トランプ米大統領と訪米中の文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は6月30日、ホワイトハウスで首脳会談を開き、共同声明を発表し、米韓同盟の公約と米国による拡大抑止力強化を明記した上で、「正しい条件下で」対話の門戸が開かれていることを強調しました
声明では、両首脳は、北朝鮮が挑発的行為をやめ、話し合いに復帰するための圧力として、「既存の制裁を忠実に履行しつつ、新たな措置を施行する」と主張。国連各国に安保理決議の義務の履行を求めるとともに、北朝鮮への外交的・経済的圧力の建設的役割を評価しました。
さらに制裁が外交手段であることに注目し、非核化の対話に必要な条件をつくりだすため、両国共同の政策を調整することを確認しています。
同日行われた共同会見でトランプ氏は、「米国と韓国の同盟関係は、世界のなかで非常に危険な地域における平和と安全保障での礎石」「われわれはともに、無謀で残忍な北朝鮮の政権の脅威に直面している」と強調。「北朝鮮の政権に対する戦略的忍耐の時代は失敗した、率直に言って忍耐は終わった」と語り、対北朝鮮政策の変更の必要性を改めて示しました。
トランプ氏はその上で、「われわれは韓国、日本、世界におけるパートナーとともに、外交、安全保障、経済的な手段で、北朝鮮の脅威から同盟国と米国民を守るために緊密に取り組んでいる」と語りました。
文大統領は、「トランプ大統領と私は、この(北朝鮮の核・ミサイル開発)問題に取り組むことを最優先課題とし、関連する政策で緊密に連携することを決めた」「両国首脳は、目的に向かい、制裁と対話の段階的・包括的なアプローチを用いる」と述べ、制裁を続けながら外交による解決の追求を表明。年内の韓国訪問をトランプ氏に要請し、米国側は受諾しました。
“敵視政策は推進せず”
― 北朝鮮問題 韓国大統領が講演
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6月30日、ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、「私とトランプ米大統領は、北朝鮮の敵視政策を推進していない」とし、「私たちは攻撃する意図がなく、北朝鮮政権の交代や崩壊を望んでもいない」と語りました。
文氏は、トランプ大統領との一連の会談で、深みのある会話をしたと明かし、「私たちは、より積極的に平和を守り、つくっていくことにした」と述べるとともに、北朝鮮に対し、「非核化こそ安保と経済の発展が保障される唯一の道だ。北朝鮮が正しい選択をするならば、朝鮮半島の平和と繁栄の道を一緒に歩いていく準備ができている」と呼び掛けました。
またトランプ氏が、外交で北朝鮮の核・ミサイル問題を最優先の課題としていることに「こうした姿勢が、解決の可能性を高めている」と評価。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長については、「核計画の放棄を決断できる唯一の人物」と指摘し、「金氏との対話が必要だ」と強調しました。
文政権への配備報告がされずに中断している、在韓米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備については、これまでの韓米政府の決定を尊重すると表明。現在、民主的な手続きが踏まれたかどうかなどが国内で議論されているとし、「正当な法的手続きを守ろうとする韓国政府の努力が、韓米同盟の発展にも寄与する」と語り、理解を求めました。