東京マラソンに参加するには、あらかじめジョギングやランニングで体調を整えようとテレビで特集を組んでいた。
そのメッカとして、東京の皇居の周回コースが取り上げられ、衝突事故まで起きるほどのランナーが集団で走っているらしい。
皇居1周約5kmに信号がないため、走りを中断させられることがないことがその主な理由だそうだ。
そういえば、皇太子様にしても、麻生前首相にしても、走っていた映像が流れた記憶がある。
それにもかかわらず、自分の体調も考慮に入れて、なぜか帝国ホテルのロビーを起点として歩きはじめることにした。
せっかくだから、上京した横浜の田舎者としては、地下鉄連絡路から、次に帝国劇場の地下にもぐり、カフェで即、休憩をとった。
皇居前に重厚な風貌で建っていることから、幾多の歴史をかいくぐってきた明治生命館のビルを見上げ、デジカメしていると、背後にひと目を忍ぶかのようなコソコソした感じを受けた。
とっさに振り返ると、マイカーからロケバスに乗り換える梅宮アンナさんだった。
報道陣の前では、愛想笑いなどしなければならないが、素人・一般人の目を盗んで行動しなければならないのも、結構辛いものかもしれない。
どれもこれも、遙かに見上げるような建物が乱立している丸の内のメインストリートを歩く。
あの1974年に起こった三菱重工ビル爆破事件を思い出す。
卑劣な爆弾テロにより、多くの犠牲者を出した。
今は通りも整備され、彫刻や街路樹が穏やかな平和を象徴するかのようだ。
それでも、至る所に警備員や清掃するスタッフを見かけるのは、まだ警戒の中にあることを意味しているのだろうか?
丸の内から大手町に入る。
左手に曲がって、5kmを散歩する間の安全祈願として、江戸の守護神・平将門の首塚へ向かう。
最初にここへ訪れたのは、予備校生時代のころ。
何かの用事でこの辺りに来ると、できるだけお参りするようにしているが、いつ来てもここだけは変わらずにある。
花も香も供物も、いつでも手向けられているし、参拝客も絶えないのは、稀代の怨霊としてよりも、閉鎖的な状況を打破しようとした信念の持ち主としての畏怖からに違いない。
やっとお堀に出た。
しばらく、静かな水面を見つめていると、後ろから次々とランナーが遠ざかっていく。
なんとなく、ランナーたちから背中を押されているかのように感じて、お堀沿いを反時計回りに歩きはじめた。
一方通行という標識はないけれど、歩行者以外はみなお堀を左手に見て黙々と走っている。
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