角川春樹事務所2021年7月 第1刷発行2021年8月 第2刷発行291頁町の外れにある古いアパートの屋根裏に暮らしている元オーボエ奏者のサユリ唯一の友だちは、自分の頭の中にいる小さなチェリーほとんど引き籠って暮らしているサユリの生活に舞い込んだ200年前に川を遡ってきたクジラの骨が見つかったというニュースそれをきっかけに、サユリの生活に新しい風が吹き込んできて気持ちを前に向かせてくれます「流星シ . . . 本文を読む
毎日新聞出版2023年5月 発行上巻 347頁下巻 382頁横道世之介38歳吉祥寺とは呼べない場所に立つ下宿「ドーミー吉祥寺の南」でオーナー・あけみと事実婚状態で暮らしていますカメラマンとして独り立ちしたものの、まだ名前が売れるまでには至っていませんが、仕事が切れることはなく、下宿人たちやあけみ、仕事上の先輩、後輩らと毎日を彼らしく『リラックス』して過ごしているようです間に挟まれるのが前2作の話で . . . 本文を読む
集英社文庫2019年4月 第1刷2020年2月 第11刷解説・松本大介-「色のない夢」398頁警察官を定年退職し、妻・香代子と共に四国遍路の旅に出た神場旅先のテレビで知った愛里菜ちゃん殺害事件は、16年前に自らが捜査にあたりDNA鑑定の結果を決め手に犯人を逮捕した純子ちゃん殺害事件に酷似していました愛里菜ちゃん殺害事件に関して手がかりのない捜査状況に悩む後輩に電話でアドバイスしながら神場は純子ちゃ . . . 本文を読む
小学館2014年 1月 初版第1刷発行206頁1983年~1992年のバブル期を舞台に不動産会社勤務・本木青子の迷いと成長を、彼女の心の支えだった寿司職人や、上司、恋人、友人らとの交流を軸に描きますバブルの恩恵を受けまくってイケイケドンドンだった青子がバブル崩壊と共に体調を崩したこともあり退職、田舎に帰る、という流れは納得いかない部分はありましたけれど、決して彼女は甘ちゃんではありません大袈裟な言 . . . 本文を読む
中央公論新社2017年8月 初版発行2018年4月 12版発行563頁さいたま市山中で発見された白骨死体手がかりは死体の胸の上に両手で大事に包み込むように置かれていた初代菊水月作の名駒のみ4か月が過ぎ、叩き上げの刑事とかつてプロ棋士を志した若手刑事は世紀の一戦が行われようとしている竜昇戦会場に向かっていました名駒の所有者を追いかけて、タイトル戦初挑戦の東大出身、IT業界の寵児で奨励会を卒業せず特例 . . . 本文を読む
中公文庫2022年5月 初版発行〈対談〉沖田修一(映画監督)x高良健吾(俳優) 誰かの人生を明るく照らしながら、世之介の人生は続いていく425頁2019年刊行「続 横道世之介」を改題の上、文庫化続は既読タイトルが違うけれど単行本と同じ表紙カバーという時点で気づくべきでしたが、吉田修一さんが世之介の物語を新聞連載していると聞いていたので、てっきり3作目かと思い込んでしまい…続の再読と相 . . . 本文を読む
ちくまプリマー新書2022年4月 初版第一刷発行143頁ちくまプリマー新書デザイン400冊目記念の書下ろし作200冊目、300冊目に続き400冊目もやはり吉田篤弘さんでした小説家の「ぼく」は、自分の描いた物語の中にある町「月舟町」に赴き、おなじみの登場人物たちと語り合う主題は「物語とはなんだろう」対話で深まる、ひと味違う物語論吉田篤弘さんの宝物を教えていただいた感じでほどよい緊張感と抜け感が良いで . . . 本文を読む
河出書房新社2022年9月 初版発行48頁学校帰り、ひとりぼっちで川の水を見ていたぼくそこでぼくは雪柄のセーターのおじさんに不思議なことを教えてもらいます盗みの疑いをかけられたり、苛められたり、毎日が辛いぼくは、この川に飛び込んだらどうなるだろう…と考えながら川を見ていたのですそんな少年を見かねて声をかけたのはホームレスと思われる男性でしたやがて年月が過ぎ橋は新しく架け替えられ、二度 . . . 本文を読む
幻冬舎2002年2月 第1刷発行2002年7月 第4刷発行282頁第15回山本周五郎賞受賞作表面的な人間関係で満足しながら都内のマンションで共同生活を送る若者たちの日々を描きます杉本良介、21歳、H大学経済学部3年、下北沢のメキシコ料理店でバイト中大垣内琴美、23歳、無職、同郷の若手人気俳優と熱愛中相馬未来、24歳、イラストレーター兼雑貨屋店長、人生を見つめて深酒中小窪サトル、18歳、自称・夜のお . . . 本文を読む
中公文庫2020年12月 初版発行解説・岸本佐知子「秘密の蛇口とバス運転手」146頁吉田篤弘さんの忘れがたい本をめぐる断章と、甦る少年時代何度でも、どのページからでも読み返したくなる澄んだスープのような16の随想吉田さんが子供時代を過ごした世田谷の思い出をスケッチした回想集合間合間に語られる本との関り今は存在しない景色が、ありありと目の前に見えてきます60年~70年代、庶民の暮らした世田谷史的な価 . . . 本文を読む
新潮文庫2021年12月 発行543頁西島秀俊さん主演のテレビドラマ(2020年NHK)が良かったので読んでみました建築士・青瀬稔の最高傑作、信濃追分に建つY邸人づてに誰も住んでいないようだと聞いた青瀬はY邸を訪れます引き渡し以降、一度も人が住んだ形跡がないことに衝撃を受ける青瀬家の中にあるのは電話機とブルーノ・タウトの椅子が一脚のみ消息を絶った施主、吉野の痕跡を追う青瀬の姿を描きます青瀬の幼い頃 . . . 本文を読む
ハルキ文庫2021年7月 第1刷発行301頁「いま、ここにいない人やモノの声を聴く」都会のへりの崖下の町鯨塚があるその町で、僕は〈流星新聞〉を発行しているアルフレッドの手伝いをしています深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君『ねむりうた』の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナさんメアリー・ポピンズをこよなく愛するミユキさん個性的で魅力的な住人が織りなす静か . . . 本文を読む
文春文庫2020年3月 第1刷228頁日常と非日常の裂目へと誘う、おかしくて哀しい、奇妙で美しい短編集「ガリヴァーの帽子」「イヤリング」「ものすごく手のふるえるギャルソンの話」「かくかく、しかじか――あるいは、彗星を見るということ」「ゴセンシ」「御両人、鰻川下り」「名前のないトースターの話のつづき」「孔雀パイ」読みやすかったのは「イヤリング」「名前のないトースター~」読みにくかったのは「ガリヴァー . . . 本文を読む
文春文庫2007年12月 第1刷2018年7月 第2刷180頁写真・前康輔「春、バーニーズで」「パパが電車をおりるころ」「夫婦の悪戯」「パーキングエリア」「楽園」妻と妻の母親、4歳になる妻の連れ子と暮らす30代のサラリーマン・筒井の日常を描きます筒井は「最後の息子」の主人公のその後とのことバーニーズへ妻と息子と買い物に行った折、10年以上前、食べさせてもらっていた閻魔ちゃんにばったり出くわします思 . . . 本文を読む
角川文庫2011年12月 初版発行2020年11月 再版発行解説・縄田一男上巻 364頁下巻 365頁天保6年(1835年)76年に一度現れるほうき星が辰巳の空に輝く夜江戸・深川に暮らす気鋭の絵師・黄泉と日本橋鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に生まれたさち深川に隠居所を構えた祖母・こよりも加わり、家族の愛情をいっぱいに受け、下町の人情に包まれてのびのびと育つさちを両親の突然の死、そして両親亡き後慈しん . . . 本文を読む