「ある心臓外科医」
❤レジ袋両手にさげて夕ぐれの坂道上がる、心臓が重い 松井多絵子
2012年に天皇陛下の心臓バイパス手術の担当に抜擢された天野篤さんが昨日朝日夕刊で大きく取り上げられていた。「手術は頭を使わない」という見出し。左手をひらき右手にメスを持った白髪まじりの心臓外科医・天野篤さんの文庫本サイズの写真。58歳にしては老けている。手がけた手術は6500例、今も年に500例以上執刀、成功率は98%だそうだ。
天野篤さんの手は太く厚い。右手の指が左手より少し大きいのはパチンコが原因らしい。
学生時代はパチンコとマージャンに熱中した。指先の感覚や手術に必要な感性はこのときに磨かれたとは。マージャンで頭脳と頭脳が戦う勝負の世界観を学んだそうである。
心臓に持病を抱える父を治したくて、心臓外科医を目指した。研修医を経て千葉県の病院に就職。父の手術にも立ち会ったが、救えなかった。悔しさがバネに。新東京病院に務めていたときオフポンプ手術と出会う。心臓を止めず冠動脈をバイパスでつなぎ患者の負担を減らす。
2002年に順天堂大教授に就任。付属病院の心臓手術の数を全国トップレベルに押し上げた。左手で爪を切り、思い通りに動かす訓練を怠らない。私の好きなタイプの野太い人。
今月、天野さんは★著書『熱く生きる』を刊行。帯のコピーは「偏差値50からの闘う人生
哲学」。目次には「仕事に飽きるのは中途半端に妥協しているからだ」 この言葉に私の心臓はドカンと打たれました。天野篤先生の心音が伝わる言葉ですね。
☀ 予報では雨でしたが晴れて温かな2月最後の日、)^o^( 松井多絵子