✿ 心の花のシンポジゥム ✿
夏は涼しい国、冬は暖かい国で老後を過ごすのが、わたしの長年の夢である。昨日、「心の花」の全国大会のシンポジゥムで 「われわれは国際化の中で何を歌うか?」 を拝聴した。海外から来日された会員を交えて、7人の方々の活発なお話は楽しかった。
① 青木泰子 アメリカに永住し、望郷の歌にならないように気をつけて日本を詠む。
♠ 腕の中で眠りはじめる児の重さ いざという時いついざのアメリカ
② 梅原ひろみ 2年前まで8年弱、ベトナムに。短歌を始めて数年の一番多作だった頃。
♠ 君は我を忘れゆくらむ過ぎし日のマングローブの水漬く根元に
③ 宇都宮とよ お子様の滞在なさるニューヨークでの生活。日本を見る目に少し変化。
♠ 三人の家族となりて子らは立つフォレストヒルズの合歓の木の下
④ 谷岡亜紀 私にとって海外詠とは、すなわち旅の歌です。
♠ 徴兵にやがて話が及ぶとき黄砂激しくけぶる国境
⑤ 佐佐木頼綱 カンボジアは私の価値観を揺さぶる国でした。
♠ 広げれば風に膨らむ地図を抱き今カンボジア国境を越ゆ
⑥ 佐藤モニカ 海外で生まれ育ち沖縄に留学。日本語で表現したい欲求は強い。
♠ 空見上げ星を探して祖父思ふブラジルは今朝だけれども
⑦ 藤島秀憲 日本の本州以外は知らない。想像力と言葉で海外詠を越えられるか。
♠ 幸せだ 青葉若葉を通り抜け日差しが届くジャムを塗る手に
2時間におよぶシンポジウム。ほんの一部しかご紹介できないのが残念です。小塩卓也
氏の講演 「短歌の国際化」 佐佐木定綱氏の 「心の花と国際化」は割愛しました。
8月最後の涼しい日曜日 松井多絵子