世界銀行は18日、国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)が開かれているワルシャワで、異常気象による経済損失が過去10年間に毎年約2000億ドル(約20兆円)に上っており、気候変動の深刻化で今後も損失規模は拡大すると警告する報告書を発表しました。
世銀の持続可能な開発総局(SDN)のカイト副総裁は「過去30年間に世界は自然災害で250万人以上の人命と約4兆ドルを失った。経済的損失は1980年代の年500億ドルから12年の2000億ドル弱に拡大し、このうち4分の3が異常気象によるものだ」と指摘しました。
またジム・ヨン・キム世銀総裁は、フィリピンを襲った台風30号に言及し、「こうした悲劇的な事件が示しているのは、世界はこれ以上、温室効果ガス排出の速度を遅らせることや、より大きな気候災害リスクに直面する国々への支援を先延ばしする余裕はないということだ」と強調しました。
世銀は、激しさを増す洪水や干ばつ、嵐によって生命と暮らしが脅かされているのは途上国の国民だと指摘しています。
今週末に閉幕予定のCOP19では、気温上昇を産業革命前の2度以下に抑えるという国際合意を視野に、20年までの温室効果ガス排出削減目標の引き上げと、新たな国際ルール作成に向けた論議が行われています。