徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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Brexitを嫌ってドイツに帰化するイギリス人

2019年01月23日 | 社会

メイ英首相がEUと交渉して合意に達したEU離脱ディールが議会で大差で否認され、しかし、続く不信任決議では解散総選挙を嫌う議員たちのおかげで辛うじて生き延びることになりました。とはいえ、EU離脱の延期や国民投票のやり直しには応じない構えで、今後どうなっていくのか不透明なままです。

こうした状況の中、在独イギリス人たちはどんどんドイツに帰化しています。2017年度は前年比162%増の7493人でした。2018年度の数字はまだありませんが、もしかするともっと増えているかもしれません。

BBCの2018.6.30の記事によると、2017年度はトータル13,141人のイギリス人がEUの他の国の国籍を獲得したとのことで、ドイツ国籍を獲得した7493人がダントツです。それにフランス国籍獲得の1518人、ベルギー国籍獲得の1381人、スウェーデン国籍獲得の1203人が続きます。
2015年度の英国籍離脱者はトータル1826人だったのが、EU離脱の国民投票のあった2016年は5056人に増えて前年比177%増、2017年は前年比160%増。

EU国2014201520162017
オーストリア 6 10 10 24
ベルギー 110 127 506 1381
チェコ 3 2 5 26
デンマーク 21 70 85 164
エストニア 0 0 0 0
フィンランド 13 26 31 147
フランス 279 320 439 1518
ドイツ 496 594 2702 7493
ギリシャ 43 46 31 56
ハンガリー 4 3 11 29
アイルランド 51 54 98 529
ルクセンブルク 63 74 128 366
ポーランド 0 6 5 7
ポルトガル 13 11 20 147
ルーマニア 2 0 1 2
スロバキア 0 2 0 1
スペイン 67 28 44 48
スウェーデン 436 453 940 1203
合計 1607 1826 5056 13141


私の同僚にも在独20年くらいのイギリス人がおり、彼も2017年にドイツに帰化しました。やはり、EU離脱によって不利益を被るのを避けることが帰化の目的だと言っていました。

また、私の元同僚で、イギリス人と結婚して渡英したドイツ人女性がいますが、彼女は逆にイギリスに帰化するのかな、と思ってます。

メイ首相は「ノーディール・ブレグジット」を相変わらず脅迫材料として使っているようですが、期日まであと2か月しかないので、現状のEUとの合意で議会からの承認を得られない以上、離脱の延期を申請する以外はないと思うんですけどね。残りのEU側にしてもノーディールでは実際に困るわけで、だからメルケル独首相は「妥協も必要」と言いだしてます。今後どうなるのか、要注目です。

参照記事:

Statista, Lieber German als Brexit, 16.01.2019

BBC News, Surge in Britons getting another EU nationality, 30.06.2018