えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

愉しい風が怖ろしい風に

2019-10-30 14:52:11 | 歌う
短歌を始めたばかりの頃、歌会で或る歌人が「中々詠めないときは風を吹かせればいい」と言ったことがあった。

💮 詩人なら言葉を捨てよと君云いし後は窓打つ風の音のみ

私はすぐに一首を作った。たしかに風は詠みやすい、風そのものが詩なのだ、私は気軽に風を詠んだ。

🌻いくたびも風の曲線くぐり抜け古代に来ておりジ一ンズのまま

💮このような風もなくよく晴れた日は
笑ってごらん耳成山よ

💮耳飾りのひとつを失い右の耳ばかりが風のうたごえを聞く

💮ギタリスト去りて舞台に椅子ひとつ明日のことは風に任せる

でも近頃は風を詠み辛い。風の怖ろしさに迫られている。風を愉しむことなど私はできなくなってしまった。心地よい微風も急に暴風になりかねない。

「歌が出来ないときは風を」と教えてくれたあの歌人はすでにあの世に行ってしまった。

💮目標に遠く離れた位置にいて何を捨てればいいのか風よ

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