国が沖縄県から許可を得ないまま名護市辺野古の新基地建設工事に伴う岩礁破砕行為を行うのは違法だとして、県が工事の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、那覇地裁(森鍵一裁判長)で開かれました。
これに先立ち、裁判支援集会が地裁前で開かれ、翁長雄志知事や衆院沖縄1区~4区までの「オール沖縄」代表の候補らが勢ぞろい。10月にもかかわらず30度を超える炎天下、結集した350人の参加者は、総選挙と裁判の二つのたたかいでの勝利を誓い合いました。
稲嶺進・名護市長は「差し止め訴訟で勝利して新基地をあきらめさせよう。4人全員勝利で3年前に示した『オール沖縄』の力をもう一度、日米両政府に見せつけよう」と力説。1区の、あかみね政賢候補(日本共産党)は「安倍内閣は違法・無法に工事を進めている。県民が立ち上がり再び民意を強く示し安倍内閣を退陣させよう」と訴えました。
2区のテルヤ寛徳候補(社民党)は「県内で最も米軍基地が集中する選挙区で辺野古新基地に反対していく」と強調。3区の玉城デニー候補(無所属)は「私たちは決して屈しない。知事を支え、ぶれない信念で取り組もう」と力説しました。
4区のナカザト利信候補(同)は「きょうは忘れもしない『10・10空襲』の日。防空壕(ごう)に隠れて那覇が燃えるのを直接みた。戦争体験者として当選し、平和な沖縄をつくる」と決意を込めました。
「自治体の自立性脅かす」
翁長知事が意見陳述
翁長知事は集会後、ただちに出廷して意見陳述しました。
知事は、岩礁破砕行為には県の許可が必要という従来の漁業関係法令の運用に関する見解を安倍政権が一方的にねじまげ、「地元漁協が漁業権を放棄したから県の許可は不要」として無許可で護岸工事などを強行していることについて、「このようなやり方は法治国家のあり方からはほど遠い」と厳しく批判。「地方自治体の事務について、国の都合のよい関与を行うことになりかねない。沖縄県だけでなく、全ての自治体の自主性・自立性が脅かされる重大問題だ」と指摘しました。
その上で、「多くの県民の負託を受けた知事として、辺野古に新基地を造ることは絶対に許すことはできない」と強く訴えました。
最後に、「守るべきルールは当然守る、ただ、その当然のことを判示していただきたい」と求めました。
一方、国側は(1)今回の事例は争訟の対象ではない(2)県には差し止め請求権がない―と主張するにとどまり、岩礁破砕許可に関する解釈変更については何も釈明しませんでした。