政府・与党 臨時国会へ提出狙う
-公募意見8割反対
安倍内閣は26日、アメリカと一体に戦争する国づくりを進めるための特定秘密保護法案の原案を、自民党のプロジェクトチーム(PT)に提示しました。来週にかけて自民・公明両党の論議にかけ、10月上旬にも閣議決定し、10月15日に召集予定の臨時国会に提出し、成立を目指す構えです。
同法案は、行政機関の長が指定する「特定秘密」の漏洩、国民や報道機関のアクセスに厳罰を科し、国会への公開も大幅に制限する極めて重大な内容です。
法案の原案には「報道の自由について十分に配慮する」とする文言を盛り込み、さらに「国民の知る権利」の規定も検討中とされますが、「特定秘密の保有者の管理を害する行為による特定秘密の取得行為を処罰する」という法案の基本的構造に変わりはありません。国民や報道機関に対する弾圧立法であることは同じです。
政府は3日から17日まで実施した法案概要のパブリックコメントの集計状況も自民党に説明。約9万件の意見のうち賛成は1割強にとどまり、8割弱が「特定秘密の範囲が広範かつ不明確」「内部告発できなくなる」といった反対意見だったことを明らかにしました。
言論の自由、民主主義否定は戦争推進と一体
自民党に政府が示した「秘密保護法案」の原案に「報道の自由について十分に配慮する」と盛り込まれたことが報道でも強調されていますが、重要な行政情報への国民のアクセスを弾圧する同法案の本質にまったく変わりはありません。
「秘密保護法案」は、「特定秘密」(行政機関の長が指定)を扱うことを業務とする者(公務員や契約業者)の漏えいを処罰すると同時に、「特定秘密の保有者の管理を害する行為による特定秘密の取得行為」を厳罰対象にしています。国民のアクセスや報道機関の取材を厳罰対象にしたものです。
広い処罰対象
そもそも行政の都合で「秘密」指定された情報をすべて刑罰の脅しで国民から遠ざけるという仕組み自体が、民主主義に照らして重大な問題をはらみます。
「管理を害する」の意味は不明確で、「人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス」という「例示」があるものの、「例示」に続き「その他」とされており、限定性はまったくありません。これでは、「秘密」の取得のために公務員などに働きかける行為すべてが処罰されるおそれがあり、重大な萎縮効果をもたらします。
さらには「取得行為」について、共謀、教唆、扇動を広く処罰対象にしています。公務員などへの働きかけを行った直接の当事者の「背後」にいる関係者の動きを広く処罰対象にし、監視下に置こうとするものです。国家秘密にアクセスする国民の動きをすべて「敵視」し、処罰する異常な弾圧法規なのです。
議員調査も制限
国会との関係でも秘密優先の異常な構造となっています。
国会に対して秘密を「提供する」ためには、非公開の秘密会であることを前提としています。さらに秘密会で知りえた情報(秘密)を漏えいすれば5年以下の懲役に処するとされ、国会議員までが処罰の対象とされています。これでは、議員が所属政党で議論したり、専門家の意見を聞くという当然の立法・調査活動が不当に制限を受けます。
しかも、これほどの制限を課したうえで、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と認めれば結局、国会に秘密を公開しない構造となっています。
国会による行政の民主的コントロールという憲法原則、衆参両院の国政調査権(62条)、議員の言論や政党活動、立法調査活動までも大きく制限する秘密保護法案は、行政優位・官僚優位への構造転換をもたらす違憲立法です。
こうした秘密保護法案を急ぐ背景には、アメリカとともに「海外で戦争する」国づくりを進める動きがあります。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の動き、戦争遂行へ首相官邸に権力を集中する日本版NSC=国家安全保障会議設置法案推進の動きと一体です。
戦争推進と国民の言論の自由、民主主義の破壊は一体です。
秘密保護法で日本が戦争する
秘密保護法で日本が民主主義でなくなってしまう秘秘密保護法の提出は無理がある