参院予算委員会は13日、中央公聴会を開き、「外交・安全保障」「社会保障」「経済・財政」の3テーマで各分野の専門家が公述しました。安倍政権がすすめる集団的自衛権行使の容認に向けた解釈改憲や社会保障制度改悪などについて懸念が出されました。
集団的自衛権の行使について、阪田雅裕・元内閣法制局長官が「自衛隊の発足当初から、海外での武力行使はできないと申し上げてきた」と歴代内閣の立場を説明。憲法9条をどう読んでも行使できないと指摘しました。
阪田氏は、国連憲章が戦争を基本的に禁止するもとで、米国などは集団的自衛権を理由に戦争してきたと指摘。憲法の平和主義の特徴は集団的自衛権の行使を認めない点にあると解説し、「行使を認めれば、自衛隊は専守防衛ではなく普通の軍隊になる。米、英、ロなどと同じ国になる」と述べました。政府の社会保障制度改革国民会議介護保険部会の委員でもある、結城康博淑徳大教授は、介護保険法改定案について「要支援2の地域支援事業への移行はやりすぎだ。残念で責任を感じる」と語りました。
経済問題について原田泰・早稲田大学教授が「公共事業の増加は、建設資材の高騰や人手不足につながり、震災復興の妨げになる」と述べ、安倍政権が「第2の矢」として推進する大型事業中心の政策に疑問を呈しました。
9条削除と同義 公述人らが指摘
参院予算委員会が13日に開いた中央公聴会で、日本共産党から小池晃、井上哲士、辰巳孝太郎各議員が質疑にたちました。
「外交・安全保障」のテーマでは井上氏が、集団的自衛権の行使によって日本がベトナム戦争のような戦闘に参加することが可能になるのかを問いました。公述人の西修駒沢大学名誉教授は「結果的にそうならざるをえない」、阪田雅裕元内閣法制局長官も「可能だ」といずれも肯定しました。阪田氏は「集団的自衛権の行使をできるようにするのは、(憲法)9条を削除するのと同義だ。大きな国の形の変換だ」と指摘しました。