読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

柚木麻子「その手をにぎりたい」

2023年02月17日 | や・ら・わ行の作家
小学館2014年 1月 初版第1刷発行206頁1983年~1992年のバブル期を舞台に不動産会社勤務・本木青子の迷いと成長を、彼女の心の支えだった寿司職人や、上司、恋人、友人らとの交流を軸に描きますバブルの恩恵を受けまくってイケイケドンドンだった青子がバブル崩壊と共に体調を崩したこともあり退職、田舎に帰る、という流れは納得いかない部分はありましたけれど、決して彼女は甘ちゃんではありません大袈裟な言 . . . 本文を読む
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柚月裕子「盤上の向日葵」

2023年02月09日 | や・ら・わ行の作家
中央公論新社2017年8月 初版発行2018年4月 12版発行563頁さいたま市山中で発見された白骨死体手がかりは死体の胸の上に両手で大事に包み込むように置かれていた初代菊水月作の名駒のみ4か月が過ぎ、叩き上げの刑事とかつてプロ棋士を志した若手刑事は世紀の一戦が行われようとしている竜昇戦会場に向かっていました名駒の所有者を追いかけて、タイトル戦初挑戦の東大出身、IT業界の寵児で奨励会を卒業せず特例 . . . 本文を読む
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吉田修一「おかえり 横道世之介」

2023年01月06日 | や・ら・わ行の作家
中公文庫2022年5月 初版発行〈対談〉沖田修一(映画監督)x高良健吾(俳優) 誰かの人生を明るく照らしながら、世之介の人生は続いていく425頁2019年刊行「続 横道世之介」を改題の上、文庫化続は既読タイトルが違うけれど単行本と同じ表紙カバーという時点で気づくべきでしたが、吉田修一さんが世之介の物語を新聞連載していると聞いていたので、てっきり3作目かと思い込んでしまい…続の再読と相 . . . 本文を読む
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吉田篤弘「物語のあるところ 月舟町ダイアローグ」

2022年12月06日 | や・ら・わ行の作家
ちくまプリマー新書2022年4月 初版第一刷発行143頁ちくまプリマー新書デザイン400冊目記念の書下ろし作200冊目、300冊目に続き400冊目もやはり吉田篤弘さんでした小説家の「ぼく」は、自分の描いた物語の中にある町「月舟町」に赴き、おなじみの登場人物たちと語り合う主題は「物語とはなんだろう」対話で深まる、ひと味違う物語論吉田篤弘さんの宝物を教えていただいた感じでほどよい緊張感と抜け感が良いで . . . 本文を読む
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湯本香樹実・文 酒井駒子・絵「橋の上で」

2022年11月21日 | や・ら・わ行の作家
河出書房新社2022年9月 初版発行48頁学校帰り、ひとりぼっちで川の水を見ていたぼくそこでぼくは雪柄のセーターのおじさんに不思議なことを教えてもらいます盗みの疑いをかけられたり、苛められたり、毎日が辛いぼくは、この川に飛び込んだらどうなるだろう…と考えながら川を見ていたのですそんな少年を見かねて声をかけたのはホームレスと思われる男性でしたやがて年月が過ぎ橋は新しく架け替えられ、二度 . . . 本文を読む
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吉田修一「パレード」

2022年11月19日 | や・ら・わ行の作家
幻冬舎2002年2月 第1刷発行2002年7月 第4刷発行282頁第15回山本周五郎賞受賞作表面的な人間関係で満足しながら都内のマンションで共同生活を送る若者たちの日々を描きます杉本良介、21歳、H大学経済学部3年、下北沢のメキシコ料理店でバイト中大垣内琴美、23歳、無職、同郷の若手人気俳優と熱愛中相馬未来、24歳、イラストレーター兼雑貨屋店長、人生を見つめて深酒中小窪サトル、18歳、自称・夜のお . . . 本文を読む
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吉田篤弘「金曜日の本」

2022年10月21日 | や・ら・わ行の作家
中公文庫2020年12月 初版発行解説・岸本佐知子「秘密の蛇口とバス運転手」146頁吉田篤弘さんの忘れがたい本をめぐる断章と、甦る少年時代何度でも、どのページからでも読み返したくなる澄んだスープのような16の随想吉田さんが子供時代を過ごした世田谷の思い出をスケッチした回想集合間合間に語られる本との関り今は存在しない景色が、ありありと目の前に見えてきます60年~70年代、庶民の暮らした世田谷史的な価 . . . 本文を読む
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横山秀夫「ノースライト」

2022年06月16日 | や・ら・わ行の作家
新潮文庫2021年12月 発行543頁西島秀俊さん主演のテレビドラマ(2020年NHK)が良かったので読んでみました建築士・青瀬稔の最高傑作、信濃追分に建つY邸人づてに誰も住んでいないようだと聞いた青瀬はY邸を訪れます引き渡し以降、一度も人が住んだ形跡がないことに衝撃を受ける青瀬家の中にあるのは電話機とブルーノ・タウトの椅子が一脚のみ消息を絶った施主、吉野の痕跡を追う青瀬の姿を描きます青瀬の幼い頃 . . . 本文を読む
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吉田篤弘「流星シネマ」

2022年05月17日 | や・ら・わ行の作家
ハルキ文庫2021年7月 第1刷発行301頁「いま、ここにいない人やモノの声を聴く」都会のへりの崖下の町鯨塚があるその町で、僕は〈流星新聞〉を発行しているアルフレッドの手伝いをしています深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君『ねむりうた』の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナさんメアリー・ポピンズをこよなく愛するミユキさん個性的で魅力的な住人が織りなす静か . . . 本文を読む
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吉田篤弘「ガリヴァーの帽子」

2021年10月05日 | や・ら・わ行の作家
文春文庫2020年3月 第1刷228頁日常と非日常の裂目へと誘う、おかしくて哀しい、奇妙で美しい短編集「ガリヴァーの帽子」「イヤリング」「ものすごく手のふるえるギャルソンの話」「かくかく、しかじか――あるいは、彗星を見るということ」「ゴセンシ」「御両人、鰻川下り」「名前のないトースターの話のつづき」「孔雀パイ」読みやすかったのは「イヤリング」「名前のないトースター~」読みにくかったのは「ガリヴァー . . . 本文を読む
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吉田修一「春、バーニーズで」

2021年07月19日 | や・ら・わ行の作家
文春文庫2007年12月 第1刷2018年7月 第2刷180頁写真・前康輔「春、バーニーズで」「パパが電車をおりるころ」「夫婦の悪戯」「パーキングエリア」「楽園」妻と妻の母親、4歳になる妻の連れ子と暮らす30代のサラリーマン・筒井の日常を描きます筒井は「最後の息子」の主人公のその後とのことバーニーズへ妻と息子と買い物に行った折、10年以上前、食べさせてもらっていた閻魔ちゃんにばったり出くわします思 . . . 本文を読む
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山本一力「ほうき星」

2021年07月11日 | や・ら・わ行の作家
角川文庫2011年12月 初版発行2020年11月 再版発行解説・縄田一男上巻 364頁下巻 365頁天保6年(1835年)76年に一度現れるほうき星が辰巳の空に輝く夜江戸・深川に暮らす気鋭の絵師・黄泉と日本橋鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に生まれたさち深川に隠居所を構えた祖母・こよりも加わり、家族の愛情をいっぱいに受け、下町の人情に包まれてのびのびと育つさちを両親の突然の死、そして両親亡き後慈しん . . . 本文を読む
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吉川トリコ「こんな大人になるなんて」

2021年05月14日 | や・ら・わ行の作家
徳間文庫2016年4月 初刷解説・豊島ミホ276頁「1996年のヒッピー」「冷やし中華にマヨネーズ」「寄生妹」「夏の草」「ポルノ姫」「ずくもない」「だれかの奥さん」あのころ思い描いていた未来に立っていない、ぜんぜん立っていない!いつのまにか遠くまできてしまった、私たちのための作品集愛知県出身、名古屋市在住のトリコさん舞台は、愛知、名古屋、東京でちらちら名古屋弁が出てくるのはいつものこと絶対忘れない . . . 本文を読む
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吉田修一「熱帯魚」

2021年04月27日 | や・ら・わ行の作家
文春文庫2003年6月 第1刷2018年2月 第8刷248頁「熱帯魚」「グリンピース」「突風」主人公は何れもどこにでもいるような不器用で弱い部分を持つ男たち裏表紙の内容紹介に『とびっきりクールな青春小説』とありますが、クールというより『カッコ悪い現実』ではないかと思いましたそれぞれ味わいはあるものの違和感を感じる主人公たちにも他の登場人物にも少しも共感できる部分がなく、あまり面白く読めませんでした . . . 本文を読む
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吉田篤弘「水晶萬年筆」

2021年04月22日 | や・ら・わ行の作家
中公文庫2010年7月 初版発行179頁アルファベットのSと〈水読み〉に導かれ、物語を探す物書き影を描く画家繫茂する道草に迷い込んだ師匠と助手月夜に種蒔く人買えないものを売るアシャもう何も欲しくない隠居のルパン人々がすれ違う十字路で物語が始まるふわふわとつかみどころのない物語自分の生活の中でも少し見方を変えればこんな世界が広がっているのかも想像しながら楽しく読みました毎回、吉田さん読後は、遠くを眺 . . . 本文を読む
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