トロッコ問題あるいはトロリー問題とは、「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という倫理学上の問題だがコロナ感染対策の観点からも重要な課題となる。
トロッコ問題に第3の回答「誰も死なせずに解決する」を実現できるという方法がナローの泉(@hornby32mm)によって示されている。二本の線路の分岐ポイントを中立にするとレールの行先を失ったトロッコは止まる。https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1904/15/news114.html
ここでポイントレールを「中立」にする方法とはPCR検査をするが軽症者、無症状者は自宅隔離で様子をみる方法の徹底かと思われる。(楽天の三木谷氏が提唱している。)
この方法には問題が二つあることもよく知られている。
一つはPCR検査の正確性だろう。高橋洋一氏のように50%もの誤差があると指摘する評論家もいる。
二つ目は検査で陽性が出た場合に冷静に自宅隔離を行えるかどうかだろう。
この二つの問題が絡み合うと擬陽性、擬陰性の場合に人々は病院に押し掛ける、あるいは感染元となって感染を広げる。医療崩壊に通じるリスクを負うことになり公衆衛生の根本にかかわる大問題となるだろう。孫正義氏はこの反論によりPCR無償配布を断念してマスク配布に切り替えた。
こうしてみるとコロナ問題に関して言えばポイントレールを「中立」にするという方法は存在しないように見える。
唯一考えられるのは統計的手法でどちらが優れているかを判断することだろう。世界各国の感染者数と死者数の推移から判断するしか確かな公衆衛生政策は打てないだろう。(これは前述の高橋洋一が現代ビジネスなどの寄稿で明らかにしている。)
統計的手法では他の様々な要因が入り込むことを除去しなければならない、例えば喫煙率やBCG接種率、老齢者の割合、衛生観念の度合い等々。しかし時間は限られている。当座の結論を得ることが大事だろう。詳細な分析は後でよい。
トロッコ問題に対する回答はおそらく国によって相当変わると推測される。同様にコロナ感染の阻止についてもお国柄が顕著に現れるだろう。幸い日本ではおおむね統計的手法による公衆衛生政策が理解され支持されているように思える。しかしアモーレの国イタリアではいまだにハグやキスが続いているという。