ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

近代の毒ー実証主義(科学主義)について

2024-09-01 00:00:00 | 空気に水を差す
なにやら最近は、「主語の大きな話」という奇妙な言い回しが目に付く。もっぱら否定的な意味合いで使われているようだが、その一方で、現在の言論空間においては、「主語の大きな話」であるにも関わらず「科学的な言説」が溢れかえっているのは、じつに現代的な景色であるように見える。さらに現在においては、この「科学的な言説」は、このように特権的な位置を与えられているだけではなく、我々の生活のあらゆる面にまで入り込んで、有形無形の制限や強制と言った形で強く影響を及ぼしてもいる。言わば、一つの権力装置として機能しているといっても良い。この権力装置としての科学的な言説」はまた、近代に始まり、徐々に政治と結びつき先鋭化して、現代においては完成形に近づきつつあると言っても何ら過言ではない。

従って、このブログの言わば裏のテーマでもあるので、この権力装置としての科学的な言説」について、さらに一つ進級を上げた見地から俯瞰して、あえてさらに一回り「主語の大きな話」をしてみようというのが、この文章の趣旨である。一言で言えば、近代の毒=権力装置としての実証主義(科学主義)批判ということである。

とこう文章にして改めて見てみると、ふむ、いや我ながら実に「主語の大きな話」ではないか、これは(笑)。

まず、この議論の切り口の建付けをざっくりと説明すれば、こういったことになろう。

人類の歴史において、近代における最も輝かしい成果としては、科学の驚異的な発達・発展が挙げられよう。それとともに、それを裏付ける思想として、実証主義思想(科学主義)が一般に広く流布し、考え方やものの見方の上で、言わばデファクト・スタンダードになったと言うことが出来る。つまり、世界中のあらゆる森羅万象は、科学によって解明できるという科学に基づいた一元論的世界観が、ここにおいて確立することになった訳である。

現在、この科学的な一元論的世界観に対して、異を唱える人は殆どいないと思われるが、人間の営為上の問題としては、広範な科学上の具体的問題についての知見や言説の細部についてその総てを知ることは、個人の能力を遥かに超えるところにまで科学は発展してしまったという事実が挙げられる。これは個々の科学者においても同様であって、自分の専門以外の分野についての知識や知見は、一般人とさほど違っている訳ではないことは言うまでもない。

従って、普通には科学的な言説が正しいといった常識や通念を持っているだけに過ぎないことは、わが身を振り返って胸に手を当てて考えてみれば、すぐに判る事である。そのため、現代生活においては、「科学的な言説」は、普通の人間にとっては、水戸黄門の印籠のごとく「へへ―」とひれ伏す他はない対象になっている。実際には科学的におかしな言説、極論すればたとえフェイクであったとしても、学識経験者がしたり顔で述べれば、そのトピックに関して科学的に正確な知識や知見が無いと反論することはまずもって不可能なので、結果的に押し切られてしまうことになるのが普通である。それどころか、常識に照らしておかしいと思って異を唱えれば、非科学的な悪質なデマとして排斥され、断罪されかねないというのが実情である。

原理的に言えば、科学的な仮説をも含む実証主義(科学主義)的言説というのは、文字通り主義=イデオロギーであって厳密に限定された科学的事実としての言説とは明確に区別されなければならないのだが、科学の発達・発展に伴って、専門分野の多岐化・多様化と分野個々の深堀り・先鋭化によって、この境界がどんどん曖昧になって来ているというのが実情である。そして、その傾向は時間の経過とともにますます先鋭化していると言わなければならない。

従って、この近代が生んだ実証主義イデオロギーという毒に対抗する解毒方法としては、取り分けマスコミに出てくる学識経験者の述べる、一見「科学的な言説」については、一度は疑ってみるべきだということになる。現在では、ググれば幾らでも調べられるのだから。

ま、ある意味、これはしんどい作業ではあるけれども、昔から言われている功罪相半ばというのは何事にも付きもので、科学についても原子爆弾が良い例で、その成果の良いとこ取りだけで済まそうなどというのは、実に虫のいい話であって、まずもって虫のいい話通有のしっぺ返しが待っているのは間違いないと断言して差し支えない。廻りまわってしっぺ返しが、必ずやってくるという事例に事欠かないのが、人類の歴史なのだから。



そして、こういった意味合いで「科学的な言説」が、最近のマスコミで盛んに取り上げられている特徴的な事例を幾つか挙げれば、コロナ・パンデミックに関する様々な科学的な言説、SDGSの基になっている地球温暖化に関する科学的な言説、そして南海トラフプレート説などの地震に関する科学的な言説が挙げられよう。現在、政府はこれらの「科学的な言説」に基づいて、多大の予算を計上して施策を行っているという点でも、これらは重要な議案だと言わなければならないだろう。

まず、一つ目のコロナ・パンデミックに関しては、ここで議論を蒸し返す気はないが、最近は潮目がだいぶ変わって来たのを感じるのは私だけではないだろう。ワクチン被害がNHKで取り上げられ、お笑い番組でおかしなコロナ対策がネタにされたりと、オールド・メディアの手のひら返しが、目に付くようになってきた。その意味でも注目は、年内に予定されている一変申請レプリコン・ワクチンが、実際に実施されるのかどうかで、厚労省の内部でも揉めているという話も聞くが、実際のところは判らない。まあ、個人的には、時間が掛かるかもしれないが、ワクチン被害が薬害認定されるのは、時間の問題だと考えていることに変わりはないけれども。

そして、二つ目の地球温暖化の原因が二酸化酸素排出量の増加によるという科学的な言説に関する基礎論文が科学的に論証に耐え得ないものであるということは、ググれば判ることであるし、ある程度広く認知されて来ていると思われるので、議論は省いて、ここでは、あるいは知らない人も多いと思うので、三つ目の地震に関する科学的な言説である南海トラフ説やプレート説についても、学術的に根本的な反論がなされているという事実を、以下に紹介して置きたいと思うのである。


まず、南海トラフ地震に関する科学的な言説については、東京大学名誉教授の地震学者ロバート・ゲラー氏を筆頭に、根本的な批判がなされている。

まあ、ここ何十年かに日本で起こった大きな地震が、政府の出しているハザードマップから見れば、皆「想定外」だったことを考えれば(ハザードマップというよりハズレマップ?©ロバート・ゲラー)、南海トラフ説というのは、ショック・ドクトリンとしてコロナ・パンデミックと全く同型であることが判ろうというものである。

「予知なんて出来るはずない」ハザードマップではわからない本当の危険性は?(ロバート・ゲラー、高荷智也、村上建治郎、目黒公郎)TheUPDATE


ゲラー東大名誉教授が地震予知批判 「南海地震は神話」

X→Robert Geller; ロバート・ゲラー



福島原発事故は果たして「想定外」だったのか? 浜岡原発の地震発生確率84%の信ぴょう性は? 地震予知が当たらない本当の理由、打ち出の小槌と化している東海地震、日本の防災をダメにしている元凶など、地震学研究一筋35年の東大現役教授が語る、知らないと損をする大震災と原発事故の危ない真実。



また、この古舘伊知郎氏の動画も、予算獲得のための学会内政治にかなり踏み込んでいて、とても判り易い。

【日向灘地震】南海トラフ巨大地震発生確率の信憑性に疑問。これまでの地震とこれからの備え。


古舘氏が動画の中で触れている小沢記者の著作。


発生確率70~80%→実は20%!?
地震は日本のどこで起きてもおかしくない。 なのに、南海トラフ地震ばかりが確率の高さの算出で 「えこひいき」されている? 「科学ジャーナリスト賞」受賞の新聞連載を書籍化‼
私が南海トラフ地震の確率が「水増し」されていることを初めて 知ったのは2018年。それまで科学的根拠に基づき算出されている と思っていた確率が、いい加減な根拠をもとに政治的な決められ 方をしていたことに、唖然とした。 また、取材をしていくと、防災予算獲得の都合などから、南海ト ラフ地震が「えこひいき」されて確率が高く示されるあまり、全国の他の地域の確率が低くとらえられて油断が生じ、むしろ被害 を拡大させる要因になっている実態も見えてきた——。 (まえがきより)
西日本から東日本の太平洋側を中心に、大きな被害が予想される「南海ト ラフ地震」。この地震がこれから30年以内に起きる確率を、政府は70%~ 80%と予測する。この数値の出し方に疑問を持つ記者が、その数字を決定 した会議の議事録や予測の根拠となる室津港の水深を記した古文書など を探し出し、南海トラフの確率の出し方が「えこひいき」されている真実 を浮き彫りにするノンフィクション。



さらにまた、この地震に関する科学的な言説南海トラフ地震対策だけでなく、原発再稼働不許可の論拠にもなっている。最近初めて不許可の裁定がなされた福井県の敦賀原発2号機再稼働案件問題については、再稼働を目指す日本原電側が直下に活断層がないことを証明するさまざまな根拠を示したのに対し、→原子炉の真下にある断層が活断層であることを否定できない>ので<稼働の前提となる規制基準に適合しないという原子力規制委員会側の説明がなされている。原子力規制委員会のメンバーには石渡明という地質学の専門家の名前が見えるが、要は<活断層であることを否定できない>もし活断層であれば、科学的に地震が起きる可能性が高い原発再稼働不許可というなんとも???な悪魔の証明的たらればロジックである。

ただ、私がここで問題にしたいのは、日本原電側も原子力規制委員会側も、どちらも「活断層による地震発生という因果関係説」を前提にしているが、この前提自体に疑義があるという点である。

つまり、両者ともにこの「活断層による地震発生という因果関係説」に立っているがために→<直下の活断層の有無が焦点となっていた>訳であるが、この「活断層による地震という因果関係説」自体、「プレート説」を前提にしているのであって、この大前提である大本の「プレート説」自体が根本的に批判されているのである。

従って、これはそもそも地震発生のメカニズムをどう考えるかのかという、ちゃぶ台返し的な議論になる訳であるが、活断層・プレート説に対しては、「熱移送説」による根本的な批判があることを指摘したい訳である。


そのプレート説に対し、「熱移送説」を取る藤和彦氏(経済産業研究所主席研究員)が、根本的に異を唱えている動画及び書籍(地震学者角田史雄氏との共著)をここで紹介して置こう。

藤氏が述べているように、昔は「南海トラフ地震」とは言わず「南海大地震」と言っていたが、これが「東南海大地震」を経て「南海トラフ地震」へと段々と大規模化してきたのは、不安を煽る「ショック・ドクトリン」の先鋭化手法そのものであると私の眼には映るのであるが、どう思われるであろうか。

経産官僚が暴露 「南海トラフ地震利権」の真相


特番「南海トラフM9地震は起きない! ~プレート説は根拠なし、熱移送説で地震のメカニズムを解き明かす~」ゲスト:経済産業研究所主席研究員 藤和彦氏「ザイム真理教は7割の国民が信用し、プレート真理教は100%が信用している





2016年熊本地震、2018年北海道胆振東部地震
2024年能登半島地震……東日本大震災以降、
なぜ大地震は南海トラフ以外で起きるのか。
「熱移送説」で地震発生のメカニズムを解き明かす。

プレートの枚数は現在も確定しておらず、プレートが衝突したり沈み込んだりするとされている場所から2000㎞以上も離れた中国内陸で起きた四川大地震は説明できません。地震の発生原因は、地球内部の熱移送であり、大地震発生前には必ずその周辺で熱移送と火山性群発地震が起きています。プレート説に基づいて地震予知研究をしているのは日本だけ。活断層が動いて直下地震が起きると思っているのも日本だけ。ほとんど信仰と言っていいプレート説を真剣に見直す時期が来ていると思います。(本書「おわりに」より)