メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

パジャマに着替えさせて

2018-08-15 18:30:41 | 翔一
ある晩、私が1人家にいると新しい男からメッセージが届いた。




『やぁ、君もこの町に住んでるの?今夜は何してるの?』




プロフィールをチェックしてみると、同じ町に住むハンサムな男性だった。




『初めまして。今夜は家で飲んでるわ』

『返事ありがとう!1人なの?誰か一緒に飲む相手はいらない?(^_-)』

『はは、欲しいけどね』

『オッケー、どこが最寄駅?』

『(いや来るなよ)あらあなた来る気なの?ずいぶん急ね』

『もちろん!』




あーこれダメなケースだわ。
お友達になれたらよかったけど、残念。
ポチポチポチ




『私今パジャマなのよ。あなたに会うならドレス着てる時の方がいいわ、また今度ね』

『大丈夫!僕もパジャマなんだ!』


そういう問題じゃない






『パジャマで出たら寒いんじゃない?
着替えたほうがいいわよ。じゃなきゃ風邪ひくし、パジャマパーティーになっちゃうし』

『そのつもりだけど?(^^)v』




あーもー何だこりゃ。



私は返信するのをやめた。
と共に、同時進行でチャットしていたある男にこの話を報告した。
ポチポチポチ





『翔一、助けて。今超変な奴とメッセージしてた(笑)』




すぐにピロリンと明るい音と共に返事が来た。
翔一は日本語が話せるので、オールジャパニーズで。




『なに?どしたの』

『かくかくじかじかで、パジャマ着てウチくるって。
初めて連絡したのに変な奴(笑)』




この翔一という男は、咲人、仁と同じ国籍の男で、母国語でないにもかかわらず英語がとっても流暢な人種だ。(マジ嫉妬)
やけウンチの時に連絡を取った、一番ハンサムな男である。
しかも、一番日本語が上手い。
もはやスーパーナチュラル。



日本語が流暢な人と話すのは正直何のメリットもない。
訛りが強くなく、英語がネイティブか堪能で、日本語があまり上手くないけどちょっと話せる、程度の人が完璧だ。
それでも翔一と話していたのは、翔一がとても親切だったからだ。


初めは英語だけで長々チャットをしたので、彼は日本語が話せないのだと思った。
しかしふとプロフィールを見直したら、日本語レベルはマックスにチェックしてあった。
日本語で話してみたいんだけど、と提案したら、『今更?(笑)』と日本語で返ってきて度肝が抜かれた(笑)
私の勉強になるし後で日本語にスイッチすればいいだけの事じゃん、と英語だけでチャットしていた理由を説明され、コイツ良い奴!認定してしまった。



そんなわけで、その晩も仲良く日本語でチャットしていたのだが、彼の返事は予想外のものだった。



『なんで?本当にパジャマパーティーしたくないなら、メイサはなんでそんな返信したの』



は?



『なに、私が悪いっていうの?』

『悪いって言ってないよ。飲む仲間欲しいって言ったから彼もその気になったんじゃない』



むーーーー!!!



『普通の女の子はそんなこと考えないと思うけど?
少なくとも私は初めてチャットしただけの人と夜遅くに飲みになんか行かないわよ。パジャマパーティーなんかするわけないじゃん』

『なのにそんな風に私を責めたくなるのは、翔一が私に興味あるから嫉妬してるんじゃないのー?』


どんだけ自信過剰



テヘヘ…そういうキャラなだけです…(いや本当に)




『とりあえずこの男はそういう礼儀とかマナーとかわかってない男だと思うけど?それなのになんで翔一にそんな風に言われなきゃいけないの?
ま、私の考えとか気持ちとかわからないならもうこれ以上話す必要ないけどね。おやすみ!』




私はポイ!と携帯をソファに投げた。
すぐに翔一から何通かメールが来たが、未読スルーを決め込み、翌朝ようやく開いた。



さてさて、翔一のメールの内容はさておき、私はその晩も咲人と電話することになった。



「どう?相変わらず数多の男からメッセージ貰ってるの?(笑)」



咲人の冗談クエッションに、まあね、と鼻で笑ったが、ふと例の出来事を思い出した。



「ちょーど変な男に絡まれたところよ」

「へぇどんな?」

「かくかくじかじかで、あたしんちにパジャマパーティーしに来ようとしたわ」

「オーマイゴッド。そいつはダサいな」

「で、もー、この話をあなたと同じ国の人に話したらそれはメイサのせいなんじゃないって言われたわ」

「は?」

「その気にさせた方が悪いって。穏やかに返してただけだけどね。ま、男はそう思うのかもしれませんけど」

「それはそいつら2人がおかしいぜ」




お?



「あなた、そう思う?」

「勿論!お前らプライドは無いのかよって思うね」




咲人は勢いよく続けた。




「オンラインで女口説く男が多いのは知ってる。
でもそういうやり口のヤツらは大抵、普段はそんな風に口説けないんだぜ?
俺はそんな男はスーパーダサいと思うね」



と、まぁ血気盛んに言ってくれたのだが、
んなこと言ってお前は大丈夫なのか?と思った。
とりあえず私の愚痴はいい感じに昇華させてくれたので、そうね、と相槌を打っておいた。




一方の翔一さんだが、彼はとても冷静だった。



『確かに僕はメイサの気持ちとかシチュエーションとかわかってなかったかもしれないね。
日本語の問題もあるし、全部は読み取れないかも』

『嫉妬なんてしていいポジションにいないのもわかってるし、してないよ』




暖簾に腕押し…じゃないけど、私の感情的な言葉には全く動じず、非常におだやか〜に返ってきました。。。
まぁでもおかげで私も穏やかに返信することができたし、
何より突然噴火しても連絡を続けてくれた彼には感謝した。
私はそういうところがある女なので。トホホ



駄菓子菓子。
翔一は頭の回転が良く、ユーモラスで面白かったのだけど、どうもセンスが合わない印象があった。
一度だけ、それこそ彼が日本語ペラペラだと知らない時に電話で話したけど、その時もまぁなんか咲人や仁、ジョーの時ほど楽しくなかった。
話題のせい?声のせい?(顔の割に声がカッコよくない笑)
無神経でもないし、明るい。
何が悪いのかよくわからないけど楽しくないのは、多分相性の問題だと思った。
(彼のせいじゃない。仕方ないこと)



なので彼が頻繁にメールをくれても、適当な返事しかできない時が多かった。
彼はよく彼の写真も送ってくれたのだが、それも私がリクエストしてないのにたくさん送って来てくれてってそれはナルシスさんでは?!




そう。
翔一さんは自分大好きなのだ。

いやいやいやセルフィーなんて言葉が大流行のこのご時世、
自分好きなのは悪いことじゃあございませんが、個人的には自分の写真をドサドサ送ってくれる男の人はちょっとなんかアレでして……。
まぁ前述の通りハンサムなんですけどね。本当に。
写真もいつも可愛かったし。(ご馳走様です)



ハンサムで冷静な彼との会話は、ナルシスてセンスが合わないもののなんとか続いていた(笑)
しかし、ハンサム、ナルシス、冷静、の他にも、彼には隠れたアビリティがあった。




まだまだ続きます。

研究対象にされて…

2018-08-15 01:48:18 | 咲人
「ま、残念ながら?今のところ俺の日本語レベルは最低だからな。
君と会話の練習ができるレベルじゃないんだよ。
でも数週間もすれば質問したい事や、やりたい事でいっぱいになるはずだから、その時お返ししてくれれば良いよ 」



私は、まぁあなたがいいならいいけど…と呟いた。
Why not?と言う声がまたエラそうだ。



「それに俺は君と話すのが好きだしね」

「(でしょうね…)なんで?」

「面白いからだよ。俺は人間は好きじゃない」




は?




「大抵の人間はものすごく退屈だ。
出会って一言二言話したらもうそれだけでうんざりする。
あいつらみんな兄弟か何かみたいに同じ考えで同じ事を言う」

「わからんでもないけど」

「10人会ったら、俺は8人とはもう話したくない。20%の人間にしか興味が持てないんだ」

「へえ。さいですか…」




でも君は他の人間と全然違う。
と、咲人は饒舌に続けた。




「君と2度目に話した時、君は日本人は心の周りにドアがたくさんあるって言っただろ。
あれはすごく面白かった。
あんな表現をする人間に会ったことがない。」



マジで?



心の扉って表現、結構日本人にとっては馴染みがある気がするんですが…




「俺は君をもっと分析したい。どうしたらそのドアが全部開くのか知りたい。
君はすごく興味深い研究対象なんだよ」



と、人のことをラットか何かのように言った。
ぶ、ぶんせき……。
私はフンと鼻息をついた。




「研究した後はどうするの?レポートか何か提出してくれるわけ?」

「君が欲しいならするけど?」

「オッケー死ぬほど楽しみにしてる。ま、あなたができればの話だけどね」



自分に負けず劣らずエラそうな物言いなのに、咲人は楽しそうに聞いていた。
彼と話し続ける私も私だが、彼も彼でよくこんな女と話し続けてるなと思った。
やっぱり変だな。←お前もな
まぁ研究したいから話してるならそれはそれでいいか。




「あなたがいいならそれでいいわ。私はただあなたのことケアしただけだから」

「何で俺のこと気にしたの?」

「当たり前じゃない?私はあなたに楽しく勉強させてもらってるわ。
楽しいと思える相手のことは、同じように楽しいか気にかけるべきだと思うけど?」




咲人はなるほどと唸った後、一言つぶやいた。




「可愛いね」









いや、そんなんならへんかったわ。





「は?!可愛い?!あんたバカにしてんの?」

「いやいやいやそういう意味じゃないよ」

「じゃー何なのよ」

「ただそう思ったからそう言っただけだよ」




あっそ、と鼻息をついた。
咲人は相変わらず楽しそうだった。
よくわかんない人だわ…。




変人咲人との物語、まだまだ続きます。