中米・カリブ海の諸国は、トランプ米政権がメキシコとの国境に壁をつくると表明し、特定の宗教や移民を敵視していることを批判し、地域で結束して排外主義とたたかう構えです。同地域の25カ国で構成するカリブ諸国連合(AEC)が10日、キューバの首都ハバナで開いた外相級会合で方針を確認しました。
AEC加盟国の多くは米国の重要な貿易相手国です。現地からの報道によると、会議ではトランプ大統領の名指しは避けつつも、同政権の政策を非難する発言が相次ぎました。
カリブ海の島国セントルシア出身のジューン・スーマーAEC事務総長は、トランプ政権に対するAECの態度の原則として、「われわれは他の国が指図することに、諦めて従うようなことはしない」と語り、米国に対して自主的な立場を貫く姿勢を強調しました。
キューバのロドリゲス外相は米国を念頭に、「移民受け入れ国が発表した排外的で抑圧的な移民政策は、われわれにとって重大な問題だ。建設の意図が表明された壁に対するわれわれの対応は、諸国民の合法的な利益を守る団結、連帯、協力であり続ける」と述べました。
メキシコのビデガライ外相は会合の合間にグアテマラやコロンビアなどの外相と個別に会談。ビデガライ氏は記者団に「メキシコは主権国家だ。強い国であり、中南米カリブ海諸国、友人であるキューバ国民からの支持によってさらに強くなっている」と語りました。
今回の会合でAECの議長国になったベネズエラのロドリゲス外相は「壁はメキシコ国民だけでなく、中南米カリブ海諸国全体に向けられたものだ」と批判。今後、観光業の発展や気候変動対策をはじめ、域内諸国の協力と結束を強めることを呼び掛けました。