徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『新装版-膠着-スナマチ株式会社奮闘記』 (中公文庫)

2022年10月25日 | 書評ー小説:作者カ行

『新装版-膠着-スナマチ株式会社奮闘記』は、今野敏の作品としてはかなり異色なのではないでしょうか。刑事も探偵もオカルト的ミステリーも出てこない。接着剤専門会社で新製品開発に失敗して、接着力のない接着剤(それはもう「接着剤」とは言えない)ものができてしまい、これをどうつかえば開発費の回収が可能になるか、引いては株価暴落・乗っ取りを防げるかが課題となります。テーマからすると、まるで池井戸潤の小説と言っても違和感がないような気がします。

主人公は就職難でスナマチしか受からなかったので入社したという新入社員で、彼の視点から、指導役のスーパー営業マンの活躍や、機密のプロジェクト会議の様子、社内の人間関係などが描写されます。
焦点はあくまでも接着力のない接着剤のなりそこないをどうするかということなのですが、接着剤の原理など科学的な説明は大変興味深いものでした。


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