徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ドイツ:世論調査(2017年4月7日)~首相候補。メルケル再びシュルツをリード

2017年04月07日 | 社会

久々のポリートバロメーターです。忙しかったり、病気だったりで間が空いてしまいましたが、4月7日の分を再び私見を交えつつご紹介いたします。

次期首相候補

まずはタイトルにもあるように首相候補の話題から。以前の記事で、ドイツでは首相候補問題のことを「K-Frage(カー・フラーゲ)」と省略することが多いことを述べましたが、これは9月の連邦議会選挙が終わるまで引き続き注目の話題です。私がお休みしている間に、SPDの首相候補シュルツが現職のメルケルを追い上げて、一時リードしていましたが、最新のカー・フラーゲではメルケルが盛り返しています。メルケル48%、シュルツ40%。


アンゲラ・メルケル首相の仕事ぶりは?:

いい 76%
悪い 21%

マルチン・シュルツなら?:

もっとうまくやれる 20%
もっと悪い  22%
違いない 40%
分からない 18% 


メルケル対シュルツ

信頼性:

メルケル 34%
シュルツ 13%
どちらとも同じ 44%

好感度:

メルケル 31%
シュルツ 27%
どちらとも同じ 35%

専門知識:

メルケル 46%
シュルツ 10%
どちらとも同じ 31% 


連邦議会選挙2017

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 35%(+1)
SPD(ドイツ社会民主党)  32% (変化なし)
Linke(左翼政党) 8%(変化なし)
Grüne(緑の党) 7%(変化なし)
FDP (自由民主党) 5%(変化なし)
AfD(ドイツのための選択肢) 9%(変化なし) 
その他 4% (-1)

「変化なし」云々は2週間前の世論調査と比較した値です。1月の時点ではSPDの支持率が24%でしたので、それと比べれば8ポイントの伸びで、「シュルツ効果」が効いていると言えます。一方、AfDは1月時点で11%あったので、この2か月半で2ポイント支持率が下がったことになります。メルケル率いるCDU及びその姉妹政党CSUは安定的な強さですね。


1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先回答推移:

 

政権満足度(スケールは+5から-5まで):1.3


連立政権モデルの評価:

CDU/CSUとSPD(現行の「大きな連立」)

いい 49%
悪い 31%

SPD、緑の党、FDP

いい 23%
悪い 52%

CDU/CSU、緑の党、FDP

いい 21%
悪い 53%

SPD、左翼政党、緑の党(「左派連立」)

いい 24%
悪い 62% 

現行の「大きな連立」の続行が望まれているようです。対して左派連合には相当の抵抗があるようですね。

 各政党の能力評価ー経済:

CDU/CSU 42%
SPD 19%
左翼政党 2%
緑の党 1%
FDP 2%
AfD 1% 

 

各政党の能力評価ー社会的公平:

CDU/CSU 20%
SPD 39%
左翼政党 11%
緑の党 4%
FDP 2%
AfD 2% 


各政党の能力評価ー難民政策:

CDU/CSU 39%
SPD 17%
左翼政党 5%
緑の党 6%
FDP 2%
AfD 6% 

 

政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、1.9(→)
  2. アンゲラ・メルケル(首相)、1.9(↑)
  3. ヴォルフガング・ショイブレ(財相)、1.9(↑)
  4. マルチン・シュルツ(SPD党首・前欧州議会議長)、1.3(↓)
  5. トーマス・ドメジエール(内相)、1.2(↑)
  6. ジーグマー・ガブリエル(新外相)、0.9(↓)
  7. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.9(↑)
  8. チェム・エツデミール(緑の党党首)、0.8(初ランクイン)
  9. グレゴール・ギジー(欧州左翼代表)、0.6(再ランクイン)
  10. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.5(→)


英EU離脱

3月末にセレザ・メイ英首相が正式にEUへ離脱申請を提出し、ハードな離脱交渉がスタートしました。その事務的な課題についてまとめましたので、興味のある方は「イギリスのEU離脱~その事務的課題」をご覧ください。

では世論調査の問いです。

イギリスのEU離脱をどう思いますか?:

いい 10%
悪い 69%
どちらでもいい 20% 

「どちらでもいい」が20%もいるのが少々驚きです。EU離脱の国民投票から結構時間が経っているので、関心が薄れてきているのかも知れませんね。

EU離脱交渉:EUはイギリスに大きく譲歩すべきですか?

はい 10%
いいえ 88%
分からない 2% 

EUを存続させるためには出て行こうとするイギリスに大きく譲歩せず、ハードな条件を付けることで後追いを牽制することに意味があります。感情的にも出て行くものを優遇するなど許せない面があるかもしれません。ただ、あまりハードにしすぎると、両者に大きな損害が生じるリスクがあることも念頭に置かねばならないでしょう。

EU離脱はドイツにとって大きな経済的損失?:

現在:

はい 18%
いいえ 76%
分からない 6%

2016年6月時点:

はい 34%
いいえ 56%
分からない 10% 

なんというか、ドイツ経済の強さの表れなんでしょうか?

 

ドイツ・トルコ関係

このところ緊張が続いているドイツ・トルコ関係です。改善の兆しは今のところ皆無です。トルコの大統領権限を拡大することに関する国民投票が来週行われる予定ですが、その選挙運動をトルコ国外で行おうとしたことでドイツばかりかオランダともかなりの摩擦を生じさせました。トルコの法律では国外での選挙運動は本当は違法なのだそうですが、まるで当然の権利のように選挙運動関連の催し物をドイツなどで企画し、それが当事国に断られたからと言って『ナチスのやり方と同じ差別』などと罵って物議を醸しました。実際にナチス的なやり口を披露しているのはまさしくエルドアン政権なのですが、自分のことは棚上げにした批判をぶちまけるトルコ大統領および外相には開いた口が塞がらない、としか言いようがありません。トルコがドイツ国籍を持つディー・ヴェルトのトルコ系ジャーナリストをテロリスト・スパイ容疑で逮捕したことで緊張は一層高まっています。

トルコにおける民主主義はエルドアン大統領の下で非常に危険にさらされている?:

はい 93%
いいえ 5%
分からない 2% 

この問いに「いいえ」と答えた人が5%もいたことには驚きです。ドイツ国内に住む多くのエルドアン支持のトルコ人たち以外にも「いいえ」と答えた人がいたことを示しています。

国内のドイツ人・トルコ人の共生が非常に危うくなっている?:

現在:

はい 61%
いいえ 37%
分からない 2%

2016年11月時点:

はい 41%
いいえ 55%
分からない 4% 

心配なのは、ドイツ国内にはエルドアン大統領支持者たちも、そうでないトルコ系労働移民も、「亡命」してきたクルド系トルコ人たちもいるため、彼らの間で争いが勃発することです。国内でのトルコ人対ドイツ人という構図よりずっとあり得る対立構造で、すでに何件もエルドアン大統領支持者たちによる「ギューレン関係者」と見られるグループへ攻撃が起こっています。

難民問題

バルカンルートが閉鎖されて以降、ドイツへの入国者が激減したため、国内の緊張は既に落ち着いていると言えます。現在問題となっているのは、難民認定されなかった人たちの強制送還措置についてと、すでに滞在権を獲得しているもののテロリストの疑いがある者や、テロを扇動しているとみられる者を国外追放するかどうかなどです。
2015年の秋から2016年春までに大量にドイツに入国してきた難民たちの多くがドイツの労働市場に受け入れられており、彼らのせいで失業率が上がると心配されていたことが嘘のように記録的に低い失業率が続いています。 

ドイツはこの多くの難民を処理できると思いますか?:

はい 66%
いいえ 31% 

 

メルケルの難民政策をどう思いますか?:

いい 51%
悪い 45% 

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン」によって実施されました。インタビューは無作為に選ばれた1,384名の選挙権保有者に対して2017年4月4日から6日までの間に電話で行われました。世論調査はドイツ選挙民のサンプリングです。誤差幅は、40%の割合値において±約3%ポイント、10%の割合値においては±約2%ポイントあります。世論調査方法に関する詳細情報は www.forschungsgruppe.de で閲覧できます。

次のポリートバロメーターは2017年4月28日に発表されます。

参照記事:

ZDF heute, Politbarometer - K-Frage: Merkel jetzt wieder vor Schulz, 2017.04.07