中電含め1295億円返還
東日本大震災の復興とは直接関係のない中部電力の支援に復興関連予算の一部が流用されていたことが昨年7月、問題になりましたが、未執行分が返還されていたことが31日までにわかりました。一方、2013年度の復興予算の約3分の1が未執行であることが判明、被災地に本当に役立つ復興に真剣に取り組む必要性が浮き彫りになっています。
復興庁発表
復興庁はこのほど、復興予算の一部が地方自治体などの基金を通じて被災地と関連の薄い事業に流用されていた問題で、未執行分のうち1295億円が2013年度内に返還されたと発表しました。政府は被災地復興のため、2011~12年度の2カ年で、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」「医療施設耐震化臨時特例基金」など16基金の事業費として合計約1兆1570億円を配分しました。
トヨタなどの設備投資に
しかし、その後、「国内立地推進事業費補助金」が愛知県でのトヨタのエコカー生産や大分県にあるキヤノンの工場など、被災地から遠く離れた大企業の設備投資にばらまかれていたことなどが発覚。批判を受け政府は昨年7月、すでに執行された1兆円超を除く1017億円の返還を自治体などに求めていました。
基金の所管官庁と自治体との協議で、返還額が要求額より約300億円膨らみましたが、今回、返還されたなかには、「火力発電運転円滑化対策費補助金」(62億円)と、「温排水利用施設整備等対策交付金」(3億円)も含まれています。
浜岡原発停止穴埋め求める
この二つは、いずれも民主党政権時代、菅直人首相が中電に浜岡原発(静岡県)の停止を要請した際、中電が支援を求めていたもの。火力補助金は、中電が原発の代わりに火力発電所を運転する際に必要となる新たな借り入れの利子を補給し、温排水交付金は浜岡原発から廃熱を利用した温水の無料供給を受けていた県立養殖施設に対し、新たなボイラーの設置代や電気代を補償する内容です。
赤旗紙は昨年7月3日付で、「復興予算が中部電へ 浜岡停止穴埋めに20億円流用」と報道。茂木敏充経済産業相は「一部の執行を見合わせる方向で早急に結論を出したい」としていました。
復興予算は35%未執行
一方、復興庁はこのほど、13年度の東日本大震災復興予算の執行状況を発表しました。
総額7兆5089億円のうち、全体の35・3%に当たる2兆6523億円が年度内に執行されていませんでした。
復興庁は、予算が年度内に執行できなかった理由として、復興計画の見直し、用地取得などで地元住民との合意形成に時間がかかったこと、資材価格の高騰などによる入札不調をあげています。
事業別でみると、被災者の生活支援事業や産業支援関連事業の執行率はそれぞれ62・8%、77・5%だった一方、原子力災害からの復興事業に関しては除染の遅れなどの影響で47・0%にとどまったほか、災害公営住宅の整備など、「まちの復旧・復興」も56・3%でした。