徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 十四 壺中の金影』(ビーズログ文庫)

2023年03月15日 | 書評ー小説:作者ア行

『茉莉花官吏伝』の最新刊『壺中の金影』では、茉莉花は大きな仕事もなく首都・宮廷で日常業務をこなしていま。ところが、上司の礼部尚書のくじ運の悪さがもとで、工部の行った運河建設予定地の視察の不備を補うため、再度視察に行くことになります。
情報収集で視察先には『夜に通ると呪われる』という噂のある森があり、これに怯えた官吏のせいで視察が不備になったことが分かります。
運河建設予定地の変更を求めている安州の州牧を訪ねると、「禁色」の御威光もあってやたらと豪華な接待を受けてしまい、その金遣いの荒さに茉莉花は不振を抱きます。
切羽詰まった急ぎの仕事ではないので、官吏として困っている民の手助けをする余裕ができ、任務とは関係のない【骨董品盗難事件】【妓楼のねずみ捜し】【仮母の追い出し計画】 などをついでに受けたりしているうちに、御史台の友人官吏・苑翔景が安州の州牧および州牧補佐たちの不正の有無を調べにやってきたので情報交換・協力することになります。

今回は公的に認められるような大手柄を立てるわけではなく、むしろ、官吏は人助けをする力があるということを茉莉花が再認識する旅という位置づけです。
十三巻で皇帝が禁色を持つ側近に宣言した「商工会を壊す」という案件は、今回は切り口の議論と茉莉花が商工会にちょっとした働きかけをするだけにとどまります。次回はこの蒔いた種が開花する展開なのでしょう。
茉莉花がどのように活躍するのか楽しみなところです。

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