さいたま市が「公民館だより」への作品掲載について「集団的自衛権など、賛否の分かれる問題を扱った作品は月報などに掲載できない」との方針を主要な公民館に伝えようとしていることが、12日までにわかりました。
同市では大宮区の三橋公民館が、「憲法9条守れ」と訴えるデモ行進を詠んだ俳句を「公民館だより」に掲載しなかったことが問題になっています。
市によると、16日に市内の拠点公民館長を集めて開かれる会議で「月報などに作品を掲載する場合は、公平で中立なものを掲載する」との方針を改めて確認するといいます 掲載されなかった俳句は、同公民館の俳句サークルの会員が詠んだもの。この問題で、日本共産党市議団や新日本婦人の会、市民らが抗議していました。
日本共産党の加川義光市議は「公民館の運営方針を定めた社会教育法23条は、市民の活動を縛るものではなく、公民館自らを戒めるもの。市は俳句の作者に謝罪して次号の『公民館だより』に掲載し、市民の表現の自由を保障すべきです」と話しています。
( もうひとつ、憲法を守るのが義務の公務員(憲法99条)が、「九条守れ」を敵視することの矛盾を、どう解明できるのか)
日本共産党さいたま市議団による申し入れ
大宮区の三橋公民館が、同公民館を利用する俳句教室が選んだ今月の一句「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ」を、「世論が大きく二つに分かれる問題で、一方の意見だけ載せられない」として公民館だより7月号へ掲載しなかった問題は、憲法が保障する表現の自由を侵害するものであり、党市議団として厳重に抗議いたします。
作者らによると、掲載作品は俳句教室の会員約20名が詠んだ句の中から、互選で一句選ぶ方式です。「梅雨空-」は6月の選考会で選ばれ7月号に掲載予定でしたが、公民館側が俳句欄を削除し掲載されませんでした。
市は「掲載すると公民館や市の考え方だと誤解される可能性があった」と答えておりますが、それならば市の考えではない旨を記載するか、俳句教室が選んだ俳句である旨を記載して、掲載するべきではないでしょうか。
識者からも「社会教育法第23条は住民の活動を縛るものではなく公民館自らを戒める法文。本来であれば憲法9条を守る側、改正をのぞむ側両面の立場を完全に保障しなければならない」「社会教育行政は(略)特に政治学習や平和学習などでは多様な意見を表明し、交流する自由を保障する責務がある」などと指摘されています。以上のことから、以下の点について申し入れます。
記
1. 市として、当該俳句の作者に対して、公民館だよりへの不掲載を謝罪し、次号の「公民館だより」にこの俳句を掲載すること。
2. 本来、公務員は憲法を遵守すべき立場であり、市民の自由な表現活動を縛るものではない。二度とこのようなことがないよう、改善策をとること。