みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0364「妖怪雨ふらし」

2018-10-30 18:13:13 | ブログ短編

 それはおばあちゃんちへ泊(と)まることになった日のことです。私たち姉弟(きょうだい)は二人だけでお留守番(るすばん)をすることになりました。その日は夕方(ゆうがた)から雨が降(ふ)り出して、夜になっても雨は止(や)みそうもありませんでした。
 私たちは居間(いま)でテレビを見ていました。その時です。どこからかポタッポタッと音(おと)がします。おばあちゃんちは古い家なので、照明(しょうめい)も薄暗(うすぐら)く、私たちは顔を見合(みあ)わせましたが、確(たし)かめに行く勇気(ゆうき)はありません。私はテレビのボリュームを上げました。
 しばらくして、またポタッポタッと…。それが、こっちへ近づいて来るような、だんだん音が大きくなっていました。その時、隣(となり)にいた弟(おとうと)がワーッと叫(さけ)び声を上げました。私が振り返ると、ちょうど弟が座っていた真上(まうえ)の天井(てんじょう)から水がぽたぽたと落ちています。私はとっさに部屋にあったゴミ箱(ばこ)を下に置(お)きました。水は始めはぽたぽたでしたが、ゴミ箱を受(う)けたとたんに、バチャ、バチャ、ジャーッと勢(いきお)いよく落ちてきます。
 私たちは怖(こわ)くなって…。弟が私にしがみついてきました。私は、雨漏(あまも)りかと思いましたが、そうじゃないと思い直(なお)しました。だってこの家は二階建てで、上には別の部屋が…。
 私たちはおばあちゃんに起(お)こされて目を覚(さ)ましました。水が落ちた跡(あと)はどこにもありませんでした。おばあちゃんにそのことを話すと、また出たのかいって…。それ以後(いご)、同じ体験(たいけん)をすることはありませんでした。でも、今でもその時の記憶(きおく)が鮮明(せんめい)に残(のこ)っています。
<つぶやき>身近にはいろんな妖怪(ようかい)たちが存在(そんざい)します。子供たちと遊(あそ)びたかったのかもね。
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