国際援助団体オックスファムは16日、世界の超富豪8人の持つ富が、世界人口の半分、より貧しい36億人が持つ富と等しくなっているとの報告書を公表し、不平等の克服のための行動を呼びかけました。
同報告書『99%のための経済』は、スイスのダボスで世界的大企業などのトップが集まる世界経済フォーラムに先立って発表されました。
報告書では貧富の格差の拡大で、英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選でのトランプ氏の当選など「富裕国の国民の多くが現状維持に我慢できなくなる兆候が強まっている」と指摘しています。
また貧富の格差には、多国籍企業の責任が大きいと告発。その手口として、経営陣に最大の報酬を支払うために、労働者や取引企業を搾取・収奪するほか、タックスヘイブン(租税回避地)などによる税逃れ、政策の買収などを挙げています。
税逃れで貧しい諸国は毎年1000億ドル(約11兆4000億円)以上の税収を奪われています。これは1億2400万人の学校に行っていない子どもに教育を受けさせ、600万人の子どもの死亡を保健衛生で予防する額に相当します。
オックスファムのマックス・ローソン政策部長は「大多数の人々にとって恩恵が及ぶようなもっと違った資本主義の運営方法がある」とロイター通信に強調しました。