秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。
子ども、孫、ひ孫まで。
一人ひとりが死に思いをめぐらせ、あるいは不在の人を思い、
ゆるやかに互いを思う連帯の中で、それぞれの記憶と時間が広がってゆく。
20人あまりの生の断片から永遠の時間が立ち上がる一晩の記録。
以上が商品説明。
芥川賞受賞作品なので興味を抱き、読んでみましたが、「なんじゃこりゃ?」というのが最も正直な読後感です。
通夜に集まった子供、孫、ひ孫たちの生い立ちや思い出などを交えながら、通夜の日の彼らの行動が淡泊に描写されているだけ。登場人物が多く、家系図でも作成しないと誰がどの世代なのか分からなくなってますが、それはきっと現実の親戚でも同じこと。冠婚葬祭以外の付き合いがない親戚など、誰が誰だか分からないもの。そして大抵は覚えようともしない。なぜなら関心がないから。
それと似たような感覚をこの作品にも感じます。登場人物が覚えられなくてもなんかどうでもいい感じ。
最後のお寺の鐘は誰が鳴らしたのか。それもまた余韻を残すようでいて、実は全然大した問題じゃなくて、「誰だったんだろーねー?」「ねー。分かんないよねー」というやりとりだけで終わってしまう程度のことだったり。
この作品の評価される部分が私にはさっぱり分かりませんでした。短編なので何とか最後まで読み切りましたが、途中退屈で読む気が失せるほどでした。こんなにつまらなく感じる小説もむしろ珍しい。