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きょうの潮流

2017-10-07 | コラム

イギリス流の気の利いたジョークを口にしながら、ユーモアとも悪夢ともつかない、独特の世界に読者を引き込む。翻訳家の柴田元幸さんが、初めてカズオ・イシグロさんにインタビューしたときの印象です▼「自分が何者なのかを発見し、感情や芸術に関して自分には何が大切なのかを知り、それを表現できるような書き方を見つける」。イシグロさんはインタビューの中で、今の自分の声をつねに見つけなければいけないと話しています▼生まれ故郷の日本を舞台に原爆や戦争の影が覆う「遠い山なみの光」や「浮世の画家」。英国の伝統を描いた「日の名残り」は、貴族に仕えた執事の人生をつづりました。映画やドラマにもなった「わたしを離さないで」は、臓器を提供するクローン人間を主人公に人間の本質とは何かを▼5歳のときに一家でイギリスに移住したイシグロさんは大学卒業後、ホームレスの人たちを助ける社会団体で働いていました。権力者や強い力に左右される不条理や人間の弱さとともに、薄明を失わない弱者の生き方を描いた著書も多い▼排外主義や国家主義が高まる不安な時代にあっても希望は捨てない。ノーベル文学賞にも「この大きな受賞がたとえささやかな形でも、この時代の善意や平和を後押しする力になることを願っている」と語っています▼「分断の時代だが、私たちには人間として感情を共有できる文学、映画、音楽などの芸術がある」。自分を表す新しい“声”を探し続ける同時代を生きる作家です。(2017.10.7 「赤旗」)

 

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