徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ドイツ:2016年度難民申請&認定数統計~新規入国者は28万人

2017年01月15日 | 社会

ドイツの2016年度の難民統計をご紹介します。

まずは新規入国者ですが、バルカンルートが閉鎖されてしまったことで、難民たちが危険を冒して地中海を渡っても、ギリシャやイタリアの【ホットスポット】に留め置かれてしまうため、ドイツまで到達した難民の数は去年の約89万人から28万人に激減しました。

一方、連邦移民難民局の体制が整ったこともあって、正式な難民申請数は745,545件となり、去年より268,869件の増加となりました。また、審査終了件数も去年の約1.5倍の695,733件でした。

出身国別に申請件数を見ると次の表のようになります:

 難民申請(初回および継続申請) 変化
  20152016 %絶対数
  合計 476,649 745,545 56.4 268,896
1. シリア 162,510 268,866 65.4 106,356
2. アフガニスタン 31,902 127,892 300.9 95,990
3. イラク 31,379 97,162 209.6 65,783
4. イラン 5,732 26,872 368.8 21,140
5. エリトリア 10,990 19,103 73.8 8,113
6. アルバニア 54,762 17,236 -68.5 -37,526
7. パキスタン 8,472 15,528 83.3 7,056
8. 不明* 12,166 14,922 22.7 2,756
9. ナイジェリア 5,302 12,916 143.6 7,614
10. ロシア 6,200 12,234 97.3 6,034


審査終了した695,733件のうち、36.8%(256,136人)がジュネーブ条約に基づいて難民認定されました。認定率が最も高かったのはエリトリア出身者で、75.2%でした。次に認定率が高かったのはシリア出身者で、56.5%。エリトリア出身者に比べると大分低い認定率です。基本的に「シリア全体が内戦状態なわけではない」という見方が適用され、具体的にシリアのどこから来たかによって難民認定されるかどうかが左右されるようです。

参照記事:

ドイツ連邦内務省プレスリリース、2017年1月11日、"280.000 Asyl­su­chen­de im Jahr 2016"


ドイツ:2015年度難民申請&認定数統計

ドイツ:2017年度難民申請&認定数統計~申請総数186,644件



ドイツ:世論調査(2017年1月13日)~危険人物に対する措置厳格化賛成多数

2017年01月15日 | 社会

久々にドイツ世論調査、ポリートバロメーター最新版を私見を交えつつご紹介いたします。

難民政策

2016年に新たにドイツに入国した難民数は前年度に比べて激減しましたが(統計は別途紹介)、ベルリンのクリスマス・マーケットで起こったテロ事件など難民としてドイツに入国し、元からテロリストだったのか、ドイツ入国後に過激化したのかという疑問はともかくとして、テロに対する危機感はかなり強まっています。こうした空気の中で難民や移民の中の特に「危険人物」と目される人たちの送還措置に関する法の厳格化が議論されています。

危険人物の送還拘留を拡張・延長することに対してどう思いますか?:

賛成 88%
反対 9%
分からない 3% 

当然の結果かもしれませんが、危険人物送還のための拘留には賛成の人が多数です。

 

犯罪を犯した難民申請者を送還するためにはより厳しい法律が必要:

全体:

はい 67%
いいえ 31%

支持政党別の「はい」と回答した人の割合:

CDU/CSU 72%
SPD 64%
左翼政党 44%
緑の党 38%
FDP 66%
AfD 80% 

犯罪歴のある難民申請者の祖国送還に関する法律の厳格化もやはり賛成多数ですが、支持政党別でみると左翼政党及び緑の党支持者の間でのみ、厳格化を求める声が半数に満たなくなっています。

 

対テロ対策は十分になされていると思いますか?:

はい 43%(2016年10月:62%)
いいえ 51% (2016年10月:31%)

「十分ではない」という印象が10月に比べて強くなっているのはやはりベルリンのクリスマスマーケット事件が響いているのでしょう。

 

ドイツはこのたくさんの難民を処理することができると思いますか?:

はい 57%(2016年1月:37%)
いいえ 41%(2016年1月:60%) 


同じ質問に対する回答の長期的推移:

比較的肯定的な声が大きいのは、2016年度の難民入国数が激減したことと、ドイツ国民がテロ問題と難民問題をごっちゃにしていないことにその理由があります。少なくともそのように理性的な判断をする人がまだまだ多い、ということです。

 

メルケル首相の難民政策をどう評価しますか?(長期的推移):

いい 52%
悪い 45% 

現在はメルケル首相の政策支持の方がやや優勢ですが、世論が割れていることは事実です。メルケル首相率いるCDUの姉妹政党であるCSUの党首ホルスト・ゼーホーファーが特にメルケル批判の急先鋒と言っていいくらい噛みついてますが、それはAfDから票を奪うためのデモンストレーションの意味合いもあります。ただ姉妹政党同士で見解の一致を見ないことには選挙では戦えないので、和解を望む声も大きいのですが、なんというかまだ割れてますね。難民入国数が減ってしまった今となってはCSUが主張するところの「上限」も大して意味をなさないにも関わらず、意地を張っている感じです。

 

次期首相候補

どちらの方が首相として好ましいですか?:

メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%
分からない 14% 

メルケル対シュルツ
メルケル 47% 
シュルツ 37%
分からない 16% 


支持政党別:

メルケル対ガブリエル
メルケル 60%
ガブリエル 26%

CDU/CSU支持者
メルケル 89%
ガブリエル 6%

SPD支持者
メルケル 39%
ガブリエル 54% 

ここで際立っているのはやはりジグマー・ガブリエルSPD党首の党内人望の無さですね。SPD支持者の40%近くが自党の党首よりもメルケル首相の方がいいと回答しています。

 

連邦議会選挙2017

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(変化なし)
SPD(ドイツ社会民主党)  21% (-1)
Linke(左翼政党) 9%(-1)
Grüne(緑の党) 10%(変化なし)
FDP (自由民主党) 6%(+1)
AfD(ドイツのための選択肢) 13%(+1) 
その他 5% (変化なし)

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先回答推移:


政権満足度(スケールは+5から-5まで):1.2(前回比+0.2)

 
 
緑の党は選挙後にどの党と連立して政権を取るべきですか?:
全体
SPDと左翼政党 32%
CDU/CSU 49%
分からない 19%
 
緑の党支持者
SPDと左翼政党 50%
CDU/CSU 44%
分からない 6%
 
緑の党支持者の連立希望政党の変化:
現在              2016年11月
SPDと左翼政党 50% <--    63%
CDU/CSU 44% <--       32%
分からない 6% <--       5%
 

理由は分かりませんが、左寄りの連立よりも保守のCDU/CSUとの連立を希望する緑の党の支持者がかなり増えています。もしかしたらこれもガブリエルSPD党首の人望の無さに原因の一端があるのかも知れません。

 

政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.4(→)
  2. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.0(→)
  3. アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(↑)
  4. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.7(↑)
  5. トーマス・ドメジエール(内相)、1.3(↑)
  6. ケム・エツデミール(緑の党党首)、0.8(↓)
  7. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(→)
  8. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.6(↑)
  9. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.6(↑)
  10. サラ・ヴァーゲンクネヒト(左翼政党議員)、-0.4(↓)

 

トランプ大統領と独米関係

トランプは大統領に就任後、選挙戦での主張を変えると思いますか?:

現在            2016年11月
過激なまま 33%  <--  20%
多少丸くなる 59%  <--   78% 


独米関係はどう変わると思いますか?:

改善する 2%
悪化する 55%
あまり変わらない 39% 

トランプ大統領に対する不安はドイツでも大きいということですね。

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン」によって実施されました。インタビューは無作為に選ばれた1,292名の選挙権保有者に対して2017年1月10日から12日までの間に電話で行われました。世論調査はドイツ選挙民のサンプリングです。誤差幅は、40%の割合値において±約3%ポイント、10%の割合値においては±約2%ポイントあります。世論調査方法に関する詳細情報は www.forschungsgruppe.de で閲覧できます。

次のポリートバロメーターは2017年1月27日に発表されます。

 

参照記事:

ZDF heute, 13. Januar 2017, Politbarometer: Große Zustimmung für härteres Vorgehen gegen „Gefährder“


書評:ダン・ブラウン著、『The Lost Symbol』(Transworld Publishers)

2017年01月15日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『The Lost Symbol』(日本語訳タイトルは『ロスト・シンボル』)は『天使と悪魔』、『ダ・ビンチ・コード』に続くロバート・ラングドン教授シリーズ第三弾で、2009年9月電子書籍版発行。第二弾の数年後という設定です。今回の舞台はヨーロッパではなく、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.で、ラングドンがさほど遠出せずに済んだのは確かですが、やはり急に呼び出されて散々な目に合う、というパターンは同じです。『ダ・ビンチ・コード』ではパリ警察に追われていましたが、『ロストシンボル』ではCIAに追いかけられる羽目に。

その発端は、フリーメーソンのほとんど最高地位にあるピーター・ソロモン氏がラングドン教授のメンターで友人でもあり、その彼がラングドンを信頼して、「何か」を預けたことにあります。犯人マラーク(Mal'akh)の狙いはフリーメーソンであったアメリカ建国の父たちがワシントンにピラミッドを立てて埋めたと言われる古の神秘、「失われた言葉(The Lost Word)」あるいは「失われた象徴(The Lost Symbol)」で、ラングドンに預けられた「何か」はそのピラミッドの謎を解くカギとなるらしく、彼をソロモン氏のアシスタントのふりをしてCapitol Building(アメリカ合衆国議会議事堂)でレクチャーをするよう嘘の依頼でワシントンに呼び出します。そこで彼が目の当たりにしたのは、ドームの天井を指し示すピーター・ソロモンの切断された右手首で、それぞれの指に「古の神秘(Ancient Mysteries)」を暗示する刺青が入れられていました。その現場に現れたCIA保安局局長イノエ・サトウ(Inoue Sato)という日系の怖いおばちゃんがなぜか「これは国家の安全にかかわることだ」と主張し、ラングドンに知っていることを洗いざらい吐いて、謎を解くように協力を強制。だからと言って、ラングドンはソロモン氏から預かっていて、その日持ってくるように言われていた「何か」のことについて白状する気はなかったので、結局隠していたことがばれて追われる身に。

一方、Noetic Science(認知心理学・超心理学)の研究者であるピーター・ソロモン氏の妹キャスリン・ソロモンにもマラークの魔の手が伸びていきます。彼女はスミソニアン博物館支援センター(SMSC)にある自分の研究室を間一髪で逃れてラングドンと合流することに。

怖いと言えば、やはりこの犯人のマラークの全身刺青という外見もさることながら、その思い込みの激しさ、人を殺すのに躊躇しないところなど、まさしく狂人キャラで、サスペンス度を上げるのに貢献しています。実はかわいそうな人なんですがね。。。

興味深いと言えば、最先端の科学研究であるというNoetic Scienceが古の神秘の問いかけと繋がっているということと、ワシントンの建造物に隠されている象徴的な意味でしょうか。ただ、そのあたりの蘊蓄を詳述するためだけに、事件解決後のエピローグが長引かされている印象も否めず、途中でちょっと飽きてきてしまいました。

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書評:ダン・ブラウン著、『Angel & Demons』(Simon + Schuster)

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