「え……?」
噛んでいい?に、私は言葉に詰まった。
私がきつく抱きしめた腕の中で、咲人は続けた。
「少しだけ」
「え、えっと…あの…その…」
「いいの?」
「............。」
私は右肩の髪をどけた。
「はい…」
「OK」
と言うや否や、咲人は私のうなじに噛み付いた。
私は声を上げた。
咲人は構わず何度か歯を立てては吸い付いて、味わっていた。
私が息を荒くしていると、やっと満足したのか彼はそこから唇を離した。
「Hmm...... so delicious. I didn’t expect that delicious. 」
「はぁ……咲人……あ、あの、私、汗臭くない?」
「は?全然臭くないよ(笑)だったら噛んでいい?って聞いてないぞ」
「よかった…...ひゃ!」
と再び噛まれて私は悲鳴をあげた。
咲人は私の身体をきつく抱いたまま、ひたすら私の首を噛んだら舐めたりしていた。
正直、あんまり首を噛まれたいと思ったことはなくて、
私が噛んで欲しいのは耳なんだけど←聞いてない
でも、すごく大変だった。
「咲人……」
「……メイサ、俺、行かなきゃ」
「やだ。行かないで」
「ダメだよ。明日どうしても欠席できない」
と言いながら咲人は私の腰に手を回した。
言ってることとやってる事が違うんですけど!?
私は食い下がった。
「じゃぁ最後にもう少しだけ」
「OK。じゃあ、左首も食べさせて」
と言うと私の髪を退けた。
齧られるたびに力が抜けたので、一足一足思わず後ずさった。
咲人も追うように靴を履いたまま部屋の中へ進んだ。
そして私の踵がソファにぶつかった瞬間、バタンとそこへ倒れ込んだ。
私が右に顔を向けると、彼の手が私の手を捕まえて、優しく握ったのが見えた。
恋人つなぎみたい。
「咲人…」
「…また明日来るよ。夜になるけど」
「うん……寂しくなる」
「大丈夫…早く帰って早く行ったら、ここにまた早く来れる。
だから…行くよ」
私を見下ろす咲人の表情はあまりよく見えなかった。
真っ暗な部屋で、玄関の灯りだけが逆光で明るかった。
私は肩で息をしながら、わかったと答えた。
玄関でなぜか靴紐を結び直す彼に、私は訊いた。
「あの、大丈夫?」
「何が?もちろん!」
いや、それ多分大丈夫じゃないじゃん……笑
ドアが閉まってから、私は力なくベッドに向かった。
バタン倒れこむと、ふぅーとため息をついた。
首が痛い。
ヒリヒリというか、ジンジンというか、じわる痛さだ。
咲人、ずいぶん噛んだのかな。
もうちゃんと思い出せないけど……。
そのまま私は化粧も落とさず眠りについた。
翌日は昼頃まで何もない。
明日の仕事を心配する必要もない。
ただのホリディ。
目がさめるまで起きなくていいのね……
私が日本を発ってから、初めて何も気にせず眠った日だった。
続きます。
噛んでいい?に、私は言葉に詰まった。
私がきつく抱きしめた腕の中で、咲人は続けた。
「少しだけ」
「え、えっと…あの…その…」
「いいの?」
「............。」
私は右肩の髪をどけた。
「はい…」
「OK」
と言うや否や、咲人は私のうなじに噛み付いた。
私は声を上げた。
咲人は構わず何度か歯を立てては吸い付いて、味わっていた。
私が息を荒くしていると、やっと満足したのか彼はそこから唇を離した。
「Hmm...... so delicious. I didn’t expect that delicious. 」
「はぁ……咲人……あ、あの、私、汗臭くない?」
「は?全然臭くないよ(笑)だったら噛んでいい?って聞いてないぞ」
「よかった…...ひゃ!」
と再び噛まれて私は悲鳴をあげた。
咲人は私の身体をきつく抱いたまま、ひたすら私の首を噛んだら舐めたりしていた。
正直、あんまり首を噛まれたいと思ったことはなくて、
私が噛んで欲しいのは耳なんだけど←聞いてない
でも、すごく大変だった。
「咲人……」
「……メイサ、俺、行かなきゃ」
「やだ。行かないで」
「ダメだよ。明日どうしても欠席できない」
と言いながら咲人は私の腰に手を回した。
言ってることとやってる事が違うんですけど!?
私は食い下がった。
「じゃぁ最後にもう少しだけ」
「OK。じゃあ、左首も食べさせて」
と言うと私の髪を退けた。
齧られるたびに力が抜けたので、一足一足思わず後ずさった。
咲人も追うように靴を履いたまま部屋の中へ進んだ。
そして私の踵がソファにぶつかった瞬間、バタンとそこへ倒れ込んだ。
私が右に顔を向けると、彼の手が私の手を捕まえて、優しく握ったのが見えた。
恋人つなぎみたい。
「咲人…」
「…また明日来るよ。夜になるけど」
「うん……寂しくなる」
「大丈夫…早く帰って早く行ったら、ここにまた早く来れる。
だから…行くよ」
私を見下ろす咲人の表情はあまりよく見えなかった。
真っ暗な部屋で、玄関の灯りだけが逆光で明るかった。
私は肩で息をしながら、わかったと答えた。
玄関でなぜか靴紐を結び直す彼に、私は訊いた。
「あの、大丈夫?」
「何が?もちろん!」
いや、それ多分大丈夫じゃないじゃん……笑
ドアが閉まってから、私は力なくベッドに向かった。
バタン倒れこむと、ふぅーとため息をついた。
首が痛い。
ヒリヒリというか、ジンジンというか、じわる痛さだ。
咲人、ずいぶん噛んだのかな。
もうちゃんと思い出せないけど……。
そのまま私は化粧も落とさず眠りについた。
翌日は昼頃まで何もない。
明日の仕事を心配する必要もない。
ただのホリディ。
目がさめるまで起きなくていいのね……
私が日本を発ってから、初めて何も気にせず眠った日だった。
続きます。