昨年の大きな拾い物?は、東京JAZZで唯一名前も知らなかったDAVE KOZのステージが、最高に楽しかったことでした。こんなにすごい人がいるのを知らなかったなんて、わりと深く音楽を聴いているほうだけどまだまだだな、と。
で、来年もしブルーノートに出ることがあれば絶対に観に行く!と決めていました。だからTRIXのDVD収録の1週間後だったけれど(もしかするとTRIXより先にDAVE KOZのライブの予定が入っていたかも)行ってまいりました。
以前は3時頃に整理券を配って、それをもらってから外で軽く食事をして、また夕方に店に戻る、という感じでしたが、最近整理券をやめたみたいで、人気の公演は5時半の開場前に並ぶお客さんが多いと聞き、5時すぎに行ってみましたが、すでに階段の上まで人が並んでいました。並んでいる間にお友達とも合流でき、いざ店に入ってみると、もうすでにアリーナ?席はいっぱいで、お店の人に「ブライアン・シンプソンさんの良く見える席ありますか?」と聞くと、MOTIF2段積みがど真正面に見える左サイドの1段高い席に案内してくれました。(若いのにものすごく物腰が柔らかで親切な方だったので、思わずお友達と賞賛してしまいました)
久々のブルーノート、食事を楽しみつつ開演を待っていると、あ、あれはブライアンでは??音楽ディレクターも兼ねているという彼、真剣に楽器周辺でチェック作業をしていました。その日はブルーではなく、黒っぽいシャツ姿でした。
7時ちょうどに照明が落ち、まずブライアン、ベースのビル・シャープ、ドラムのスティーヴォ・シアード、新ギタリストのランディ・ジャコブスが登場。その後本日の主役が現れると、会場は割れんばかりの拍手。デビュー・アルバムからの曲「Give It Up」からスタート。もうこの1曲で「来た甲斐があった!」と思いました。小柄な体で歌うようにサックスを吹きまくるデイヴを見ていると、心から楽しいと思えるのです。しかもやっている音楽は本当にカッコイイ!ブルーノートの紹介文によると「音楽はエンターテイメントだ」「そのためにはテクニックを出し惜しみしない」この2つがデイヴの音楽のキーワードなんだそうです。暗い顔で淡々とサックスを吹かれるより、楽しげに踊りながら吹いている姿を見るほうが、こちらの顔も自然と笑顔になってくる。音楽で人を楽しませるには、ただ演奏するだけではダメなんだな~と、改めて思いました。
昨年の東京JAZZでの登場曲「HONEY-DIPPED」などで盛り上げたあと、映画音楽コーナーへ。「OVER THE RAINBOW」もよかったけど、何と言っても今回のスペシャル・ゲスト、19歳の新人ケリー・スウィートが歌った映画「ウエストサイド物語」の曲、「SOMEWHERE」にはやられました。まず登場して自分の曲を2曲ほど。名前の通り甘くてセクシーな歌声に「これで19歳??」。ちょっと引き込まれてしまいました。初めて日本で歌うとあって、お客さんもみんな優しくて、1曲歌うごとに拍手が長く続いていました。お客さんの層は私たちより上め。みなさんきっと自分の娘を見るような気持ちだったんだろうなあ。かくいう私もそんな感じ。デイヴも優しい目で見つめていましたが、最後のほうは結構くっついちゃったりして、これは男と女の演出なんだろうか??と思い見てました。日本人のバンドでこんなことやっちゃうと女性ファンが怒りそうだけど、いいなあ、アメリカの人はさまになって。
彼女が歌っている間にいったんどこかへ行ってしまったデイヴ、カサブランカのボギーに変装して戻ってきました。帽子にトレンチコート姿で「AS TIME GOES BY」を演奏したあと、例の「SOMEWHERE」が始まったのですが、何といってもブライアンのキーボード・アレンジ(たぶん全体のアレンジも担当しているんだと思いますが)が素晴らしく、JAZZYなハーモニーのところに彼女の透明感のある声が乗ると本当にきれいで、じわじわと泣けてきてしまいました。あああ~、19歳に泣かされた。私が21の時に生まれた子やのに・・・。
映画&ボーカルタイムは終わり、大好きな「SILVER LINING」のあとはブライアンのソロ・アルバムから2曲!これはうれしい。ショルダー・キーボードで登場し、ニューアルバムの中からしっとり系の「LET’S GET CLOSE」と、昨年もやってくれた「IT’S ALL GOOD」を。デイヴもブライアンも好きな私にとっては、これほどオイシイライブはないです。いや~、満足満足。
その後、これも昨年のライブでやっていて、曲もパフォーマンスもとても気に入った「YOU MAKE ME SMILE」を。ミドルテンポの明るい曲なのですが、曲の途中でデイヴが大男のビルにケンカを吹っかけて反撃にあうという、まるで吉本新喜劇のようなパフォーマンスが最高におかしくて・・・。最後は2人で尻ずもうまでするという、仕込みたっぷりの曲で、客席の盛り上がりも最高潮に。
これまでのMCは当然英語で、お客さんの中には全てわかって笑っているかたも結構おられました。すごいな~。時々デイヴが日本語をしゃべるのですが、一番おかしかったのがカンペを見ながら言ったこの言葉。
「ブルーノートのごはんは、マジ、ヤバイ」
もう大爆笑でした!高めの客層だったので、みなさん本当の意味、わかっていたのでしょうか。私も一瞬考えてしまいました。
英語は何とか聞き耳をたててはいたのですが、一番わかりやすかったのが「小さい秋見つけた」の時のMC。初めて日本に来た時、桜が咲いていたので演奏した曲が・・・と言いつつ、デイヴがドラムのスティーヴォにふるとスティーヴォが「さくら、さくら~」と元気な日本語で答え、場内大拍手。それから夏に来た時演奏したのは・・・と、今度はラバーマン、ビルにマイクを向けると、ビルが低い声で「なつの、おもいで~」と一言。またまた場内大拍手。するとデイヴがそれをマネて、ビルがずっとその一言を練習していて、朝食の時も「なつの、おもいで~」とつぶやいていたと暴露。かわいいエピソードについ笑ってしまいました。
そして今回は秋、次にふったのはギターのランディでしたが、彼はゼッタイにしゃべりたくなかったみたいで、カンペを一番前のお客さんのところに持って行き、そのお客さんに「小さい秋見つけた」と言わせていました。(長かったから覚えられなかったのかも)で、その曲をみんなで歌うことに。実は童謡とか唱歌って、歌詞がうろおぼえなことが多くて、ちょっとテキトーでしたが歌っておきました。
日本に来るから日本の有名な曲をやるというその考えがウレシイ。デイヴのサービス精神、すばらしいです。見習いたい!
最後の曲、「 I’LL BE THERE」では客席も一緒になって手を振ったり、それぞれのメンバーのコーラスorソロで盛り上がりました。スティーヴォの声はファルセットでとてもカッコよく、まるでフィリップ・ベイリーのよう。ランディはやはりコーラスではなくギターソロだったのですが、それまで黙々と弾いていたのに最後は寝転んで弾いたり、ロックっぽくかき鳴らしながら大暴れしたり。そのはじけ具合にお客さんも大盛り上がりでした。
終わってみて、これほどのエンターテイメントはないなあって思いました。素敵でオシャレでかっこいい大人の音楽、だけど笑いもたくさん盛り込まれていて。1時間半は他のライブと比べると短いけど、密度が濃い分、大満足でした。
帰り際、CD販売のコーナーをのぞくと、ダンナさまが売ってないと言ってたブライアンの1枚目「closer still」を発見!思わず購入。これでブライアンのソロ・アルバムはコンプ達成!(デイヴは??)また来日した時はぜひ行きたいです。