ダン・ブラウン作のハーバード大学象徴学教授ロバート・ラングドンのシリーズ第4弾『Inferno』(Transworld Publishers、2013)を完読しました。
義妹が映画の『インフェルノ』を見て面白かったと言っていたので、ドイツでも見れるかと思って調べてみたら、近場では上映していなかったので、あえなく断念し、原作を読むことにしました。第3弾の『ロストシンボル』よりも私は面白いと思いました。
ラングドン教授が追われながら象徴学的な謎を解いていくというパターンは維持されていますが、始まり方は前作品までと違って「急な呼び出し」ではなく、いきなりフィレンツェの病院で目覚め、なんで自分がフィレンツェに来ているのかさっぱり分からない状態から始まります。過去2日間の記憶が失われていたのです。そして彼は頭を銃で撃たれてそこに運ばれたらしい。ドクター・シエナ・ブルックス(Sienna Brooks)がラングドンに状況説明しているところに刺客が現れ、ドクター・マルコーニという英語があまり話せない担当医が凶弾に倒れてしまい、シエナはラングドンを連れて逃走することに。彼女のアパートに辿り着いた二人は、ラングドンのツイードジャケットの秘密のポケットに入っていたバイオハザードマークの付いた筒を発見し、中身を調査。出てきたのは中世的な彫刻が施された投影機で、映し出された画像はダンテの『神曲(La Divina Comoedia)』からインスピレーションを得たボッティチェリ作『地獄地図(La Mappa dell'Inferno)』でしたが、よく見るとそれはオリジナルとは違いデジタル的に画像改変されたもので、謎の文字「CATROVACER」およびメッセージ「The truth can be glimpsed only through the eyes of death(真実は死(人)の眼を通してのみ垣間見ることができる)」が残されていました。
最初、ラングドンはフィレンツェにあるアメリカ領事館の保護を求めようとしましたが、そこに電話をかけると、「誰かを迎えに行かせる」と言って、来たのが病院に現れた刺客その人だったため、逃げながら残された謎を解く以外に選択肢がなくなってしまったわけです。この命を狙われるパターンは前作までにはなかったので、スリル感がより一層高まっています。謎解きは最初から最後までダンテの『神曲』関連です。そこに世界の人口爆発問題とバイオテロが絡んで話が一層大きくなり、また例によって敵・味方が錯綜してひっくり返ったりするので、話がどこに辿り着くのか全然見えてこないのが魅力です。
今年の秋に発表されるという新作『Origin』が楽しみです。
因みに本の表紙のイラストはフィレンツェを逃げ回るラングドンとシエナだと思うのですが、シエナはブロンドのポニーテールということになっているので、本の内容と噛み合わないのが疑問です。