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きょうの潮流

2018-01-10 | コラム

公開中の映画「ヒトラーに屈しなかった国王」は、第2次世界大戦中、ドイツ軍に抵抗し続けたノルウェー国王ホーコン7世を描いています。協力を迫るドイツ公使に毅然(きぜん)と対峙(たいじ)する姿は見る人の心を揺さぶります▼ノルウェーでは国民の7人に1人が観賞した大ヒット作品。映画では描かれていませんが、占領下のノルウェーでは無数の国民がレジスタンス運動に加わりナチスに抵抗しました。その記憶が受け継がれていることが人気の背景にあるのでしょう▼一方でホーコン7世とはまったく逆の態度を取って名を残したノルウェー人がいます。占領に協力し、ナチスの傀儡(かいらい)政権をつくった元国防相のクビスリングです。彼の名前“クビスリング”は後に英語の一般名詞になりました。意味は「売国奴」です▼クビスリングが不名誉な名詞となったように、戦後の国際秩序の土台は日独伊が強行した侵略戦争の否定にあります。欧州では昨年、この土台を覆そうとする極右が伸長し、懸念と警戒が広がっています▼極右が戦後初めて国会に議席を得たドイツ。連立政権入りしたオーストリア。どちらの国でも「ナチスの再来を許すな」「人種差別と憎悪に抗議」と国民がデモ行進し、新たなたたかいを始めています▼戦前の侵略戦争を肯定する首相に「ナチスの手口に学べ」と公言する閣僚。日本でも極右勢力と一体化して暴走する政権とのたたかいは正念場です。日本でも世界でも戦後政治の原点に立って歴史の逆流を許さないたたかいが続きます。

 

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