨額の課税だ」という
批判があるが、逆にいえば無償で配分することは通信業界への巨額
の補助金である。日本で最大の利益を上げている携帯電話業界に補
助金を出す必要があるのだろうか。かりに NTT ドコモが電波を
3000 億円で落札したとしても、営業利益の 4 ヶ月分にすぎない。

官僚が市場より正しく価値を評価できるとは限らない。電波部が日
本の 2GHz 帯で免許を割り当てたアイピーモバイルも、2.5GHz 帯
を割り当てたウィルコムも倒産した。

 

アメリカでは、最近は 3 億ドル/MHz 程度で落ち着いている。
SIM ロックの禁止などの付帯条件をつけるオープン周波数オーク
ションを行なえば、免許料は下げることができる。企業買収という
「闇市場」があるのに、オークションという「公式市場」がないこ
とがおかしいのだ。

 

総務省の仕事は地
デジなどという時代錯誤の事業で彼らを延命することではなく、地
方民放を「安楽死」させてモバイル産業に無線インフラを譲ること
だ。その「痛み」をやわらげるために数百億円ぐらいの補償金を出
しても安いものだ。それによって創造されるビジネスは数十兆円規
模になり、日本経済を救うリーディング産業になる可能性もあるの
だから。

 

電波法の一部を改正する法律

Society 5.0、電波法、電波利用料、特定基地局、実験等無線局 

1 Society 5.0 とは、「①サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度
に融合させることにより、②地域、年齢、性別、言語等による格差なく、多様なニーズ、
潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで経済的発展と社会
的課題の解決を両立し、③人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、
人間中心の社会」と定義されており、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新
たな経済社会と位置付けられている(平成 28 年5月閣議決定「科学技術イノベーション総
合戦略 2016」)。

2017年の記事

米連邦通信委員会(FCC)は米国時間4月13日、198億ドル規模の周波数帯オークションの落札企業を発表した。FCCによると、T-Mobileが80億ドルを投じて、最も多くのライセンスを取得したという。2位のDish Networkは62億ドル、3位のComcastは17億ドルを投じた。

FCCは84MHzの無線周波数帯について、テレビ局各社に計105億ドルを支払うと述べた。https://japan.cnet.com/article/35099783/

9500万円から6200万円/MH

6200万円*84MHz=52億円

周波数オークションにより得た免許等の有効期間は、一般的に概ね10年から20年の間で設定されている。

周波数オークション導入時の下院報告書(HOUSE OF REPRESENTATIVES REPORT 103-11)によれば、同制度が導入された背景として、それまで免許人
の選定手続として採用されていた比較審査方式及びくじ引き方式について、前者は選定に時間がかかる、後者は周波数を適切に利用する能力を有しない者が選
ばれる一方、新技術を開発した者が選ばれない場合があることや転売目的での応募が多数あるといった問題点があることが指摘されている。

 

米においては、法律上、周波数オークションの対象は初回免許とされており、免許の更新時に周波数オーク
ションは実施されていない。また、独においては、法律上、周波数オークションの対象とすべきでない場合に該
当し得る例として、周波数オークションによらずに既に周波数割当を受けている場合が挙げられている。
■その他の国においては、法律の明文はないが、尐なくとも携帯電話用周波数について、再免許又は免許の更
新時に、周波数オークションを実施した例はない。

 

周波数オークションにより得た免許等の有効期間

周波数オークション毎に定めている。
(例)
700MHz帯オークション(2008年実施): 2009年6月13日から10年を超えない期間(ただし、放送サービスの場合は8年
を超えない期間。)。

 

減価
償却
非償却

 


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