久々にドイツ世論調査、ポリートバロメーター最新版を私見を交えつつご紹介いたします。
難民政策
2016年に新たにドイツに入国した難民数は前年度に比べて激減しましたが(統計は別途紹介)、ベルリンのクリスマス・マーケットで起こったテロ事件など難民としてドイツに入国し、元からテロリストだったのか、ドイツ入国後に過激化したのかという疑問はともかくとして、テロに対する危機感はかなり強まっています。こうした空気の中で難民や移民の中の特に「危険人物」と目される人たちの送還措置に関する法の厳格化が議論されています。
危険人物の送還拘留を拡張・延長することに対してどう思いますか?:
賛成 88%
反対 9%
分からない 3%

当然の結果かもしれませんが、危険人物送還のための拘留には賛成の人が多数です。
犯罪を犯した難民申請者を送還するためにはより厳しい法律が必要:
全体:
はい 67%
いいえ 31%
支持政党別の「はい」と回答した人の割合:
CDU/CSU 72%
SPD 64%
左翼政党 44%
緑の党 38%
FDP 66%
AfD 80%

犯罪歴のある難民申請者の祖国送還に関する法律の厳格化もやはり賛成多数ですが、支持政党別でみると左翼政党及び緑の党支持者の間でのみ、厳格化を求める声が半数に満たなくなっています。
対テロ対策は十分になされていると思いますか?:
はい 43%(2016年10月:62%)
いいえ 51% (2016年10月:31%)

「十分ではない」という印象が10月に比べて強くなっているのはやはりベルリンのクリスマスマーケット事件が響いているのでしょう。
ドイツはこのたくさんの難民を処理することができると思いますか?:
はい 57%(2016年1月:37%)
いいえ 41%(2016年1月:60%)

同じ質問に対する回答の長期的推移:

比較的肯定的な声が大きいのは、2016年度の難民入国数が激減したことと、ドイツ国民がテロ問題と難民問題をごっちゃにしていないことにその理由があります。少なくともそのように理性的な判断をする人がまだまだ多い、ということです。
メルケル首相の難民政策をどう評価しますか?(長期的推移):
いい 52%
悪い 45%

現在はメルケル首相の政策支持の方がやや優勢ですが、世論が割れていることは事実です。メルケル首相率いるCDUの姉妹政党であるCSUの党首ホルスト・ゼーホーファーが特にメルケル批判の急先鋒と言っていいくらい噛みついてますが、それはAfDから票を奪うためのデモンストレーションの意味合いもあります。ただ姉妹政党同士で見解の一致を見ないことには選挙では戦えないので、和解を望む声も大きいのですが、なんというかまだ割れてますね。難民入国数が減ってしまった今となってはCSUが主張するところの「上限」も大して意味をなさないにも関わらず、意地を張っている感じです。
次期首相候補
どちらの方が首相として好ましいですか?:
メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%
分からない 14%
メルケル対シュルツ
メルケル 47%
シュルツ 37%
分からない 16%

支持政党別:
メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%
CDU/CSU支持者
メルケル 89%
ガブリエル 6%
SPD支持者
メルケル 39%
ガブリエル 54%

ここで際立っているのはやはりジグマー・ガブリエルSPD党首の党内人望の無さですね。SPD支持者の40%近くが自党の党首よりもメルケル首相の方がいいと回答しています。
連邦議会選挙2017
もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:
CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(変化なし)
SPD(ドイツ社会民主党) 21% (-1)
Linke(左翼政党) 9%(-1)
Grüne(緑の党) 10%(変化なし)
FDP (自由民主党) 6%(+1)
AfD(ドイツのための選択肢) 13%(+1)
その他 5% (変化なし)

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先回答推移:

政権満足度(スケールは+5から-5まで):1.2(前回比+0.2)
緑の党は選挙後にどの党と連立して政権を取るべきですか?:
全体
SPDと左翼政党 32%
CDU/CSU 49%
分からない 19%
緑の党支持者
SPDと左翼政党 50%
CDU/CSU 44%
分からない 6%
緑の党支持者の連立希望政党の変化:
現在 2016年11月
SPDと左翼政党 50% <-- 63%
CDU/CSU 44% <-- 32%
分からない 6% <-- 5%
理由は分かりませんが、左寄りの連立よりも保守のCDU/CSUとの連立を希望する緑の党の支持者がかなり増えています。もしかしたらこれもガブリエルSPD党首の人望の無さに原因の一端があるのかも知れません。
政治家評価
政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):
- フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.4(→)
- ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.0(→)
- アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(↑)
- ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.7(↑)
- トーマス・ドメジエール(内相)、1.3(↑)
- ケム・エツデミール(緑の党党首)、0.8(↓)
- ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(→)
- ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.6(↑)
- ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.6(↑)
- サラ・ヴァーゲンクネヒト(左翼政党議員)、-0.4(↓)


トランプ大統領と独米関係
トランプは大統領に就任後、選挙戦での主張を変えると思いますか?:
現在 2016年11月
過激なまま 33% <-- 20%
多少丸くなる 59% <-- 78%

独米関係はどう変わると思いますか?:
改善する 2%
悪化する 55%
あまり変わらない 39%

トランプ大統領に対する不安はドイツでも大きいということですね。
この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン」によって実施されました。インタビューは無作為に選ばれた1,292名の選挙権保有者に対して2017年1月10日から12日までの間に電話で行われました。世論調査はドイツ選挙民のサンプリングです。誤差幅は、40%の割合値において±約3%ポイント、10%の割合値においては±約2%ポイントあります。世論調査方法に関する詳細情報は www.forschungsgruppe.de で閲覧できます。
次のポリートバロメーターは2017年1月27日に発表されます。
参照記事:
ZDF heute, 13. Januar 2017, Politbarometer: Große Zustimmung für härteres Vorgehen gegen „Gefährder“