支持率急落のもと安倍晋三首相が行った内閣改造から3日で1カ月。首相は改造内閣発足で「深く反省しおわびする」「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」(8月3日の会見)と口にしたものの、国会は開かず疑惑の説明もなし。北朝鮮問題では、国際社会が求めている対話を否定し圧力だけを迫るなど、まったく逆の姿勢をとっています。
臨時国会開かず
「各閣僚は全力で仕事をしている」。菅義偉官房長官は改造1カ月にあたってこう自負しました。しかし、初入閣の江崎鉄磨沖縄・北方担当相が「(国会で)役所の答弁書を朗読する」と発言し閣僚の資格が問われたのに続き、麻生太郎副総理兼財務相はナチス・ドイツの独裁者ヒトラーを引き合いに「いくら動機が正しくてもだめだ」と発言し国際的批判がおきる事態に。安倍政権の倫理喪失ぶりは一段と深刻です。
首相は、憲法53条に基づき日本共産党など4野党が6月末に行った臨時国会の召集要求を2カ月半も放置しています。与党は9月末まで臨時国会を開かない方針を決めました。
4野党の召集理由は「国会が国民の負託に応え、疑惑の真相解明に取り組む」(要求書)というもので、法案審議ではありません。政府の意思さえあればただちに召集できる要求に応えず、首相を先頭に憲法違反を続ける異常事態です。
疑惑の説明なし
首相が「反省」の弁で列挙した「加計学園」・「森友学園」疑惑、陸上自衛隊の「日報」隠蔽(いんぺい)問題をめぐって7月以降、衆参委員会で3回の閉会中審査が行われましたが、首相出席は1回だけ。野党が求めている首相夫人の昭恵氏と加計孝太郎理事長の証人喚問、稲田朋美元防衛相の参考人招致を与党は拒否。菅官房長官も記者会見で質問されて「ここは質問に答える場じゃない」(8月8日)と説明そのものを拒んでいます。
「加計」疑惑では、国家戦略特区ワーキンググループの「議事要旨」に、加計学園側の出席や発言が記載されていなかった新たな「加計隠し」疑惑が浮上。「質問に答え、疑惑を解くことをやらない限り、この問題は逆にどんどん大きくなっていく」(田中秀征・福山大学客員教授、8月27日のTBS番組)と政府・与党の姿勢に批判があがっています。
この間の国会の主な動き
6月15日 「森友学園・加計学園」疑惑、陸上自衛隊の「日報」隠ぺい問題の幕引きをはかりながら、政府・与党が「共謀罪」法を強行採決。
22日 4野党が臨時国会召集の要求書を衆参両院に提出
7月10日 ●「加計」疑惑などを中心に衆参両院で文科・内閣連合審査会の閉会中審査。前川喜平前文科次官は出席、安倍首相は出席せず
24~ ●安倍首相出席で衆参予算
25日 委員会の閉会中審査
28日 稲田朋美防衛相が辞任
8月 3日 内閣改造
10日 ●衆院安保、参院外交防衛両委員会で閉会中審査。安倍首相、稲田元防衛相は出席せず
29日 北朝鮮がミサイル発射
30日 ●北朝鮮問題で衆院安保、参院外防両委で閉会中審査