やけウンチだった私に相当な数の男の子がメッセージをくれたが、正直話しやすい子とそうでない子がいた。
真剣に勉強してようがデート目的だろうが、生もの同士なのだからしょうがない。
私の趣向で言えば、頭が良くてユーモラスで優しい人がいい。
そして英語が上手で聞き取りやすいのが大切だ。
ろくにメッセージもやり取りしないまま話したにも関わらず、咲人は物凄く話しやすかった。
自己申告通り日本語が全く喋れなかったのも私にとっては好都合だった。
咲人、すごく話しやすかったな。
見た目も割と好みだし(正直重要)、ビデオコールで話したらもっと楽しいかも。
ポチポチポチ
『Hi Sakito! Thank you for yesterday. 今日はよかったらビデオコールで話してみない?』
ピロリン
『Hey Meisa, It was great to talk with you yesterday. ビデオコール?俺の見た目が気になるの?(笑)別に構わないよ!』
よっしゃ!と意気込んだのはいいが、いざ電話がかかってきてみると普通のボイスコールだった。
彼曰く、途中でスイッチすればいいんじゃない?とのことだった。
ま、いいけど?
第1通目のメールでも予想できたことだけど、彼は細かい性格の人で。
なんだか典型的な日本人みたいな人だった。
彼のしてくる日本語についての質問もやや細かくて、ときどき謎だった(笑)
普通だったのはこれだ。
「日本語は敬語とタメ語があるんだろ。どう違うの?」
「んー、それよく聞かれるんだけど、正確には敬語と丁寧語とタメ語があるのよね」
「詳しく頼む」
「丁寧語が一番ベーシックなコミュニケーションツール。初対面の人やオフィシャルなところではこれで会話するの。ま、教養があればね」
「デス、マスってやつ?」
「その通り。で、尊敬語は自分より目上の人に使うのよ。年上や上司、お客様とかね」
「オッケー完璧。で?」
「で、タメ語は友達や家族ね。勿論仲の良い同僚とかにも使っていいわ」
「完全に理解した」
ホントかよ
前回も書いたが、咲人はちょっとエラそうなのだ。
質問する時だろうができないことを言う時だろうが、自信満々だ。
殿様男子はさらに質問してきた。
「でも、なんで日本人はそんなにパターンを持ってるんだ?」
うーん。
「あのね、想像して欲しいんだけど、私達は心の周りにドアが沢山あるのよ」
咲人が興味深げにOKと言った。
「本音は心の中に隠してあって、それを見せ合うには全部のドアを開く必要があるの。そのために時間がかかるし、鍵として丁寧語が必要なのよ。他の鍵じゃ鍵穴に合わないの」
面白い!と咲人は叫んだ。
まぁ、私はそう思って話だけど。と付け加えておいた。
1時間も話した頃だろうか、私はふとたずねた。
「ところで、ビデオコールしようって言ってたけど、してないわね」
「あぁそうだな」
「どう思う?」
「いいよ」
「あっ、でも…」
私は鏡に写った自分の姿を見た。
「私、パジャマ着てるわ」
すると咲人は言った。
「俺は何も着てないよ」
?!
「待って、あなた裸なの?」
「おう」
「はぁー?!な、なんであたしと話してる時裸なのよ?!」
「だって俺寝るところだから。今ベッド」
「あなた寝る時いつも裸なの?!」
そうだけど?と咲人はこともなげに答えた。
お、お前はマリリンモンローか!
「とにかく、ビデオコールする前にTシャツ着てよ」
「オッケー」
ほっと一安心し、彼からの着信を待った。
すぐにコール音がしたので、私は軽く髪を直して電話に出た。
「Hey」
画面にはプロフィール写真とさして変わらない白人男性が映った。
が!
首から上だけです
ちょっとぉーーー!!!
「ハ、ハーイ咲人。あの、質問なんだけど、あなたTシャツ着たの?」
彼は笑顔で答えた。
「NO」
こらーーー!!!
「なんで着てないのよ!着てって言ったじゃん!」
「ブランケットで隠してるから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃないです。てか大丈夫だったら私気づかなかったはずじゃん」
「それもそうだな」
全く動じずフムフム言ってる咲人を見て、私は思わず笑ってしまった。
まさか裸の男とビデオチャットするとは思わなんだ。
爆笑している私に対し咲人は、メイサよく考えてみろよ、Tシャツもブランケットも布だぜ、とよく分からない持論を展開した。
ベッドから降りてTシャツ探すの面倒臭かったんだよ、とも。
と、急に接続が切れた。
私達が使っているアプリではよくある事だ。
私はこれ幸いとすぐにメッセージを送った。
『服を着たら、かけ直してください』
数分後、もう一度見た彼は黒いTシャツを着ていた(笑)
それでも私は引き続き笑っていたので、君はいつもそんなに笑うの?と笑われた。
彼は私ほど笑ってはいなかったけど、すごく楽しそうで、
明日でもいい、また話そうぜ、と言ってくれた。
ネイル、いいね、とも。
楽しくなりそうな予感がしていた。
続きます。
真剣に勉強してようがデート目的だろうが、生もの同士なのだからしょうがない。
私の趣向で言えば、頭が良くてユーモラスで優しい人がいい。
そして英語が上手で聞き取りやすいのが大切だ。
ろくにメッセージもやり取りしないまま話したにも関わらず、咲人は物凄く話しやすかった。
自己申告通り日本語が全く喋れなかったのも私にとっては好都合だった。
咲人、すごく話しやすかったな。
見た目も割と好みだし(正直重要)、ビデオコールで話したらもっと楽しいかも。
ポチポチポチ
『Hi Sakito! Thank you for yesterday. 今日はよかったらビデオコールで話してみない?』
ピロリン
『Hey Meisa, It was great to talk with you yesterday. ビデオコール?俺の見た目が気になるの?(笑)別に構わないよ!』
よっしゃ!と意気込んだのはいいが、いざ電話がかかってきてみると普通のボイスコールだった。
彼曰く、途中でスイッチすればいいんじゃない?とのことだった。
ま、いいけど?
第1通目のメールでも予想できたことだけど、彼は細かい性格の人で。
なんだか典型的な日本人みたいな人だった。
彼のしてくる日本語についての質問もやや細かくて、ときどき謎だった(笑)
普通だったのはこれだ。
「日本語は敬語とタメ語があるんだろ。どう違うの?」
「んー、それよく聞かれるんだけど、正確には敬語と丁寧語とタメ語があるのよね」
「詳しく頼む」
「丁寧語が一番ベーシックなコミュニケーションツール。初対面の人やオフィシャルなところではこれで会話するの。ま、教養があればね」
「デス、マスってやつ?」
「その通り。で、尊敬語は自分より目上の人に使うのよ。年上や上司、お客様とかね」
「オッケー完璧。で?」
「で、タメ語は友達や家族ね。勿論仲の良い同僚とかにも使っていいわ」
「完全に理解した」
ホントかよ
前回も書いたが、咲人はちょっとエラそうなのだ。
質問する時だろうができないことを言う時だろうが、自信満々だ。
殿様男子はさらに質問してきた。
「でも、なんで日本人はそんなにパターンを持ってるんだ?」
うーん。
「あのね、想像して欲しいんだけど、私達は心の周りにドアが沢山あるのよ」
咲人が興味深げにOKと言った。
「本音は心の中に隠してあって、それを見せ合うには全部のドアを開く必要があるの。そのために時間がかかるし、鍵として丁寧語が必要なのよ。他の鍵じゃ鍵穴に合わないの」
面白い!と咲人は叫んだ。
まぁ、私はそう思って話だけど。と付け加えておいた。
1時間も話した頃だろうか、私はふとたずねた。
「ところで、ビデオコールしようって言ってたけど、してないわね」
「あぁそうだな」
「どう思う?」
「いいよ」
「あっ、でも…」
私は鏡に写った自分の姿を見た。
「私、パジャマ着てるわ」
すると咲人は言った。
「俺は何も着てないよ」
?!
「待って、あなた裸なの?」
「おう」
「はぁー?!な、なんであたしと話してる時裸なのよ?!」
「だって俺寝るところだから。今ベッド」
「あなた寝る時いつも裸なの?!」
そうだけど?と咲人はこともなげに答えた。
お、お前はマリリンモンローか!
「とにかく、ビデオコールする前にTシャツ着てよ」
「オッケー」
ほっと一安心し、彼からの着信を待った。
すぐにコール音がしたので、私は軽く髪を直して電話に出た。
「Hey」
画面にはプロフィール写真とさして変わらない白人男性が映った。
が!
首から上だけです
ちょっとぉーーー!!!
「ハ、ハーイ咲人。あの、質問なんだけど、あなたTシャツ着たの?」
彼は笑顔で答えた。
「NO」
こらーーー!!!
「なんで着てないのよ!着てって言ったじゃん!」
「ブランケットで隠してるから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃないです。てか大丈夫だったら私気づかなかったはずじゃん」
「それもそうだな」
全く動じずフムフム言ってる咲人を見て、私は思わず笑ってしまった。
まさか裸の男とビデオチャットするとは思わなんだ。
爆笑している私に対し咲人は、メイサよく考えてみろよ、Tシャツもブランケットも布だぜ、とよく分からない持論を展開した。
ベッドから降りてTシャツ探すの面倒臭かったんだよ、とも。
と、急に接続が切れた。
私達が使っているアプリではよくある事だ。
私はこれ幸いとすぐにメッセージを送った。
『服を着たら、かけ直してください』
数分後、もう一度見た彼は黒いTシャツを着ていた(笑)
それでも私は引き続き笑っていたので、君はいつもそんなに笑うの?と笑われた。
彼は私ほど笑ってはいなかったけど、すごく楽しそうで、
明日でもいい、また話そうぜ、と言ってくれた。
ネイル、いいね、とも。
楽しくなりそうな予感がしていた。
続きます。