「9条壊すな!」「生活苦しいやつ声上げろ」―。東京都内で9日に行われた安倍政権に退陣を求めるデモ行進と緊急集会の参加者は、安倍政権への怒りが込められたプラカードを掲げ、地鳴りのようなコールを上げました。歩道からも拳を上げたりコールに合わせたり共感を表す人たちが多くいました。
歩道から多くの共感
女性(23)=東京都大田区、大学生=は、戦争法に反対する国会前集会に参加してきました。警察と市民の間の緊張感に圧倒され、「日本の平和が危ないと思った」といいます。「稲田朋美防衛相の『自衛隊としても』発言に怒り心頭。安倍首相のいいなりだ」
家族はみんな自民党支持者だという男性(32)=八王子市、運送業=も、2年前から1人で国会前の抗議行動に参加していたといいます。「いまの自民党は“安倍1強”で、改憲や人権侵害の共謀罪法など強引にすすめるのが許せない。自民党にはかつてのような多様性が必要です」
安倍首相が先の都議選で唯一行った街頭演説(1日、秋葉原)で、国民から「安倍やめろ」とヤジを飛ばされたことに激高し「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放ったことに批判する人も。
男性(57)=埼玉県、教員=は「『こんな人』というのは、安倍首相にとっていうことを聞かない人たちで敵を指すのだろう。国民の声を切り捨ててしまう今の政治状況そのものだ」と語気を強めました。
「“こんな人たち”だから、安倍政権に言ってやりたい。即刻辞めて」と怒りを表すのは、93歳の母親と歩道からデモ隊に向かいプラカードを揚げていた女性(70)=東京都目黒区=。「母は認知症ですが、症状が出てから学徒出陣で戻ってこなかったお兄さんのことを話すようになったんです。どんなに悲しかったか…」
デモ後の新宿アルタ前緊急集会では、市民や学者、ミュージシャン、4野党の代表などがスピーチ。登壇者は「アベヤメロ」と電気で描かれた街宣車の上でマイクを握りました。参加者は拍手と声援を送り、広場は熱気に包まれました。ミュージシャンの中田亮さん(オーサカ=モノレール)は、「この流れは絶対に止まらない。みんなで集まって戦後最悪の安倍政権を倒せたらこんな楽しいことはない」と語りました。
女性(41)=杉並区=は、夫(43)と1歳の息子と集会に参加。「憲法を無視し国民の声を聞かない安倍政権に怒りしかありません。子どもが生まれてから、久しぶりに行動に参加できてよかった」と話していました。