徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ドイツ:世論調査(2016年4月8日)~EU・トルコ間難民協定に7割近くが疑念

2016年04月09日 | 社会

1回分跳んでしまいましたが、ZDFの世論調査ポリートバロメーターが4月8日に発表されましたので、以下に結果をご紹介いたします。

脱税問題

『パナマ文書』が徐々に明らかにされ、脱税に関する議論が盛んになっていますので、この件に関する質問から。

「ドイツでは脱税が広まっている」:

はい 59%
いいえ 37%
分からない 4%

 

「脱税は高所得者の方が多い」:

はい 85%
いいえ 12%
分からない 3%


「脱税防止のために十分な対策がなされている?」:

はい 22%
いいえ  69%
分からない 9% 

 

難民問題

次はお馴染の難民問題です。

「メルケル首相の難民政策をいいと思う」:

はい 55%(前月比+6)
いいえ 40%(-4)
分からない 3%(-2)

メルケル首相の評価は年末年始に「いいと思わない」が「いいと思う」を上回っていましたが、また逆転して支持率が上がっています。

 

「ドイツはたくさんの難民を受け入れることができる」:

はい 56%(前月比+1)
いいえ 40%(-2)

ここでも逆転現象です。2月19日の世論調査では「いいえ」と答えた人が54%で、「はい」と答えた人43%を上回っていました。
バルカンルートが実質上閉鎖され、難民たちは主にギリシャとトルコでやりとりされることとなり、ドイツには1日あたり平均100人くらいしか到達しなくなったので、「大丈夫」感が強まってきたのかも知れません。ただ、受け入れキャパシティーを拡張してしまった後なので、現在ほとんど使われなくなった臨時収容施設にコストだけがかかっているという問題もあるにはあります。


「難民の社会統合のための措置は…」: 

やりすぎ 17%
適切 37%
足りない 38%
分からない 8%


「難民たちは自分たちの社会統合のために努力している?」:

十分 25%
足りない 51%
分からない 24%

この質問は結構答えるのが難しいと私は思います。努力している人たちはすごく努力していますし、してない人は全くしておらず、犯罪に走る場合もあります。どっちを向くかで違う答えが出るような質問です。「分からない」という回答の多さがそれを如実に示しているようです。

 

「難民たちは労働市場に統合できると思いますか?」:

はい 38%
いいえ 58%

「いいえ」と答えた人たちの支持政党ごとの割合:

CDU/CSU 50%
SPD 50% 
左翼政党 67%
緑の党 46%
FDP 62%
AfD 89%

 


「EU・トルコ間難民協定についてどう思いますか?」:

いい 12%(前月比-4)
悪い 69%(+5)
分からない 8%

 

「トルコは信頼できるパートナーだと思いますか?」:

はい 9%
いいえ 82%
分からない 9%

トルコを信頼できないという人の多さに驚きを禁じ得ません。その信頼できないパートナーとの協定だからEU・トルコ間難民協定も7割近くの人がいいと思っていないのでしょう。トルコが信頼できないと思っている人の中にもトルコとの協定が他に比較的短期間で実現可能な選択肢がないために、やむを得ず良しとする人たちが1割くらいいるようです。

 

「EU・トルコ間難民協定によって難民が減ると思いますか?」:

はい 38%
いいえ 58%
分からない 4%

 

経済問題

随分長いことあまりニュースにはなっていませんが、ギリシャ財政問題もまだ健在です。

「ギリシャ債権の新たなヘアカットは?」:

正しい 34%
間違い 62% 

 

「一般的なドイツの景気は?」:

いい 60%(前月比+1)
どちらとも言えない 34%(変化なし)
悪い 5%(-1)


「自分の経済状況は?」:

いい 66% (前月比+1)
どちらとも言えない 28%(-1)
悪い 5%(-1) 

 

ドイツは随分と好景気に沸いているようです。難民関係での特需(プレハブ住宅建設やケータリング業界など)もありますが、それ以外の業界でもおおむね堅調のようです。

 

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.4、初トップ10入り
  2. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.2(前月比変化なし)
  3. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、2.1(+0.2)
  4. アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(変化なし)
  5. マル・ドライアー(ラインラント・プファルツ州首相、SPD)、1.6、初トップ10入り
  6. トーマス・ドメジエール(内相)、1.0(+0.3)
  7. グレゴル・ギジー(左翼政党)、0.8(+0.1)
  8. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.7(-0.1)
  9. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(変化なし)
  10. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.2(-0.1)

初トップ10入りを果たしたバーデン・ヴュルッテンベルク州首相及びラインラント・プファルツ州首相。州議会選挙で勝って、注目を浴びたようです。この二人にはじかれるようにハイコ・マース(法相)とザーラ・ヴァーゲクネヒト(左翼政党)はトップ10落ちしました。

 

連邦議会選挙

「もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか」:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(前月比+1)
SPD(ドイツ社会民主党)  22% (-1)
Grüne(緑の党) 12%(変化なし)
FDP (自由民主党) 7%(+1)
Linke(左翼政党) 7%(-1)
AfD(ドイツのための選択肢) 12%(変化なし) 
その他 4% (変化なし)

 

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先推移:

 
 
政権に対する満足度(スケールは+5から-5まで): 1(前月比+/-0)

因みに2月は0.5でした。、歴代政権の満足度を見ると、現政権は随分高評価です。
 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.261人に対して2016年4月5日から7日に電話で実施されました。

次の世論調査は2016年4月22日ZDFで発表されます。

 

参照記事: ZDFホイテ、2016.04.08の記事「ポリートバロメーター