南房総市の千倉から東京湾アクアラインへ向かうのに一般道を走ってみた。
房総特有の山と渓谷、田園風景の中を、秋の気配を感じながら走行するのも、また楽しい。
丸山から嶺岡を抜けて、鴨川長狭ではみんなみの里で休憩、清和県民の森を下りていくと、君津市から木更津市に入ったところが下郡だ。
圏央道の木更津東ICの入路に向かって、右折すると、趣のある近代建築物に目が止まった。
下郡郵便局旧局舎(見出し写真)だ。
調べてみると、国の登録有形文化財に指定されていた。
昭和10年の建築。
ところが、その局舎の建っている敷地にある巨大な長屋門と主屋に目が釘付けになった。
長屋門は、城の門のようで、明かり取りの窓の数からいっても相当な大きさだ。
代官屋敷とも思えそうだが、塀を巡らせていないところをみると、名主、庄屋で代官格を与えられた「殿様」なのだろう。
かなりの豪農の邸宅で、明治か場合によっては江戸にまで遡れそうな建物。
となれば、関東大震災にも耐え、その上に車寄せや井波彫刻のような立派な意匠まで施し、寺社建築を見ているようだ・
これを、のちに代議士まで務めた家柄として仮定してみると、すぐ近くの川に立派なトラス橋が架かっている。
その先を目指すと、JR久留里線の下郡駅がある。
JR線は、駅間3km以上を目安に駅を設置するというから、馬来田駅から間近に駅を設ける理由も過去の例からひけば政治的な何かがあったに違いない。
明治・大正・昭和初期を撮影するのに絶好のロケーションといえる。
木更津港は江戸湾の風待ち港として栄えた歴史を持ち、安房・上総から東京・横浜への物資流通の要だったから、木更津から小櫃川を遡った下郡は、川幅からいっても大きな舟運の荷積み地だったに違いない。
積み荷が生糸と考えると横浜との縁も深そうだし、水利にも恵まれた土地柄だけに製糸工場があったかもしれない。
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