安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を「閣議決定」した1日、防衛省・自衛隊が全国の18歳を対象に募集案内を送りつけ、高校生や保護者から「『召集令状』が来た」と怒りや不安の声があがっています。自衛隊の募集案内は、住民基本台帳で全国の18歳の住所を調べて送付。1日から人気アイドルが出演する隊員募集のテレビCMを始めるなど、大がかりな募集作戦を展開しています。 (憲法問題取材班)
金沢市の男性(51)の高校3年生の息子には、2日に自衛隊の募集案内が届きました。
息子は「いらん」といって、無関心な様子ですが、男性は「5月に金沢市内で自衛隊が軍事パレードを強行した後の採用案内だった。軍国化を感じることが次々と起こり、恐ろしい」と語ります。
この問題を男性がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフェイスブックで取り上げたところ、同じ経験や思いを語る声が多数届きました。
インターネット上では「行使容認で日本が大騒ぎですが、このタイミングでぼく宛てに自衛隊の募集案内が来ました こえーよ」「赤紙が来た感じですごく不快。今回のはただの案内だけど、近い将来きっと徴兵という形でこういう手紙が届くんだろうね」といった声が相次いでいます。
アイドルCM起用
全国でいっせいに行われた募集案内は、多くが郵送ですが、直接手配りで自宅に届いた例もありました。
防衛省は1日、募集案内の発送と同時に人気アイドルグループのAKB48のメンバー出演の自衛官募集CMを全国放送しました。「募集対象の主流となっている高校生の男女に人気がある」と防衛省は起用した狙いを説明します。
この募集活動では、全国の自治体が持つ住民情報が利用されていました。
住民基本台帳使い
例えば、自衛隊神奈川県協力本部は、5月から6月にかけて横浜市の住民基本台帳を閲覧していました。
横浜市鶴見区が公表した閲覧記録によると、同協力本部は、1995年4月2日から98年4月1日までに生まれた鶴見区全域の住民の名前、誕生日、性別、住所の4情報を入手していました。
こうして全国の自治体から入手した情報で、18歳を狙い撃ちにした募集活動を行っているのです。
赤旗紙の取材に、防衛省は「募集は毎年、実施している。文科省と厚労省の局長通知で定めた文書募集の解禁が7月1日となっているため」とのべ、閣議決定とは無関係を強調します。自治体からの情報収集については「各自治体から募集に必要な最小限の範囲で募集対象者の情報を得ている」としています。