【マニラ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は6日、当地で開いた外相会議で、南シナ海行動規範(COC)の基盤となる「枠組み」を承認しました。ASEAN側はルールに基づく南シナ海の安定化を目指し、次段階のCOC本体の作成交渉で法的拘束力の付与を求める構えです。
「枠組み」は、ASEANと中国が南シナ海で行動のルールを持ち、「紛争の平和的解決に好ましい環境をつくる」ことや、海洋安全保障、航行の自由の確保などを目的に設定。「協力の義務」を負うこと、紛争を複雑化させる行動の自制、信頼の醸成を約束しました。ホットラインなどを通じ海上事故の防止・処理も図ります。
「枠組み」は、COCを「領有権紛争や海上境界画定問題を解決する手段としない」と明記。COCで南シナ海の平和維持を図りつつ、領有権紛争自体は当事国間の協議を通じて解決する方針を採用しています。
このほか、国連海洋法条約、東南アジア友好協力条約(TAC)と国際法の原則の順守、南シナ海行動宣言(DOC)の完全履行、主権の相互尊重と内政不干渉などを原則に盛り込んでいます。
シンガポールのバラクリシュナン外相は同日の外相会議で、「この枠組みは非常に重要で、COC交渉に道を開く」と評価。フィリピンのカエタノ外相は4日、記者団に対し、「法的拘束力があるCOCを望んでいる。実質的な交渉をして、そこに近づくことが重要だ」と述べました。