町村氏「懲役20年にせよ」
― 秘密漏えい 内調も驚く厳罰化
自民党の町村信孝議員は8日の衆院国家安全保障特別委員会で、秘密保護法案で「秘密」を漏えいした人に最高懲役10年を科すことについて「決して厳しすぎるという指摘はあたらない」と述べました。
町村氏は「むしろ、アメリカでは外国を利する者による外国政府への国防情報の漏えいは死刑、無期、有期刑という法律がある。最大、死刑なのに対して日本は最大10年だ。海外に情報を流すのは、10年よりもっと長くすべきではないか。たとえば(懲役)15年とか20年とか。長くしろという意見がでている」と述べ、さらなる厳罰化を要求しました。
これに対し内閣情報調査室(内調)の鈴木良之審議官ですら「10年以下の懲役は、現行の国家公務員法や自衛隊法と比較しても相当重い法定刑を定めている。悪質な通報目的の防止にもつながる」と述べ、現時点でのさらなる厳罰化を否定しました。町村氏は「ちょっといいのかなと思ったりもする」と不満を表明しました。
“子が難病の原発職員は情報漏えいリスク高い”
― 身辺調査制度づくりで暴言、秘密保護法案にかかわった大学教授
原発など原子力施設で働く民間人への身辺調査制度づくりを話し合う原子力規制委員会の外部専門家会議「核セキュリティに関する検討会」で、委員の櫻井敬子学習院大学教授が「子どもが難病で、非常に治療費が高額になる従業員の場合だと、割と誘惑しやすい」とのべていたことがわかりました。難病患者を家族に持つ従業員を情報漏えいの「リスクのある類型」とする暴言で、秘密保護法の人権無視の差別的側面も浮き彫りになりました。
この発言があった検討会は、秘密保護法案に盛り込まれている「適性評価制度」の“原子力施設版”づくりをすすめる会議である「核セキュリティに関する検討会」。
今年7月に行われた2回目の検討会で櫻井氏は、「客観的にリスクのある類型というのは考えられる。機微な情報に触れるような人に対して、(情報漏えいをそそのかす側から)『この人は落としやすい』と思われる弱点を持った人間というのは客観的にある」と発言。
その上で、「子どもが難病で、非常に治療費が高額になるようなお子さんを抱えているような従業員の場合ですと、外から見ると『その人はお金に困っているんだろう』と思うので、割と誘惑しやすい、そんな事例が外国の例などではよく挙げられています」とのべています。
櫻井氏は、こうした「リスクのある類型」の従業員を「人事配置」で排除できる仕組みづくりを検討するよう促しています。
櫻井氏は、秘密保護法案の骨格づくりを担った有識者会議でも委員を務めていました。この有識者会議をめぐっては、議事録やメモが存在しません。
委員だった櫻井氏が「適性評価」について、こうした発言をしていることは、秘密保護法案が人権を無視し、差別を当然とする発想にたったものであることを示しています。
また櫻井氏は、政府の社会保障審議会のメンバーでもあります。国の社会保障や医療制度を審議する立場の人物が、難病患者や家族を「リスクのある類型」としたことは、重大です。