内閣府の再就職等監視委員会は20日、文部科学省の事務方トップの前川喜平事務次官(62)をはじめ同省が組織的に幹部の天下り(再就職)を違法にあっせんしていたと認定する調査報告を発表しました。文科省は前川次官ら7人を減給や停職処分とし、前川氏は同日付で依願退職。松野博一文科相は、大臣給与6カ月分の全額返納を表明しました。
安倍政権は2007年の国家公務員法改定で、天下りを原則自由化する一方、省庁によるあっせん行為や在職中の求職活動などを規制しました。しかし、今回の事件で抜け穴だらけの実態が浮かび上がっており、安倍政権の責任が厳しく問われる問題となりました。
監視委の報告書では元高等教育局長の吉田大輔早稲田大教授(61)が在職中に人事課のあっせんで自身の履歴書を大学に送り、採用面談を行わせていたほか、前川氏が審議官当時の15、16年にOBの再就職情報を違法に提供していたなど10件について国家公務員法違反にあたると認定しました。このほかにも多数の違法行為が疑われるとして、文科省に全容調査を求めています。
松野大臣は記者会見で「再就職規制の理解が不十分で、関連法令順守の意識が不足していた」と述べましたが、監視委の報告書では、OB職員が介在して脱法的に再就職あっせんを行う仕組みがつくられ、文科省が監視委の調査に虚偽報告をし、組織的な隠ぺい工作をしていたことも明らかになっており、無責任な言い逃れは許されない事態となっています。