みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0340「正直者」

2018-10-06 18:40:04 | ブログ短編

「お前、また振(ふ)られたんだってな。これで何回目だ?」
「えーっと、二十回目までは数えていたんですが…」
「今回も、あれだろ? 初対面(しょたいめん)の女に、好きだって、迫(せま)ったんだろ」
「いや、迫ったつもりはないんですが、僕(ぼく)の本当(ほんとう)の気持(きも)ちを分かってもらおうと…」
「あのな、そんなんじゃ誰(だれ)だって逃(に)げ出すぞ。全然(ぜんぜん)知らない男からそんなこと言われて、ホイホイついてく女なんかいないんだから。少しは学習(がくしゅう)しろよ」
「しかしですね、僕は、やっぱり、ここはきちんと――」
「お前は、バカか? そんなの別(べつ)にいいんだよ。見栄(みえ)はろうが、多少嘘(うそ)ついたって、女を口説(くど)くには必要(ひつよう)なことなんだから。女のほうだって同じさ」
 男は目の前を歩(ある)く女性を見て、「ほら、あの女、けっこう美人(びじん)じゃないか。どうだ?」
「えっ? どうだって?」
「だから、好きにならないか? 俺(おれ)だったら、ナンパしちゃうけどなぁ」
「はあ、そうですか? いや…、僕は、別に…」
「何でだよ。お前の美的(びてき)センスはどうなってんだ? 今の、めちゃくちゃ可愛(かわい)かったじゃないか。じゃあ、一応(いちおう)訊(き)くけどさ、お前が好きになる女って、どういうタイプなんだ?」
<つぶやき>好きになる基準(きじゅん)は、みんなバラバラなのかもね。そうでないと不公平(ふこうへい)です。
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