ちのとこ

たぶん プチブライスな毎日。←えええ!?
 今はゴールデンカムイに浮気中です(多分来春くらいまで)。

スバル4月号

2022-05-24 18:20:40 | 金カム脳

すばる4月号借りてきました。



最果タヒさんは、他にもゴールデンカムイについて文章を書かれています。

「狂わす人、狂わされる人」
https://tahi.hatenablog.com/entry/2022/05/18/121026

私がちょっと違うように読んでいるのは、たぶん鶴見中尉についての見方のせいです。鶴見さんは確かに自分についてくれる人を欲しがって策を弄する人だけど、それ程何もかも狙い通りだったりそこまで読んで動いたりしてもいなくて、たぶん月島に対してはとても誠実でいるんです。しかしそう尽すほど何故自分などにそこまでする。他に違わず裏があるのではと月島に疑われる。
と、同時に自分を思って動いてくれる人には異常なまでに甘い人です。
月島はたぶん鶴見から受ける指示にはそこまでを含めて自分に命じてると思っていて、実際に戦果をあげてくるので、鶴見も月島の期待以上の戦果に両手を上げて喜ぶ。
大体はそれで上手くいくんですが、例えばですが思うに和田大尉をやったときも、そこまで思ってなかったのに月島撃っちゃったんじゃないかと。月島にとってはそういう命令だった。でも鶴見はそこまでは思ってない。けど絶対に月島を責めたりしない。自分の命令だったように全部片付けてしまう。だから月島もやっぱりそうだったんだと疑わない。お互いに気づくことなくお互いの溝が深まっていく。
和田大尉のことは憶測にすぎないですが、そんなことがいくつもあったろうと容易に想像ができます。
鶴見は月島に誠実でいるほど、月島が期待以上の戦果を上げてくるほど、すれ違いが深まっていくことにお互いが気づかない。
これが鶴見と月島のエモいとこです。

タヒさんの文章と関係ない話ですが
このいごちゃん問題で
混乱しちゃってる文章をあちこちで
よく見かけて、その度悲しくなるのですが
いごちゃんのことで悪だくみをしたのはいごちゃんの両親です。
鶴見さんは何があったのか
調べに行ってくれただけです。東奔西走。
(だけ、というには確かに、偽死体を掘り起こしてみせたり余計なことはしたけども、月島にも春見家的にも良かれという判断だと思う)
月島が戦死したと聞かされて東京で結婚してしまった(両親の意向)。この時点でまだ月島は死刑囚。だから鶴見はいごちゃんに何も告げず、髪だけもらってきた。
(上官が訪ねて来たのだからいごちゃん的にはいよいよ戦死は本当なのだと思ったことだろう)

そして「甘い嘘」も月島の言葉です。
月島にとって鶴見はそういう人物。
でも実際の鶴見さんは
月島に甘い嘘などついていないのでは?
人を騙すような任務を共にこなす中、月島には常に表裏なく接していたのではと思います。
思った以上過ぎる戦果を手放しで喜んで見せるのが甘い嘘と言うならそのとおりだけど、月島はそれに気づいてない。手放しで喜ばれるたび、鶴見は冷酷で厳格で非情で甘い嘘をつく人だと確信されてることも知らない。

いごちゃんの話を9年後に蒸し返したのは、たぶん月島の心が離れている恐れを感じたからでは?(それは鯉登君誘拐事件などのせい)しかし蒸し返したせいでいっそう拗れて溝が深まってしまった。月島は鶴見中尉にとってやっぱり自分も策を弄する対象なんだととうとう確信してしまう。鶴見は月島の心をがっちり掴めたと思う。表面上はうまく行ったように見えるのでその間違いにお互い気づかない。
これぞ鶴見と月島です。エモ過ぎますね。

ついでに書くけど
樺太で杉元に刺された鯉登君についた月島。後ろを通り過ぎる鶴見。声をかけないことを内心で責める月島ですが、鶴見は月島に任せられるから何も言わなかった。ここも鶴見と月島です。二人のすれ違いが超エモい。鶴見さん可哀想。



あといごちゃんに思うことは、たぶんのちに風のうわさで月島が父親を殺して死刑囚になったと、耳にするんじゃないかと思う。両親の企みが発端だと知って、どう乗り越えるのか。だから佐渡でいごちゃんは死んだとみんなに見せた事が効いてくる。故郷と繋がりがなくなれば漏れ聞こえまい。いごちゃんには死刑を免れてその後もずっと戦地で活躍した月島の話までは伝わらないだろう。
やっぱり鶴見の英断としか思えない。