名盤まとめブログ

ジャンル問わず名盤をまとめていくブログです。私は音楽ゲーム愛好家でもあり、音ゲー曲もまとめるのでぜひ聴いてみて下さい♪

【月影の騎士】Selling England by the Pound(1973) - Genesis

2024-12-30 19:13:26 | ・1970年代(洋楽)
イギリスのプログレバンド、ジェネシスの5thアルバム。『月影の騎士』という邦題が付いていることでも有名な作品です。

ジャンル:プログレッシブ・ロック
オススメ度:★★★★★

ジェネシスはピーター・ガブリエルを中心として結成されたバンドであり、1970年にフィル・コリンズ(ドラム)とスティーブ・ハケット(ギター)が加入することによりプログレバンドとしての地位と名誉を獲得することになります。

作風は叙情的でストーリー性の強い楽曲が特徴であり、ジェネシスというバンドの最大の魅力。また、ライブにおけるピーター・ガブリエルの演劇的なパフォーマンスも人気の一つでした。

ハイライトはオープニングを飾る「Dancing with the Moonlit Knight」、シングルヒットした「Know What I Like (In Your Wardrobe)」、イントロのピアノが印象的な「Firth of Fifth」、アルバムB面のメインである「The Cinema Show」などです。

『Selling England by the Pound』はジェネシスの傑作と呼ばれる作品の中でもバランスが良くて聴きやすい作品です。
『Foxtrot』は20分超えの大曲「Supper's Ready」のインパクトが強すぎますし、彼らの最高傑作と呼ばれる『The Lamb Lies Down On Broadway(邦題:眩惑のブロードウェイ)』はロック・オペラ要素が強く長大かつ難解であり、かなりとっつきにくい内容となっています。

【トラックリスト】
1. Dancing with the Moonlit Knight
2. Know What I Like (In Your Wardrobe)
3. Firth of Fifth
4. More Fool Me
5. The Battle of Epping Forest
6. After the Ordeal
7. The Cinema Show
8. Aisle of Plenty

Dancing with the Moonlit Knight


【和訳】
"私の祖国はどこにあるのだろうか"
ただ一人の牧神は愛する人の眼を見て言った
"それは私と共にあるの!"
曖昧な女王はそう叫んだ
彼女の売り物の為に、彼は賞与を交換した

"最新の新聞だ!"
群衆の中で一人が叫んだ
"老人が死んだ!"
彼が残したメモにはテムズ爺さんと署名されていた
どうやら溺れてしまったようだ
ポンドを使ってイングランドを売る

希望と栄光の国民たち
時は過ぎ去り、今こそあなたの時代だ

落ち着いて、座るんだ
ウィンピーの夢を噛み締めながら
音もなく食べる
ポンドでイングランドを消化する

若者は言う"食べるものでどんな人間か分かる"
いいものを食べることだ
老人は言う"着るものでどんな人間か分かる"
いいものを着なさい
自分の身をわきまえながら、気にしない
自家製のベルトが切れる

隊長は一晩中踊り交わす
ダンスに参加するんだ
私に続くんだ、聖杯の太陽が地に落ちるまで
私に続くんだ、手持ちの金が無くなってしまうまで
月影の騎士と踊るんだ
緑の盾の騎士たちは、踏み鳴らし叫ぶ

酒場の外には太った老婦人がいる
クレジットカードを並べて、幸運を占う
カードの山札は最初から不均等で
全てが手から離れ遊んでいる

隊長は一晩中踊り交わす
ダンスに参加するんだ
私に続くんだ、円卓会議が始まっている
あなたが演じる場面だ
さあ、始めよう あなたは木馬を演じ
私は道化師を演じよう
雄牛をからかい
うるさく歩き回る
私に続くのだ、世界の捻じれをもって
私に続くのだ、すっからんかんになるまで
月影の騎士と踊るんだ
緑の盾の騎士たちは、踏み鳴らし叫ぶ

※ウィンピー(Wimpy)とは南アフリカ共和国に本社を置くハンバーガーチェーン店であり、南アフリカ共和国やイギリスで店舗を展開する。


【クリムゾン・キングの宮殿】In The Court Of The Crimson King(1969) - King Crimson

2024-12-28 15:23:52 | ・1960年代(洋楽)
イギリスのプログレバンド、キング・クリムゾンの記念すべき1stアルバム。

ジャンル:プログレッシブ・ロック/ジャズ・ロック
オススメ度:★★★★★👑(プログレッシブ・ロックを代表する名盤)

キング・クリムゾンはロバート・フィリップを主宰として活動するバンドであり、求める音楽に合わせて次々とメンバーを入れ替えていることが特徴。そのため音楽性も多様となっています。

本作はプログレ期を代表するアルバムであり、従来のロックにジャズやクラシック要素を取り入れた複雑で奥深いサウンドに仕上がっています。

プログレッシブ・ロックの幕開けを告げる「21st Century Schizoid Man」、フルートの音色が心地よい「I Talk To The Wind」、"Confusion will be my epitaph(混乱こそ我が墓碑銘となるだろう)"の一節が有名な「Epitaph」、本作中で最も甘くメロウな名曲「Moonchild」、アルバムの最後を締めくくる壮大な「The Court of the Crimson King」と一曲でも欠けたらこの名作は成り立たないと思わせるレベルです。

総評として知的・美麗であり、かつ刺激的な本作はロック史に残る永遠の名盤です。

【トラックリスト】
1. 21st Century Schizoid Man (including "Mirrors")
2. I Talk To The Wind
3. Epitaph (including "March for No Reason" and "Tomorrow and Tomorrow")
4. Moonchild (including "The Dream" and "The Illusion")
5. The Court of the Crimson King (including "The Return of the Fire Witch" and "The Dance of the Puppets")

21st Century Schizoid Man
戦争を続ける政治家などの権力者を皮肉るような歌詞となっており、ディストーションがかかったヴォーカルが非常に効果的。イントロの特徴的なフレーズは一度聴いたら忘れられません。


【和訳】
猫の足、鉄の爪
脳神経外科医はさらに叫ぶ
パラノイア(偏執狂)の危険な扉にて
21世紀の精神異常者

血塗られた拷問台、有刺鉄線
政治家の葬儀のための火葬場
ナパーム弾の炎で無実の人々が犯される
21世紀の精神異常者

死の種、無知な男の強欲
詩人は飢えて、子供たちは血を流す
彼が本当に必要なものは何一つ得られない
21世紀の精神異常者


【音楽アルバム紹介】Dirge(1990) - ミスターシリウス

2024-12-22 13:06:14 | ・1990年代(邦楽)
日本のプログレバンド、ミスターシリウスの2ndアルバム。

ジャンル:プログレッシブ・ロック
オススメ度:★★★★★👑(日本のプログレ最高峰の一枚)

『Dirge』作成時のメンバーは以下の通り。
宮武和広 - キーボード、フルート、アコースティックギター
永井博子(現、大木理紗) - ボーカル、コーラス
藤岡千尋 - ドラム、パーカッション
村岡秀彦 - ベース
釜木茂一 - エレクトリック・ギター

本作は日本のシンフォニックプログレを代表する一枚であり、壮大で美しいサウンド、プログレ然としたギター、大木理紗の歌声が魅力的な作品です。
大木博子は日本のプログレバンドPageantにも参加した人物であり、伸びやかな歌声は本作でも健在。

プログレらしく曲と曲の間隔がほとんど無く、アルバム通して一つの大曲として聴かせる構成になっています。次々と畳み掛けるダイナミックなサウンドと釜木茂一の鋭いギターは息を呑むほど素晴らしく、そこに宮武和広のフルートと大木理紗の歌声が合わさり邦楽のイメージから完全に超越したサウンドが展開されています。

全曲素晴らしいですが組曲「ナイルの虹」の中のデュアル・サイトで展開されるメロディは本作を象徴するフレーズであり、邦楽プログレ至高のサウンドとなっています。

総評として壮大で感動的な大傑作であり、日本のプログレを語るうえで欠かすことが出来ない金字塔です。

【トラックリスト】
1. ファンファーレ~流れる影
2. ラヴ・インコンプリート
3. ランド・ダージ
4. スーパー・ジョーカー
5. 挽歌~海
6. ナイルの虹
a)チェイス・オブ・インフィニティ
b)忘郷
c)デュアル・サイト
d)コロニー
e)ブリス・フォー・ア・デイ
f)光の果て
7. レクイエム (ニ短調)

スーパー・ジョーカー



ナイルの虹
a)チェイス・オブ・インフィニティ
b)忘郷
c)デュアル・サイト
d)コロニー
e)ブリス・フォー・ア・デイ
f)光の果て




【音楽アルバム紹介】DON'T TRUST OVER THIRTY(1986) - ムーンライダーズ

2024-12-08 13:15:42 | ・1980年代(邦楽)
日本のロックバンド、ムーンライダーズの11thアルバム。

ジャンル:ロック/ニューウェイヴ
オススメ度:★★★★★👑(実験的でありながらポップなムーンライダーズの名盤)

ムーンライダーズはバンド"はちみつぱい"のボーカルであった鈴木慶一を中心として結成されたバンド。日本ロック史の初期から活動するバンドでありながらコンスタントにアルバムをリリースし、時代に合わせて音楽性を変化させてきたことが特徴です。そのため、ムーンライダーズの音楽性を一言で表すことは困難なほど、実力的で特異なバンドとなっています。

アルバムタイトルはディランの「Don't Look Back」を見て、パッと思いついたとのこと。タイトルを訳すと「30を過ぎたやつのことを信じるな」となり、メンバー全員が30を過ぎたムーンライダーズのリアルさを見せつけてやろうと思い採用した経緯があります。

サウンドはポップだけど実験的なニューウェイヴとなっており、他に比較するようなサウンドがないほどエキセントリック。アルバムのコンセプトとして「ヘヴィメタルとオセアニアンサウンドがテーマ」と語っていることから、激しいギターリフとYMOに通ずるような独特の東洋感がアルバム通して発揮されています。

ハイライトはアヴァンポップな「9月の海はクラゲの海」、"何の価値もない もの こと 好き"と最後に歌われる「マニアの受難」、アルバムタイトルとなったニューウェイヴ調の「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」、メロウでアンビエント風の「A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE」、凄まじいギターリフが展開される「何だ?この、ユーウツは!!」など。

総評としてムーンライダーズしか成し得なかった他に類を見ない独特のサウンドが印象的な、名盤の中の名盤であると言えます。


【トラックリスト】
1. CLINIKA
2. 9月の海はクラゲの海
3. 超C調
4. だるい人
5. マニアの受難
6. DON'T TRUST ANYONE OVER 30
7. ボクハナク
8. A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE
9. 何だ?この、ユーウツは!!


9月の海はクラゲの海



何だ?この、ユーウツは!!



【音楽アルバム紹介】頭脳警察セカンド(1972) - 頭脳警察

2024-12-01 14:31:03 | ・1970年代(邦楽)
日本のロックバンド、頭脳警察の2ndアルバム。

ジャンル:ロック
オススメ度:★★★★★

頭脳警察はPANTA(中村治雄)とTOSHI(石塚俊明)の2名が中心となって結成されたバンドであり、全学共闘会議・全日本学生自治会総連合(全学連)などの政治活動が過激化した時期の最後にデビューします。過激な歌詞と扇動的なライブパフォーマンスにより若者から人気を得て左翼のアイドルとして扱われることになります。

1972年に1stアルバム『頭脳警察1』を発売する予定でしたが、政治的に過激な歌詞により発売中止。問題となった箇所を差し替えて急遽『頭脳警察セカンド』を発売しますが、こちらもすぐに発売禁止となり回収されることになります。

過激な歌詞により販売中止となった経歴がありますが、時代が進んだ現在ではやや大げさであり、販売中止になる程ではないと感じます。しかしながら、その力強いロックやメロディアスなバラードなど、バラエティ豊かな作風は当時の日本語ロックとしては高水準であり今聴いても全く色褪せることはないと感じます。また、TOSHIのパーカッションが非常に良いアクセントとなっており、頭脳警察特有の高揚感を生み出しています。

特に「銃をとれ! / マラブンタ・バレー」の不穏なファズベースのイントロは彼らの怒りが現れているかのようです。

【トラックリスト】
1. 銃をとれ! / マラブンタ・バレー
2. さようなら世界夫人よ
3. コミック雑誌なんか要らない
4. それでも私は
5. 軍靴の響き
6. いとこの結婚式
7. 暗闇の人生
8. ふりかえってみたら
9. お前と別れたい


銃をとれ! / マラブンタ・バレー