小山田圭吾と小沢健二が在籍していたバンド、フリッパーズ・ギターの3rdアルバム。
彼らの最後の作品であり最高傑作。
これまで渋谷系と呼ばれるポップでオシャレなサウンドを作ってきた彼らですが、本作では実験的でサイケデリックなサウンドが展開されています。
意味深な歌詞とサンプリングが多用された独創的でサイケなサウンドにより、一度聴き始めると音の沼にハマって行くような感覚に陥っていきます。
また、当時流行していたプライマル・スクリームやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインからの影響がみられ、ダンスロックやシューゲイザー風の曲が存在することも特徴。
終わりを意識させるような一つの曲の流れが存在し、最後の楽曲を聴き終わったときの感動は素晴らしいです。
【トラックリスト】
1. DOLPHIN SONG/ドルフィン・ソング
2. GROOVE TUBE/グルーヴ・チューブ
3. AQUAMARINE/アクアマリン
4. GOING ZERO/ゴーイング・ゼロ
5. (SPEND BUBBLE HOUR IN YOUR) SLEEP MACHINE/スリープ・マシーン
6. WINNIE-THE-POOH MUGCUP COLLECTION/ウィニー・ザ・プー・マグカップ・コレクション
7. THE QUIZMASTER/奈落のクイズマスター
8. BLUE SHININ' QUICK STAR/星の彼方へ
9. THE WORLD TOWER/世界塔よ永遠に
『DOLPHIN SONG/ドルフィン・ソング』
ビーチ・ボーイズの『God Only Knows』がサンプリングがされた楽曲。一部強烈にエフェクトをかけた箇所があるのが特徴。
出だしの歌詞『ほんとのことが知りたくて 嘘っぱちの中旅に出る』がとても印象的。
『GROOVE TUBE/グルーヴ・チューブ』
ノリのよいダンスロック。様々なサンプリングが使用されておりグルーヴィー。
『AQUAMARINE/アクアマリン』
ささやくように歌われる楽曲。マイブラからの影響が見られます。
『GOING ZERO/ゴーイング・ゼロ』
前曲とはうってかわってアップテンポな渋谷系の楽曲
『(SPEND BUBBLE HOUR IN YOUR) SLEEP MACHINE/スリープ・マシーン』
ロリータ・ハラウェイの『Love Sensation』がサンプリングされたパーカッションが印象的な楽曲
『WINNIE-THE-POOH MUGCUP COLLECTION/ウィニー・ザ・プー・マグカップ・コレクション』
ジーザス&メリーチェインを彷彿させるポップなノイズロック。
『THE QUIZMASTER/奈落のクイズマスター』
プライマル・スクリームからの影響が見られるダンスロック。個人的に本作で一番好きな楽曲です。
『BLUE SHININ' QUICK STAR/星の彼方へ』
シングル化されたキャッチーな楽曲。
『THE WORLD TOWER/世界塔よ永遠に』
10分に及ぶ大曲。様々なサウンドが一つの組曲のように流れてくる緊張感と心地よさを内包する楽曲。
歌詞に存在する『僕は穏やかに死んでゆく いつも少しずつ死んでゆく』が印象的でありバンドの終焉を示唆しています。
総評として実験的で音への探究心に溢れた本作はJ-Popの究極の芸術作品の一つとして数えられるほどの名盤となっています。
DOLPHIN SONG/ドルフィン・ソング
THE QUIZMASTER/奈落のクイズマスター
【余談】
本作は一部無許可でサンプリングが行われているとされ、権利的な問題から一度も再発がされていません。
ゆえに保存状態の良いものはプレミア価格がついている作品となっています。
(それでも裸のラリーズの作品やフィッシュマンズの『98.12.28 男達の別れ』よりは安いのだけど)