先日のこと。人の顔を見るなり。
「あ!くるりさん、スマホ忘れました、取ってきていいですか?」
見せたくて見せたくてうずうずの子供は「僕、銅像建てようかな」と、言っている事がおかしい。
トレーナーHくんの話。
見せてくれたのは、この間のマスターズ水泳でいただいてきた賞状の画像とクロールの決勝動画。今回は年齢枠でも1位を取れたと月曜日に彼から聞いていたので、結果は知っていたのだけれど動画を見るのはドキドキする。ミルキーの運動会の50メートル走とかピアノの発表会を見守る時のような感じ。
動画は階下のHくんを背中側から撮影している。ゴーグルに何度も手をやったり、飛び込み台の上に片足を乗せて下ろして、下ろして乗せて。全く落ち着きがない。
おもむろに飛び込んでしばらく出てこないなと思ったら真ん中辺りからすうっと出てきてバシャバシャバシャバシャ、はい到着。自己ベストを更新したのだとか。
「すごーい!おめでとうございます。頑張ったね!」
おばちゃんに褒められて喜ぶ姿は、昔飼っていた犬のチロが自分で隠したアンパンを見つけて再度喜んでぐるぐる回っていた姿を思い出す。
前回は決勝はなくて1回勝負、組では1位だったけれど年齢枠では0.5秒差の4位で入賞を逃してしまった。
とは言え、その時はかなり喜んでいて、うぇーい!とハイタッチを何度もやらされて手のひらが痛くなった( /^ω^)/ \(^ω^\ )
ががが、思い返すと日に日に悔しさが増してくるのか、事ある毎にやっぱり1位がいいと言い出して。
「組では1位だったんだから今回はいいじゃない」と言っても「でも嫌ですー」
「次に頑張る目標ができたんだからいいじゃない」と言っても「そうですけど悔しいですー」
「僕、人に教えてる場合じゃないんですよー自分の練習したいです」
挙げ句に仕事放棄のアホ発言まで飛び出した。
「今度はきっと大丈夫だよ、こんなに頑張ってるんだもん、きっと1位をとれるよ」と言っても
「でも、噂では日本新目指してる人が出るらしいんです」
「そんなことばっかり言わないよ、すごいんだから」
「・・・はい、頑張ります」
「でも」ばかりのダメ男を、根拠のない励ましでなだめる。どっちがトレーナーだかわからない。
それからまた一生懸命練習していたけれど、先月初めには酷い風邪をひいて体重が落ちてしまい、バタ足しても体が水に浮いてこないと慌てて食べまくりと大変だった。
大会の3日前にトレーニングで会った時には、気持ちがぴりぴりして落ち着かないなどと柄にもないことを言っていた。前日は夜中の3時まで眠れなかったらしい。そういうタイプに見えなかったんだけどなぁ。
まあ、とにもかくにも決勝に残り1位になれて良かった。蓮舫さんじゃないけれど2位じゃダメなんですかと言ってやりたいが、また中途半端な順位だとあーでもないこーでもないと言うのは想像に難くない。
彼が1番じゃなくたって、結果がビリだってわたしは一生懸命に頑張る人、努力をする人を尊敬する。カッコいいと思う。だから、わたしのトレーナーはちょっとばかりおかしくてヘタレで甘ったれだけれどもカッコいい(時もある)。
「くるりさん、僕カッコいいですか?」
「カッコいいよー」
「本当ですか?」
「本当だよ。頑張って偉かった、すごくすごいよ!」
「僕、すごくすごいですか?うへへ、ありがとうございます」
メンタルサポートするからトレーニング費用チャラにしてくれない?どうよ、どうよ?

空は青いぞ!