ニューヨーク=池田晋】北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は23日午後(日本時間24日未明)、国連総会で一般討論演説を行い、トランプ米大統領が同国を「完全に破壊する」などとした19日の演説に対し、「自殺行為の任務を進めているのは他ならぬトランプ自身だ」などと強く反発し、威嚇仕返しました。演説後、李氏は国連のグテレス事務総長と会談。国連側の発表によると、グテレス氏は政治的解決の必要性を強調し、緊張緩和と安保理決議の順守を求めました。
各国首脳から北朝鮮問題の平和的解決と緊張緩和を求める声が相次ぐ一方、トランプ氏の発言を契機に国連の舞台を中心にして再び米朝間の威嚇の応酬が激しさを増しています。
李氏は、「朝鮮半島情勢の本質は米朝間の対立にある」との見方を示した上で、米朝対立が米国による長年の敵視政策と核による威嚇を背景とするものだと主張。北朝鮮の核戦力の目的は、米国の核の脅威を終わらせ、侵攻を防ぐ抑止力の獲得にあり、「究極目標は米国との力の均衡の確立だ」としました。
また、米国が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を暗殺する「斬首」作戦や軍事攻撃の兆候を示せば、「容赦ない先制行動によって予防的措置を取る」と先制攻撃も辞さない姿勢を示してけん制しました。
自国を「責任ある核保有国」だと位置づけ、「今や核戦力の完成の最後の門までわずか数歩というところまで来た」と宣言。米国の軍事行動に加わらない諸国に対しては、核の使用やその威嚇を与えるいかなる意図もないとも説明しました。
トランプ氏に対しては、「誇大妄想と独り善がりに満ちた異常者」が「全米へのロケット到達を一層不可避にする取り返しのつかない過ちを犯した」などと攻撃。累次の対北制裁決議を科してきた安全保障理事会のあり方にも不満を表明しました。