咲人からメッセージが来たのは、私がメラメラと負けん気を燃やし、やけウンチになっていた時だった。
彼は私がフォローした男達の1人で、仁と同じ国籍で、28歳の男だった。
プロフィール写真から察するにまあまあイケメン、と言うか、私のタイプぽかった。
ピロリン
『Hey Meisa, Thank you for following me!』
お、昨日フォローした子からだわ。
待ち受け画面に表示されたメッセージは定型文と呼べるくらい平凡な文章だったので、私は何も期待せずに続きを読むボタンをタップした。
しかし、液晶に映し出された文章は予想以上に長いものだった。
『先に言っといた方がいいと思うんだけど、俺は定期的に日本語を勉強できる相手を探してるけど、勉強し始めたばかりで全然日本語が上手くない。でも確実に、ネイティブスピーカーに質問しなきゃ解決しない問題があると思ってる。
あと、もし君が英語のネイティブスピーカーを探してるなら、俺は適さないと思う』
おぉ。
真面目で優しくない?
超いい人じゃん。
ていうか、本当に勉強してそう。
私はすぐさま返事を書き始めた。
『Oh Sakito, You’re so kind and honest!
お気遣いありがとう!正直あなたの日本語レベルは全く気にしないから安心して。何か質問があれば何でも聞いてね。』
『やったね!でも俺は見返りとして何をすればいい?君が日本語を教えてくれるなら、俺は君に借金することになるよ(笑)』
『ははは、借金(笑)たしかにね。でも問題ないわ。私はあなたがあなたの国の人間だから連絡したの』
『詳しく教えてくれ』
『私の経験と知識から判断するに、あなた達はすごく英語が上手でしょ?』
たしかにね、と彼は答えた。
私は軽快にタップを続けた。
『だからあなたでも大丈夫だと思ったの。というわけで、私があなたに求めるものは…』
『何?』
『英語で電話したりチャットしたりして、スピーキングの練習をさせてくれることよ :)』
すぐさま彼はイイね、完璧!と返信して来た。
『いつ電話する?明日時間ある?』
『明日の夜なら時間ある!というか……』
ちょっと急すぎ?嫌がられるかなぁ。
でもまぁ私のいいところは、何でもやってみるところ!
ポチポチポチ
『今時間あるんだけど、少し話してみるのはどう思う?(笑)』
オッケー!とすぐに返事が来て(いいのか!)私達は電話することになった。
正直私は、初めて咲人と話した時のことをあまり覚えていない。
今は文に書き起こしているから記憶を辿れているものの、書き始める前は全然詳細に思い出せなかった。
ただ、2つだけすごく印象的だったことがある。
その1つは、彼の声だ。
「Hey」
彼が電話に出た瞬間、耳に何かが勢い良く滑り込んできた。
お!
ちょ、超いい声してる!!!
彼の声はすごく良かった。
セクシーで、クールで、それでいてとっても聴き心地の良い声だった。
正直日本にいた時はほとんど男の声に興味がなかったのだけど、
言葉力が微妙というシチュエーションに置かれてからは(笑)
彼らの声も魅力の1つとして捉えるようになったような気がする。
セクシーボイスの咲人が提供してくれた話題は、たしか、どんな仕事をしているとか、いつが休みだとか、いわゆる当たり障りのないものだった。
だけれど、彼はたくさん質問してくれたり私の拙い英語を懸命に聞き取ろうとしてくれたり、とても親切な印象だった。
加えて、彼が教えてくれたいくつかのバックグラウンドは、個人的に結構好ましかった。
たとえば
シェアハウスが主流の街で、一人暮らししていること。
その理由を、特にない、と言い切るところ。
やっている仕事。
それをつまらない仕事だと言い切るところ(笑)
そしてそれらを話す時の、落ち着き払った、どこか皮肉っぽい、ちょっとエラそうな話し方が気に入った。
予想通り、カナリ流暢だし、聞き取りやすいな。
やっぱりこの国の人は相性がいいみたいね。。。
人柄も良さそうだし、この子とパートナー組めたらいいなぁ。
と、当初の目的(負けん気ヤケウンチ)を忘れ、真剣に勉強のことを考えていた。
咲人が私と定期的にやり取りしたいと思ってくれたらいいな、と思っていた。
そんな彼と1時間ほど話した時だろうか。
彼がある提案をしたのだが、それが2つ目の、私がよく覚えていることだ。
「あの、咲人…」
「何?」
私は一瞬言い淀んだが、眉をひそめてたずねた。
「その…眠いの?声から察するに相当眠そうよ」
「あぁ……実はかなり眠い(笑)」
「ごめーん!!眠いのに付き合わせて!!知らなかったのよ〜!」
「いやいやいや良いんだよ。俺が電話するの承諾したんだし」
「そうだけどぉ、悪かったわ」
「いや、いいんだって…。えっと、ところで、明日は君は忙しいの?」
ふいに咲人にそう聞かれ、私はキョトンとした。
「いいえ?」
「そっか。じゃあ、明日また話さない?」
えっ
ホント????
「えっと、あの、、、あなたがよければ、私は………」
言葉を選びながら答える私に、咲人は笑って答えた。
「待てよ。俺が話したいから、聞いてるんだよ」
なっ
なんて良い人なの……!!!
当然私は話したかったので、勿論!ありがとう!と強く答えた。
彼はなぜだか知らないが楽しそうに笑っていた。
そしてその翌日に
事件が起こった。
続きます!
彼は私がフォローした男達の1人で、仁と同じ国籍で、28歳の男だった。
プロフィール写真から察するにまあまあイケメン、と言うか、私のタイプぽかった。
ピロリン
『Hey Meisa, Thank you for following me!』
お、昨日フォローした子からだわ。
待ち受け画面に表示されたメッセージは定型文と呼べるくらい平凡な文章だったので、私は何も期待せずに続きを読むボタンをタップした。
しかし、液晶に映し出された文章は予想以上に長いものだった。
『先に言っといた方がいいと思うんだけど、俺は定期的に日本語を勉強できる相手を探してるけど、勉強し始めたばかりで全然日本語が上手くない。でも確実に、ネイティブスピーカーに質問しなきゃ解決しない問題があると思ってる。
あと、もし君が英語のネイティブスピーカーを探してるなら、俺は適さないと思う』
おぉ。
真面目で優しくない?
超いい人じゃん。
ていうか、本当に勉強してそう。
私はすぐさま返事を書き始めた。
『Oh Sakito, You’re so kind and honest!
お気遣いありがとう!正直あなたの日本語レベルは全く気にしないから安心して。何か質問があれば何でも聞いてね。』
『やったね!でも俺は見返りとして何をすればいい?君が日本語を教えてくれるなら、俺は君に借金することになるよ(笑)』
『ははは、借金(笑)たしかにね。でも問題ないわ。私はあなたがあなたの国の人間だから連絡したの』
『詳しく教えてくれ』
『私の経験と知識から判断するに、あなた達はすごく英語が上手でしょ?』
たしかにね、と彼は答えた。
私は軽快にタップを続けた。
『だからあなたでも大丈夫だと思ったの。というわけで、私があなたに求めるものは…』
『何?』
『英語で電話したりチャットしたりして、スピーキングの練習をさせてくれることよ :)』
すぐさま彼はイイね、完璧!と返信して来た。
『いつ電話する?明日時間ある?』
『明日の夜なら時間ある!というか……』
ちょっと急すぎ?嫌がられるかなぁ。
でもまぁ私のいいところは、何でもやってみるところ!
ポチポチポチ
『今時間あるんだけど、少し話してみるのはどう思う?(笑)』
オッケー!とすぐに返事が来て(いいのか!)私達は電話することになった。
正直私は、初めて咲人と話した時のことをあまり覚えていない。
今は文に書き起こしているから記憶を辿れているものの、書き始める前は全然詳細に思い出せなかった。
ただ、2つだけすごく印象的だったことがある。
その1つは、彼の声だ。
「Hey」
彼が電話に出た瞬間、耳に何かが勢い良く滑り込んできた。
お!
ちょ、超いい声してる!!!
彼の声はすごく良かった。
セクシーで、クールで、それでいてとっても聴き心地の良い声だった。
正直日本にいた時はほとんど男の声に興味がなかったのだけど、
言葉力が微妙というシチュエーションに置かれてからは(笑)
彼らの声も魅力の1つとして捉えるようになったような気がする。
セクシーボイスの咲人が提供してくれた話題は、たしか、どんな仕事をしているとか、いつが休みだとか、いわゆる当たり障りのないものだった。
だけれど、彼はたくさん質問してくれたり私の拙い英語を懸命に聞き取ろうとしてくれたり、とても親切な印象だった。
加えて、彼が教えてくれたいくつかのバックグラウンドは、個人的に結構好ましかった。
たとえば
シェアハウスが主流の街で、一人暮らししていること。
その理由を、特にない、と言い切るところ。
やっている仕事。
それをつまらない仕事だと言い切るところ(笑)
そしてそれらを話す時の、落ち着き払った、どこか皮肉っぽい、ちょっとエラそうな話し方が気に入った。
予想通り、カナリ流暢だし、聞き取りやすいな。
やっぱりこの国の人は相性がいいみたいね。。。
人柄も良さそうだし、この子とパートナー組めたらいいなぁ。
と、当初の目的(負けん気ヤケウンチ)を忘れ、真剣に勉強のことを考えていた。
咲人が私と定期的にやり取りしたいと思ってくれたらいいな、と思っていた。
そんな彼と1時間ほど話した時だろうか。
彼がある提案をしたのだが、それが2つ目の、私がよく覚えていることだ。
「あの、咲人…」
「何?」
私は一瞬言い淀んだが、眉をひそめてたずねた。
「その…眠いの?声から察するに相当眠そうよ」
「あぁ……実はかなり眠い(笑)」
「ごめーん!!眠いのに付き合わせて!!知らなかったのよ〜!」
「いやいやいや良いんだよ。俺が電話するの承諾したんだし」
「そうだけどぉ、悪かったわ」
「いや、いいんだって…。えっと、ところで、明日は君は忙しいの?」
ふいに咲人にそう聞かれ、私はキョトンとした。
「いいえ?」
「そっか。じゃあ、明日また話さない?」
えっ
ホント????
「えっと、あの、、、あなたがよければ、私は………」
言葉を選びながら答える私に、咲人は笑って答えた。
「待てよ。俺が話したいから、聞いてるんだよ」
なっ
なんて良い人なの……!!!
当然私は話したかったので、勿論!ありがとう!と強く答えた。
彼はなぜだか知らないが楽しそうに笑っていた。
そしてその翌日に
事件が起こった。
続きます!