【ワシントン=池田晋】米政府監査院(GAO)は7日、日本を中心とする海外基地に配備されている米海軍の艦艇で重大事故が相次いでいることを受け、調査報告書を公表しました。在日米軍基地に配備の巡洋艦・駆逐艦の乗員のうち、約4割の戦闘訓練修了証が訓練期間の不足などにより失効していると指摘。運用の安全性に懸念を示しています。
海外配備の大半は横須賀・佐世保に
GAO幹部が同日、米下院小委員会の公聴会で証言しました。
米海軍では今年に入ってすでに4件の重大事故が発生し、17人の乗員が死亡。そのうち3件は、イージス駆逐艦「フィッツジェラルド」の伊豆半島沖での商船衝突(6月)、同「ジョン・S・マケイン」のマラッカ海峡東方での商船衝突(8月)など、いずれも横須賀基地(神奈川県)配備の米艦が起こしています。
報告書によると、2017年6月現在で、船舶操作技術を含む戦闘訓練修了証の37%が期限切れの状態で、15年5月のGAOによる調査時から5倍以上に比率が跳ね上がっているとしています。
また、報告書は、これまで指摘してきた乗員削減の問題が十分改善されておらず、一部の乗員の週100時間以上の過重労働につながっていると指摘。艦艇の維持整備も長期化する傾向にあり、のべ6603日分(11~16会計年度)の運用可能期間の損失が生じているとしています。
GAOの集計では、米海軍の保有艦艇は現在277隻で、海外基地への配備は40隻。その大半は横須賀、佐世保(長崎県)の両基地に配備されています。